老眼鏡を買い直そうかと思ってます、二朗松田です。

 

メガネニカナウ5、無事終了致しました。

ご覧頂きました皆様、誠にありがとうございました。

今年もCチームの脚本・演出とデザインアレコレを担当、

パンフ、Tシャツ等お買い上げ頂きました皆様にも感謝申し上げます。

 

 

今回、Cチームは「M.O.U.(Man Of Ultra)(以下MOU)

という作品を作りまして、

以下には勿論そのネタ解説をしようと思うんですが、

いやー、今年はAチームが細川さん脚本、泉さん演出、

Bチームが勝山くん作演出と超強者揃いで、

トリのプレッシャー半端なかったです。

まぁメガネはずっとそうなんですが。

 

千秋楽、改めてABC全部観たら、

AもBもめっちゃオモロかったですね。

あんなのよく作るよな。

 

で、MOU、

 

なんですが、言ったそばからなんですが、

初年からずっとトリをやらせてもらって、

その「トリ」ってのを意識して作ってきて、

今回はそこをちょっと解除してみようと思って作った作品です。

一回自分本位でやらせてもらおうと。

結果、メガネらしからぬしっとりラストになってしまい、

誠に申し訳ございません。

 

2019年、例えば努力クラブとか、

空宙空地の30×30とか、

まいあがれとか月曜劇団もそうかな?

最近ならコトリ会議、

静かな時間がある芝居の傑作が多くて、

そこにちょっと影響受けまして。

Bが派手な感じやりそうだし、ウチはしっとりいっていいだろうと。

 

 

メガネ4終わって、例年通りメガネ次もやるってなって、

秋頃チラシ作るってなって、

いい加減前もってちゃんとネタ考えればいいのに、

例年通りギリギリまで何にも考えなくて、

例年通り慌ててこしらえたあらすじがこちら。

 

 

自分の中の「メガネ」というお題に対する答えが、

もう全然無くて、唯一残ってたのがウルトラセブン。

 

今更ですが一応説明しておくと、

ウルトラセブンの主人公モロボシダンは

ウルトラアイと呼ばれるメガネで変身するんです。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラセブン

 

ここを分かってないと、

亀山さんはオープニングで何をやってるんだろうってなりますね。

二十代の女の子とかに全然優しくないお芝居ですね。

ちなみにセリフでは出てきませんが、

あのメガネは「Eye Of Ultra」という名前があります。

 

よってオープニングのジャンとアンニュのやり取りは、

本物のウルトラセブン最終話「史上最大の侵略(後編)」の

有名なシーンそのままです。

そこにチョコチョコボケ入れて。

 

 

そこでジャンは怪獣退治より個人の幸せを選ぶ、

というか選ばされる。

あらすじにも新海誠の名前を引用してますが、

ここは本当に「天気の子」とかのイメージです。

あと、ゲームの「ラストオブアス」終わり方とかね。

 

でも、それも本当に正解なのか?

ってか正解って何? 正解なんてあるのか?

っていう思いから書いたのが、MOUです。

 

守るべきは個人の幸せなのか、

愛する家族なのか、

日本なのか、地球なのか、

遠い星の住人なのか。

 

映画「第9地区」がエイリアンもののテイで、

アパルトヘイト問題を描いたように、

移民、日本でも増えつつある外国人に対し、

我々はどう接するべきか、

みたいなところもテーマってかモチーフってか。

そこに家族とはみたいなところも混ぜ込んで。

 

ウルトラセブンとかって、

怪獣宇宙人を通して社会問題を描いてたじゃないですか。

やっぱりせっかくこういうのやるんだったら、

なんかそういうのやった方がいいのかなっていう。

最近のMCUとかもそうだし。

 

 

役名、ありがたいことにSTAR☆JACKSの下浦くんが、

ほぼほぼ正解書いてくれてるので、

勝手に引用させていただきます。

 

 

 

 

ありがとうございました。

大変助かります。

 

ゼットントンは上記の通りゼットンなんですが、

Bチームに為房くんがいるからというのも無くはないです。

 

これプラス、

アンニュ「アンタの彼氏、長野博というより、

     毒蝮三太夫だからね!?」

の毒蝮三太夫は、ウルトラマン、セブンに

それぞれアラシ隊員、イガラシ隊員として出演されてるとこから。

(石井伊吉時代)

 

もう一つ、これは土曜日の朝、

小屋入りする前に気づいたんですが、

現在放映中の「ウルトラマンタイガ」に

新山千春さん出てるんですね。

これは偶然のリンクです。

最近のウルトラシリーズは全然観てなくて。

 

ちなみに新山千春さんと黒田さんは

既に離婚してます。

 

 

ジャンとアンニュが所属してた部隊、

(ウルトラマンにおける科学特捜隊、

 帰ってきたウルトラマンにおけるMAT)

今作ではMOU(防衛庁対怪獣部隊)(Monster Opposite Unit)

