春一番が吹き荒れ、庭仕事が難しい天気続き、を理由に、DVDでリフレッシュ。


1980年初頭に作られたNHK大河ドラマ(当時は時間がなくて見ていない)。


昨今の、演技もろくにできてない小学生の学芸会みたいな大河ドラマにはうんざりですが、


レンタルビデオ店で掘り当てた「山田太一脚本」の名に惹かれて借りてみました。



獅子の時代 全13巻(54回分)



あまり期待せずに見始めて、全13巻(54回分)を見終わる頃には、いいようのない感動に包まれました。


大河ドラマ史上最高傑作といえるでしょう。


現代の日本に閉塞感と失望感と無力感を持っているすべての方たちに


ぜひぜひ、1巻100円で借りてきて見て頂きたいと思いました。





ストーリー


時代は幕末、舞台はパリ万国博覧会に派遣された会津藩武士(平沼)と薩摩藩武士(苅田)の二人がパリの会場で出会うところから始まる。


架空の人物である二人がそれぞれの立場で怒涛の明治維新を潜り抜ける波乱万丈の生き様を

実在の人物たちや史実と絡めながら描写。


平沼が冤罪で何度も投獄されながらも、社会的弱者のために戦い抜く人生を歩む縦糸、


苅田が中央政界で出世し大久保利通に重用されるが、大久保亡き後、民衆のための憲法を起案した結果、伊藤博文に冷遇され、やがて姦計にはまり暗殺される横糸、


社会的状況、家族、支援者、同志たちとの絆も山田太一ならではの見事な内容で語られている。



見所


① 体制側(中央政府、官軍)ヒーローのサクセスストーリーではなく、

民衆の中にいたかもしれない、あるいは、山田太一氏自身がいてほしいと願った人物たちを主人公としている。

このような架空の人物を扱いしかも、明治維新に批判的な角度で書かれた大河ドラマはNHKとしては異色。


② セリフが生きている、脚本家のウデというもの。


③ 役者ぞろい。

あの菅原文太を東映から1年間借り切ったということもすごいが、菅原自身の野性味、マッチョぶりはハリウッドスター顔負け。素材の魅力とはこういうものだろうか!と納得させられる。

脇を固める役者もスタークラスが続々。今となっては懐かしい丹波哲郎、志村喬、東野英心、鶴田浩二、沢村貞子、大原麗子、藤真利子、児玉博、もろもろ。


④ 音楽!宇崎竜童とダウンタウン・ファイティング・ブギウギバンドの音楽は今の時代に聴いても新しい。時代の鼓動を宇崎の音楽で聴ける幸せは多大だ。


⑤ 財政危機、外国からの脅威、増税政策の影響としての反乱・・・歴史は繰り返すというとおり、現代日本に酷似する状況を明治の人たちがどう憂い、どう戦っていったのか?

私たちに深く考えさせる。



残念なのは、ブラウン管映像のため、粒子が少し粗いこと。でも、それを補って余りある価値があると思います。














夢色の庭と暮らす