政府の行動は国難に立ち向かう時期にあって、眼を覆いたくなるレベルの低さ、


でも、嘆いてばかりもいられません。


国や県の対応が思うようでなければ、


全国にいわきの思いを伝え、


必要な知識や技術、支援を呼びかけ、


現状を正確に把握し、


たとえ状況が悪い場合でも真実を伝えたい・・・


そういう思いの放射線衛生学者、木村真三さんの調査を、


6月2日付けの 「日々の新聞」の記事から引用させていただきます。


ぜひ、皆様にも知っていただきたいので。


クローバークローバー    クローバークローバー


木村さんは原発事故直後、「自発的な調査はしないように」と上から指示され、

勤めていた厚労省の研究機関に辞表を出して福島県内に調査に入った。

事故直後から現在まで調査のために

浜通りと中通り、会津の一部を車で5000キロ近く走った。


現地で何が起きているのかを調べ、放射能汚染の実態を把握し、

そこで暮らしている人々の放射線被曝を低く抑える情報を提供するためだった。


木村さんに調査を要請したのはいわき市議の佐藤和良さん。


5月中旬、木村さんと佐藤さんは、

環境放射能測定の先駆的科学者の岡野真治さんが作った測定記録装置を

膝に載せて2日間、車を走らせた。

この装置は世界に三台しかなく、

時間と6秒ごとの位置、検知された放射線の種類の特別な波形を

30秒ごとに走りながら記録していくもの。

そのデータをもとに汚染状況を分析し、ホットスポットを見つけ、いわきの放射能汚染マップを作る。



(中略)


木村さんは5月中旬から、いわきの放射能汚染マップを作るために本格的な調査をしている。


一日目は、勿来~貝泊~遠野~三和~川前~小白井から下桶売へ。


線量計の数字がぐんと大きくなったのが川前町下桶売の志田名地区と萩地区。


萩地区を走っていると、線量計は大気で2.67マイクロシーベルトと跳ね上がった。

これは飯舘村に近い数字だ。

個人の畑や田んぼの土を採取し、まず長崎大学に分析依頼した。


萩や隣の志田名でも、場所によって線量は違う。

線量を測るときは普遍的な場所で測定しなければならない。

アスファルトは放射性物質が雨で洗い流され、線量が低い。

基本は土の上、高さ1メートルで測定する。

そのとき自分の陰にならないように気をつける。


いわきは広域だから線量のバラツキが大きい。

その後、二人は田神林道を通って小川の戸渡に向かう。

かなり道路は荒れていてめったに車も通らないが、ところどころにホットスポットがあり、線量がぐっと高くなる


国道399号に入ると線量は一気に落ち、

原発のある方向に線量計を向けると高くなる。


翌日は、

平~夏井~豊間~鹿島~常磐鹿島工業団地~常磐~内郷~いわき駅前~江名~小名浜~泉~渡辺~遠野~植田のコース。


一般的に、谷間になった場所や木々が生い茂る神社、ゴルフ場の入り口などで線量は高い。

放射性物質は坂がある場所では上から下に集まり、霧に吸着して沈着する。


いわきは稲作の制限がされてないので、田植えを終えた田んぼも多い。

でも本当なら行政区ごとに2枚くらいずつ土壌の穂斜線濃度を調査し、

結果によっては表土を取り除くのがいい。


「土を耕す前に測定できたら。

耕してしまうと混ざってしまってダメになる。

なぜ、そのリスクを考えないのだろう。

緊急事態は初動をきちんとやれば、対応が速く終わる」

と、木村さんは言う。


これからは食品汚染が怖く、

そのため、空間線量より汚染レベルが重要という。


この夜、志田名地区では市に要望する要請書について皆で話し合うことになっていた。

「30キロ圏内の区域指定をあっというまに外された。だけど、ここはあんぜんなのか。はずされたけれどほったらかしになっている」

「繁殖牛には牧草を食べさせていいと県は判断したが、どうしたものか。本当に大丈夫なのか」


木村さんは

「きちんとデータを取り、科学的な証明をしなくてはいけない。この地区で暮らしていけるのか、判断基準が必要、また測定にきます」


木村さんは、調査を続けているチェルノブイリのまちと 志田名、萩がオーバーラップする、という。


人口3万人のチェルノブイリのそのまちは事故から3年たって、高濃度汚染地域とわかった。

それも国会議員の情報公開によって。

原発事故の収束宣言をしたかったのと、補償する余裕がなかったためで、

事実を知った住民は大混乱し、数万人規模のデモが起き、

それがソ連崩壊のきっかけのひとつになったともいわれている。


それから木村さんは、地区でも線量が高いスーパー林道に出かけ、実際に線量を測定してみた。

驚いたのは、林道を示す案内板の柱に

赤いビニールテープでバツしるしがつけられていたこと。

近づいてみると「文科省」とマジックペンで書いてある。

ちゃんとここの線量を測定していたのだった。


国は測定していて汚染濃度をわかっているのに何もしない。

今回の事故後に木村さんが見てきた中で

このような高濃度汚染地域は、

3月16日時点の双葉郡の原発から4キロのホットスポットの土壌で、

今回のはそれより高いぐらいという。


この結果の公表をためらったけれど事実は事実としてしか述べられない。

その報告をするために私は来た。

データは嘘をいわない。ただ、萩の1点のみのデータなので、

代表値としてこの数字の公表はできない。

あくまで暫定値、

この日、いろんな地点で30センチの深さまで採取した土壌などを、

長崎大学と広島大学の両方で分析する、という。


クローバークローバー    クローバークローバー


木村さんは6月中旬から下旬ごろ、分析の結果を再び報告する。

そのときにはいわきの放射能汚染マップも完成している。

いわきの中心部で調査結果報告会が予定されているので、お近くの皆様、

一緒に聴きにいきませんか。



晴れ緊急のお知らせ晴れ


本日5日、午後10時から

NHK教育テレビでこのテーマで

緊急番組が生放送されます。

木村真三さんが出演します。

ぜひ、見てくださいね。