としました。

これがMan Of Ultraと同じ頭文字にしてしまったんで、

もしかしたらややこしくさせてしまったかもしれません。

 

 

MOUの制服は安いツナギに黒いラインを

さぶりなさんが付けてくれました。

イメージ的には科特隊とMAT両方。

 

逸平さん演じる凶悪怪獣ドンパンとゼットントン、

それぞれパーカーとダウンジャケットを

ジャミラかぶりするだけですが、

これは庵野秀明の「帰ってきたウルトラマン」オマージュ…、

というほどでもないな、

アレが有りなら逸平さんでもいけるだろっていう。

 

 

逸平さんの怪獣姿、

特にゼットントンの方が、

ダウンの質感も相まって、

めっちゃ成田亨デザインぽくてお気に入りです。

 

そういや、公演中に「シン・ウルトラマン」の制作発表ありましたね。

楽しみ。

https://www.cinra.net/news/20191216-shinultraman

 

街の人々はAチームと山本香織さんにもお手伝い頂きました。

ありがとうございました。

香織姐さんは和服だし、

伊藤駿九郎くんは知らん間におかま言葉使ってるし、

ここどこだよ北新地かよってなりました。

 

ニュースで怪獣を台風のように扱うのは、

怪獣が毎年当たり前のように来てるというMOUの世界の状況、と、

現実世界で台風(他災害も)が

年々怪獣のように凶悪な存在になってることの両方を表したくて。

そういう意味ではここでも天気の子の影響はあるかも。

 

 

怪獣ニュースの後の麻薬報道の犯人は柏木幸宏。

赤魚島に出てきた田代くん演じる元イケメンヒーロー俳優。

折角のメガネだしなんかそういうリンクもあってもいいかなっていう。

 

そのニュースを読んでくれたのは、

サポートスタッフの玉井ちゃん。

ゼットントンのレポートは磯淵くん。

二人とも読み上手かった。

 

 

南北線という路線、

これはウルトラマンAの北斗と南からです。

超どうでもいいね。

 

過去に一度、ある企画で

「侵略者より真心を込めて」という

科学特捜隊モノのお芝居を書いたことがあって、

その設定をいくつか使いまわしてます。

その一つがシリウス生命グループ。

ユリココウジ金城市川もその時に出した役名です。

最初はそのお芝居のリメイクを考えてたんだけど、

金城が営業マンみたいに侵略してくることだけ一緒で、

あとは全く違うものになりました。

 

WOWOW、マジで20年前は夢のチャンネルだったんですよね。

今も優良な番組沢山やってるけど、

出てきた当時はホント憧れでした。

前田日明のリングスやっててね。

家にWOWOW引いてないから電気屋さんでずっと観てたなー。

 

 

市川金城とジャンのやりとり、

お客さんのツイッターでこれも当てられてましたね、

『ウルトラセブン』の伝説回、

第8話「狙われた街」、

メトロン星人とモロボシダンのちゃぶ台対談のオマージュです。

 

 

あと、映画「美しい星」のラスト近くの

リリーさんと佐々木蔵之介のバトルも意識しました。

 

 

この会談で明かされるジャンの秘密、

これもちょっとわかりにくかったかもしれません。

ジャンは生まれながらの宇宙人ではなく、

18歳の時にMan Of Ultraとぶつかって、

二体が融合した、という設定です。

 

金城   二つの隕石はそれぞれ生命体そのものであり、

     たまたま落下地点にいた生物と自分の命を維持するために、

     融合を試み、成功に至った、と推測しております。

 

これは、初代ウルトラマンの設定を拝借しています。

 

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマン

 

"科学特捜隊のハヤタ隊員は小型ビートルで青い球体と赤い球体を追跡するが、赤い球体と衝突したうえに墜落死してしまう。

赤い球体の正体はウルトラマンだった。M78星雲人の彼は、宇宙の墓場への護送中に逃亡した宇宙怪獣ベムラー(青い球体の正体)を追って地球までやって来た。そして、自分の不注意でハヤタを死なせたことに対する罪の意識からウルトラマンは、ハヤタに自分の命を分け与えて地球の平和を守るために戦うことを決意。こうして、ウルトラマンとハヤタは一心同体となった。"

 

なので、クロベエ(と一体化する生命体)はMan Of Ultraと戦っていた、

っていう裏設定があったり。

最初の構想では、Man Of Ultraとジャンの会話、

とかも考えてたり、

クロベエをゾフィー的な存在とする案などもあったり。

(猫は命が9つあると言われてるので、

 命を二つ持ってくるゾフィーと重なるな、などと)

 

 

「未知との遭遇」と「宇宙戦争」。

両方ともスピルバーグの映画ですが、

双方の家族に対する扱いがまるで真逆になってて

引用しました。

ざっくり言えば、「未知との遭遇」は、

男は家族を捨て、一人で宇宙人と一緒に宇宙へ行く。

「宇宙戦争」は侵略宇宙人と戦い、

家族の元へ帰る、というラストです。

 

