毎日運動しているのに痩せない、頑張っているのにトレーニングの効果が出ない、などのお悩みをよくいただきます。栄養学的にいうと、代謝の柔軟性(Metabolic flexibility)を鍛えていないから効果が出ないのです。

 

代謝の柔軟性とは、エネルギー源を選ぶ力です。この能力次第で体型も持久力も劇的に変わります。

 

代謝力は筋肉内のミトコンドリアの数と機能によって決まります(ミトコンドリアとは、細胞の中で酸素を使ってエネルギー(ATP)を作る器官です)。

 

人間は進化の過程で体脂肪という優れた貯蔵庫と、脂肪で生命を維持できる能力を手に入れました。つまり、代謝が柔軟だと、誰でも体脂肪を使って日常生活やジョギングができるはずなのです。

 

ところが甘いものや炭水化物過多の生活をしている人は血糖値が上昇、 血糖を下げるホルモン、インスリン値も上昇します。インスリンは体脂肪からの脂肪酸分解を阻止するのでエネエルギー源は血糖のみなってしまいます。

 

濃い味付けや甘い飲み物、毎日のスイーツでミトコンドリアの酸化ストレスが上昇、有酸素代謝力が落ちてゆきます。

 

つまり炭水化物中心の現代人の食事が代謝の柔軟性を奪っているのです。

 

アスリートで代謝の柔軟性が悪いとバテやすくなります。代謝の柔軟性に優れたアスリートは、かなり強度を上げても、また、長時間運動しても有酸素代謝で脂肪を使って走り続けることができます。というのは、ミトコンドリアの多いからです。逆に代謝の柔軟性が悪いと、限られた資源でる血糖を使ってエネルギーを作るためにすぐにエネルギー切れを起こします。本来、骨格筋の遅筋繊維にはミトコンドリアが多いのですが、食生活や間違った運動で、ミトコンドリアの数が減ってしまったせいです。

 

負荷の強い筋トレは、酸素を使わない速筋に頼るので、代謝の柔軟性は鍛えられません。痩せたい人が代謝の柔軟性を鍛えないままに筋トレすれば、トレーニングのたびに血糖値が下がって、過食になってしまいます。

 

ではどうしたら代謝の柔軟性をよくして有酸素代謝力を強化できるのか?

 

答えは、遅筋の鍛え方にあります。遅筋の中のミトコンドリアの数と機能が増強されると自動的に有酸素代謝力が上がり、脂肪燃焼が起こります。

 

ランナーやサイクリストの場合、脂肪燃焼で強度の高い運動を維持できるため、貴重なグリコーゲンと血糖をいざ!という時のために取っておけます。

 

では、どうすれば遅筋の中のミトコンドリアの数と機能が増強されるのか?

 

次回のブログでお答えします。