野球漫画はお好き？

変わったコミック屋がある。

昔懐かしいシリーズや、レアモノだけを集めて売っている。

アニメファンではないので、立ち寄ったことはなかったのだけど、

ダーと二人でふらりと店内へ。

中には直視できないようなエッチ系のアニメの画集があったりもするが、

とにかく何でも『全巻そろってる』のが売りらしい。

なるほど。

昔読みたかったシリーズが全部揃ってるとなると、ちょっと心揺れる気もする。

ダーがなにやら探しはじめた。

表情が輝いている

『おおきく振りかぶって』という漫画を探していると言う。

ひぐちアサさんの野球漫画だ。

…また始まった…

私はため息

ダー、生き生き

野球ものとなると目の色がかわる。

わが家には野球漫画が五万とある。

『ドカベン』

『大甲子園』

『侍ジャイアンツ』

『キャプテン』

『プレイボール』

『巨人の星』

『どぐされ球団』

『野球狂の詩』

『男どアホウ甲子園』

『リトルの団ちゃん』

『アストロ球団』

『ちかいの魔球』

『すすめ！！パイレーツ』
『ワルＧ』

などなど…

どうやらまだ、

私の目に触れない場所に隠してあるらしい。

図書館みたいな書棚があって

すべてきちんと片付いて収納されていたら…

だれも文句は言わない。

でも違うのだ

わが家には

ダーの事務所に入り切らない野球に関したありとあらゆるものが

あふれているのだ

この、『片付かない加減』がどうにも許せない

『あるかな～』

…もしあったら？

『あるといいな～』

…ひょっとして大人買い

…いやーな予感…

『おぉ～

あったぁ～』

ダーは迷うことなく

やっと見つけた『おおきく振りかぶって』の１巻から15巻までを一抱え。

ところが！

そこで、目が合っちゃったんだな

怖ーいママと。

『…かーうーのー？(ギロリ)』

『へ？？』

怯えたダーの瞳。

…まっいいか。

勿論内心では許してる。

だけど一応ね。

よいチャンスだもん。

一言、言わせてね。

『うちにあるもの、片付けてよー』

ダー、いつになく神妙にきいている。

そして一言。

『…誓います。』

じゃじゃーん

よろしい

誓わせちゃったもんね

まったく怖いママだ。

まっ。

結局買えたのだから、許しておくれ。

一揃え、まるで子供のようにうれしそうに包みを抱え、店から出てくるダー。

野球シーズンがオフになったら、

一緒に片付けようね。