詳しくはどちらも名作なので是非観て欲しいですが、

コウジはバカな男の子なので「未知との遭遇」のラストが好き、

アンニュは恐らく母として妻として「宇宙戦争」が好き、

ってことにしてます。

 

「宇宙戦争」じゃなくて「E.T.」でも良かったんですが、

(「E.T.」は未知との遭遇のラストを反省したかのように、

 エリオット少年は宇宙へ行かず家族の元に残る)

Aの山本香織ネタがトム・クルーズだったので、

最後に出せば円環構造に見えるかな、と。

あと、「宇宙戦争」のラストの展開はホント叩かれてたし。

 

それぞれのラストシーン。

未見の方は注意。

 

 

 

ジャン、コウジ、クロベエの3人で映画観てるシーンは、

赤魚島でボンクラ三人が「仁義なき戦い」観るシーンがあるんですが、

それが大好きだったので、自分でもやりたくなって。

 

 

 

音楽。

最初の怪獣ドンパン登場で、

映画「クローバーフィールド」のエンディングを使用。

以前笹川未希の一人芝居に使った曲です。

でもめっちゃ短い尺になってもた。

もっと掛けたかった。

 

 

 

ジャン  そうじゃあないんだアンニュ。

     僕はね。

     M83星雲から来た宇宙人、Man Of Ultraなんだ!

アンニュ !!

 

で流れるのは、

シューマン:ピアノ協奏曲イ短調作品54。

これもウルトラセブンそのままです。

 

 

市川金城とジャンの会話で流れるのは

ショパンのノクターン。

あのシーンは先述の通り「狙われた街」のオマージュなので、

曲もなんとなく似てるものにしようと。

 

 

 

いつもなら結構音楽使うんですが、

今作は少ないですね。

 

あ、音楽関連で言えば、

ジャンの故郷、M83星雲。

これはフランスのバンド「M83」より引用。

 

 

本編終了後、カーテンコールで、

ビートルズの「ア・ハード・デイズ・ナイト」を流してもらってて、

これは一応「M.O.U.」のエンディングとなってます。

 

"ホントにキツい一日で、もう夜さ

犬のように働いたよ

ホントにキツい一日で、もう夜さ

あとは丸太のように眠るだけ

 

でも君が待つ家に帰れば

君が色々してくれて

僕の心も復活するんだ

 

家に帰れば、すべて大丈夫

家に帰れば、君がギュッと抱き締めてくれる、ギュッとね"

 

 

お客様には、この曲が流れる中、

ジャンはあの後どうしたんだろうなー、

なんて考えてくれたなら、

作者としては嬉しいです。

 

で、実際ジャンはあの後どうしたのか。

その答えのヒントは実は、

香織姐さんのネタの中にあったりします。

 

"忘れてくれるな仕事も出来ない男に 

家庭を守れるはずなどないってことを"

 

 

つまり、まぁ…仕事したんでしょうね。

最後の亀山さんの顔、凄かったなぁ…。

いや、全員凄かったんだけど。

 

そう、今回Cチーム、

キャスティング完璧だったんですよね。

今までもいい面子とお芝居作らせてもらったけど、

今回ほどのまとまり・バランスの良さは初めて。

皆勘も良く、アイデアもあり、

稽古場内外で自ら動いてくれて

相当楽させてもらいました。

 

亀山貴也

永津真奈(Aripe)
田米カツヒロ(舞夢プロ)

さぶりな(IsLand☆12)
松田悠(ゲキゲキ/劇団「劇団」)
石畑達哉(匿名劇壇)
岡田怜奈

 

もし、以上の名前に見覚えがなければ、

是非とも覚えて帰ってもらいたい。

素晴らしい役者たちです。

 

 

さて、メガネ5、AもBもマジで素晴らしくて、

観劇中何度も自分の存在意義を考えたりしましたが、

この座組みの中に入れて大変光栄でした。

キャストの皆様、スタッフの皆様、サポートスタッフの皆様、

何より逸平さん、

今年もありがとうございました。

 

去年の野村さん勝山くんとのメガネも良かったけど、

20年以上前からの先輩細川さん、

いくつもの思い入れの深い作品を一緒に作った泉さん

とご一緒するメガネは今まで以上に格別でした。

 

多分、メガネ観て、楽しそう、自分も入りたい、

作・演出したい、ていう演劇人も多いかと思います。

事実死ぬほど楽しいですが、反面めっさ怖いですよ。

我こそはという人は是非逸平さんにアピールを。

 

 

一曲いきましょう。

Aの「コレスポンド」、Bの「バベルの扉」、

どちらも音楽の使い方が秀逸でしたね。

BのCoccoも良かったけど、

ここではAの方を。

ずっと勝山くんが三階でこの曲の物真似してました。

酷かった。

 

Siaで「Chandelier」です。