私がペンネームでとある雑誌に連載させて頂いている文章です。今回は作曲家についてリポートしました。
～ポチョンボ電子楽団専属の作曲家～
人民芸術家 リ・ジョンオ 리종오
リ・ジョンオは北朝鮮を最も代表する作曲家の1人である。普天堡電子楽団の草創期から活躍し「口笛」、「うれしいです」、「我が国が一番良い」、「都会の娘が嫁に来る」、「処女事節」、「女性は花よね」、「まだ言えない」、「統一の虹」「星 見に行こう」、「10月です」、「お待ちしていました」、「お味噌の歌」、「星たちが囁く１ ２ ３」、「我が祖国は白頭の国だね」、「曜日解釈歌」、「我々式が良い」、「この山河とても好き」等々専属歌手によって歌われた代表的な歌のほとんどが彼の作品である。指揮者も兼任しているためライブビデオではバックで指揮棒を振っている。長年同楽団の副団長を務めているようである。
最近では金正日総書記の後継者と目される金正雲氏を讃える最初の歌と外国メディアで報じられて話題に(？)なった「歩み」を作曲した。
人民芸術家 ファン・ジニョン 황진영
元は「映画と放送楽団」の専属作曲家で1987年に当時の人気No1女優呉美蘭(故人)主演の映画「トラジの花」の主題歌「深山に咲く花」、「我が故郷のこだま」が出世作となり、「生とは何か」、「生の痕跡」等映画主題歌をヒットさせた。
これ以降普天堡に移籍し、「あなたがいなければ祖国もない」、「たき火」、「私の名前を聞かないで」、「青い柳の木」、「共に行こうよ」、「社会主義を守ろう」、「祝願」、「また会いましょう」、「我が民族が一番だよ」、「我らは愛する」、「軍民一致を歌おう」、「懐かしの大河」、「偉大な我が国」、「興る我が国」、「妻の歌」、「もっと高くもっと速く」、「白頭と漢拏は我が祖国」、「我らはひとつ」、「先軍勝利 12の月」、「寧辺の緋緞処女」、「口笛男」等々実に数多くの印象的な曲の作曲を手掛け、リ・ジョンオと共に北朝鮮最大のヒットメーカーの1人として君臨している。
人民芸術家 アン・ジョンホ 안정호
90年代前半はワンジェサン(旺戴山)軽音楽団の専属作曲家として「正日峰の雷鳴」、「朝鮮の幸運」、「将軍様の軍隊になろう」、「朝も好き夕方も好き」などを世に送り出した。
96年頃に普天堡電子楽団へ移籍した後は「駿馬処女」、「飛行士の歌」、「日の出の瞬間」、「太陽の歌は永遠」、「ここが私の住む祖国」、「首領様は永遠なる人民の太陽」、「正日峰の春を迎え」、「正日峰の吹雪」、「大紅丹三千里」、「強盛復興アリラン」、「先軍ニルリリ」、「20世紀 追憶」、「統一6.15」等々、一貫して有名な曲を作り続けている。
人民芸術家 ク・スンヘ 구승해
作曲した歌は多くないが、「我らは党の軍隊」、「出会いの歌」、「全世界に輝く朝鮮よ」などがわりとよく聞かれる。作曲よりはカバー曲の編曲を主に手掛けている。さらに普天堡電子楽団の合唱と演奏で有名な「フルラリ」、「トンドルラリ」、「シナウ」、「龍岡ギナリ」、「永川アリラン」等の専ら北朝鮮で発掘され歌われるようになった一連の民謡を普天堡電子楽団の電子楽器をふんだんに取り入れた現代風のサウンドにアレンジした。
人民芸術家 チョン・グォン 전권
楽団の専属ピアニストを務めており、いつもバックバンドでは迫力のある演奏を聴かせている。歌謡曲をピアノ協奏曲として自身が編曲、演奏したものも数曲録音している。
作曲家としては「2月は春です」、「我らの将軍様を仰ごう」、「我が党が有難い」、「兵士達よ英雄となろう」、「平壌よ 君を守るため私は戦う」、「ああ白い雪」、「鯉明水の滝」、「乙女達が囁いた」、「2月円舞曲」、「統一は我が民族同士」など国民に愛唱される曲をたくさん手掛けた。ちなみに彼の妻は同楽団の人民俳優キム・グァンスクである。
人民芸術家 チャン・リョンシク 장룡식
最近は滅多に名前が登場せず、作曲した歌や写真も見つからないが、楽団の初期に「農場の若者達」、革命歌謡「応援歌」、新民謡「豊年鳥が飛んで来た」の編曲者として名前が挙げられている。人民芸術家(芸術家としての最高位)の称号なので相当の業績を積んだ人であることは間違いない。もしかしたら専属ではなく他の楽団の有名な音楽家かもしれない。
功勲芸術家 ウ・ジョンヒ 우정희
北朝鮮では珍しい女性の作曲家である。元々は旺戴山の専属で指揮者としても活躍していたとされ「私にとって最も貴重なものは」、「空の下の最初の家」、「銀の翼」など名曲を作曲した。普天堡では「輝け正日峰」、「金正日花」、「私は思う」、「青い空広げたい」、「うらやましいわ」、「首都の灯り」、「将軍様はパルチザンの息子」、「忘れられません」、「豆満江 我が祖国の川よ」、「幸福のアリラン」など現在まで広く歌い続けられている。
功勲芸術家 キム・ヨンス 김연수
人民芸術家リ・ジョンオと共に楽団専属の指揮者として活躍しており、ライブビデオの際は姿を見せる。作曲した歌は「忘れられないその夜」くらいで、編曲を多く手掛けているようである。
次回は今回紹介しきれなかった専属作曲家についてお伝えしたいと思う。（つづく）