Paris :
  到着時に偶然、同じ敷地内のアパルトマンに住む、グランドピアノの持ち主日本人姉妹と遭遇。留守の時に毎日でもどうぞ練習してください、と何と神さまが降りてきたようなお言葉。そこから家族付き合い(!)みたいに始まり、一緒にライブに出かけたり、お料理上手なリカコさんは、フランス家庭料理のラクレット (ホクホクふかした獲れたてジャガイモに、専用ツールでとろかした専用チーズをかけて食す、美味い!) に呼んでくださったり、妹のサエコさんは丁度イタリアで開かれたピアノコンクールで見事ソロで一位を受賞!うれしかった!

  音楽劇も鑑賞、パリのサン・ミッチェルの繁華街ど真ん中にあるハチェット劇場にて、知り合いのフランス人作曲家ディディエ・バイイ氏の書き下ろしの新作、「血に濡れた人形」(原作は「オペラ座の怪人」の作者 Gaston Leroux の手に依るもの) 。これは、3人の主人公が、小道具によって15名の登場人物を演じ分け、もちろんミュージカルなのでオリジナルの歌、コーラスや掛け合い、そしてダンスあり、タップあり。90分ノンストップ、見事な出来栄えで、こけら落としされたばかりと言うので感激。ネットにポストしたところ、Tokyo のプロのプロダクションから、早速興味ありとの連絡あり。日本でも見られると良いね。

 我がアパルトマンは、ここのところ定宿にさせて戴いてる1区シテ島ノートルダム寺院のすぐ裏手。お昼時や夕方など、寺院のうるさいほどリンゴンリンゴンと数分にわたって響き渡る鐘の音が、時を教えてくれます。大きな、当時そのままの木でできた門を一歩外に出ると大勢の観光客がひしめきあっていますが、敷地内は、シーンと静か。夜も更けてくると大都会のど真ん中とは思えないほど、何の物音もせず、深い闇が広がるばかり、怖いほど。こんな感じはニューヨークやTOKYOには絶対無いと思う。

  マルシェは、Maubert Mutualite駅前まで、左岸の方向へ約5分の道のり。最高にうまくできてると思うんだけど、一番向かって右側が、パリでは重要な社交場でありほっと一息つける、外テーブルのあるいわゆるパリの街角カフェ。そして次はパン&ケーキ屋さん、バゲットとクロワッサンを買って、チーズ屋さん、その夜のワインを、ボルドーとか言うと、ちゃんとそれにぴったり合うチーズを教えてくれる。で、フランス惣菜屋さん、固まりの何種類もある中からハムを選んで好みの薄さに切ってもらったりパテやテリーヌを調達、で、肉屋さん(鳥の丸焼きや唐揚げもあり)、魚屋さん、そして八百屋さんまで、季節の野菜は、前菜や付け合わせにぴったり。見事に駅前に一列に並んでるのである。おお、忘れちゃいけない、チーズ屋さんの隣がワイン屋さんだった。ここも、今晩はこれを食べるつもりと言うと、それに合うワインを教えてくれるのです。それぞれのお店の商品の包み方も極力ビニールを使わず過剰包装無し。薄めの紙のみ。見事にこの7軒が一列に並んでいるのよ。ここに来れば、私のパリ暮らしは完璧。









アイルランド編 :
  2016年6月19日、シャルル・ド・ゴール空港よりエア・リンガスに乗ってパリから1時間40分。アイルランド共和国の首都ダブリンへ到着。約2時間の高速バス北へのドライブで、国境線を超え、イングランド領北アイルランドの首都ベルファストへ。そこから1時間ちょいのドライブで北東へ海沿いのグレンクレイグ・キャンプ・コミュニティへ。サパーに間に合い、その後7:30pmからのコンサート準備。コンサート後には車で約2時間、翌日の演奏場所Mourne grangeのコミュニティへ移動。この日はCDG空港までのシャトルも合わせると、約9時間ぐらい乗り物に乗っていたのかな。ずいぶんよくお昼寝しました(^-^)。コンサートホールではスタインウェイのグランドピアノと、約70名のお客様が、ワクワクお待ちでした。

  今回アイルランドでは、ご縁があり、「キャンプヒル・コミュニティ」のコンサートホールを、イギリス領北アイルランドで3ヶ所、アイルランド共和国で1ヶ所 、演奏して回ります。キャンプヒルとは、学習障害のある子供から大人までが、世話する人やセラピストらと共に住み、学び、働くところ。教会やホールもあり、牛や山羊を飼い、畑を作り、パンを焼き、自給自足に近い生活をされてます。美味しいミューズリィや出来立てのバター、蜂蜜なども頂きました。毎日が森林浴。しばし都会の喧騒と暑さを忘れる、夢のような時間が過ぎました。

  演奏はどのホールも満席で、大歓迎! ジャズの生演奏は初めてという方々がほとんどでしたが、まず一曲目にグリーン・スリーブスをジャズ版でお届けしたり、Down by the Sally Gardensなど地元のフォークソングを入れたり、日本の曲、荒城の月、を弾いたり、CDもあっという間に捌けてしまい、そしてみなさんとたくさんたくさんのハグをしました!3日目はClanabogan、翌日はまた国境を越えてアイルランド共和国へ戻りBallybayでのコンサートと、人それぞれにいろんなものの感じ方、喜びの表現の仕方があり、生きてるって素晴らしいなあ、と、いのちの尊さを実感できた感激のアイルランドツアーとなりました。

  近くの避暑地、ビーチのあるニューキャッスルや、古い歴史のある城下町のモナハン、最終日にはダブリンのギネス工場も短時間ながら訪れることができ、少し街並みも歩くことができて良かったです。ブルーベリーがざくざく(!)入ったスコーン、フィッシュ&チップス、獲れたてのお魚もいただくことができました。ギネスストアハウスでは、世界一フレッシュな出来立てほやほやの、大好きな黒ビールも試飲しました。

















  そしていよいよパリでのコンサート!一本目は、6月17日、シャンソンの女王、エディット・ピアフが生まれたので有名な下町、ベルビルのバリケード・シアター、クリエイティブな若者が多く集まる場所。アットホームなオーナー夫妻が歓迎してくださり、ワイワイ盛り上がる中、とても和やかなコンサートに。2本目は24日パリのハート部分、第1区シャトレ・レアル、 セーヌ川のすぐそばにあるフレンチビストロ・オーベルジュでの演奏。美味しいフレンチに舌鼓を打ちながらの、上品な(!)平木かよの世界。満喫いただけたと思います! そしていよいよ楽日29日は、ニューヨークでいうとちょうどグリニッジ・ビレッジのような、ソルボンヌ大学があり昔からインテリの学生文化が繁栄している、カルチェ・ラタンの老舗ジャズバー、カフェユニバーサルでのブラジリアンのリズム隊とのトリオ。入りきれないぐらいのお客さまにお越しいただき、本当にアツい、パリ最後の大盛り上がりの夜となりました!(その晩はあまり眠れず、翌日のニューヨーク帰国です。)

  今回のヨーロッパツアーで、快くサポートくださったみなさま、心より御礼を申し上げます。貴重なお時間を割いて、駆けつけてくださったこと、お手伝い頂いたこと、決して忘れません。緑の中のアイルランド、毎日3時間グランドピアノを練習できたパリ。みなさまのおかげで、今回のヨーロッパツアーを無事に終了できました。ほんとうに、ありがとうございました!