口裂け女って知ってる?
都市伝説で有名な、あの話。

私が初めてその怪談を聞いたときは、小学生。
学校の怪談って本が出て、流行ったの。

下校時に口裂け女に襲われるという内容は、超ビビリの私には衝撃的で、下校が怖すぎて2日間学校を休むまで深刻だった。
その後も登校するものの下校時は、怯えに怯え、友達に家まで送ってもらう始末。
そんな私も数カ月後には、口裂け女なんて気にならなくなり、遊び呆けていた。

あの日。
授業後の校庭で、夕方のチャイムが鳴るまで遊んでいた。遊んでいた友達とは校門前で別れ、一人帰宅につく。
歩いてると、後ろから市営バスが私を追い越して行った。私が歩いてる道の先には終点の停留所がある。私の住む地域は団地。何棟もある団地群。そのためバス利用者が結構数いる。しばらくすると
先ほどのバスを下車したであろう人たちとすれ違う。
ひとり、ふたり、さんにん、、ん????
3人目の後ろの人物に釘付けになる。その人は、、

真っ赤なトレンチコートに
真っ赤なハイヒール。
真っ黒な長い髪。
細身で長身。
当時マスクなんて風邪以外つけてる人なんていなかったが、顔には大きなマスク。

口裂け女。。。と速攻思い出し、ブワッと体が総毛立つ。一瞬立ち止まったけど、女性を見ないように自然に顔を伏せて歩きだす。 
(私の脳内)
まさか!まさかぁ!だって、あれはただの怪談。作り話。あの人はきっと普通の女の人。
このまま自然にすれ違えばいい。大丈夫。何ともない。何も起きるわけない。人間。人間。でも。。。こんな格好している人、今まで一回も見たことない。。。

内心、心臓バクバク。だが好奇心も持っている子供だった。愚か。
すれ違いざまに、その女性の顔を見てみようと思った。興味本意。

視線を上げた。

その人は、
黒くて長い前髪の隙間から、大きな目玉をこれでもかというくらい、ひん剝いてこちらを見下ろしていた。

ヒッ。

悲鳴なんて出なかった。
一瞬だったが、思いっきりそれを見た私は、力の抜けた膝から崩れ落ちガードレールにしがみつきながら、その場にへたりこんでしまった。

ーーーーーーーー思考停止。
当時、か弱い小学生。
失禁しなかったのは本当に偉かった!と思う。
その女性が歩いて去ってしまったのがわかってても、視線も追えなかった。
動けずにへたりこんでるとバスの乗客だったのか、歩いてきたサラリーマンに、大丈夫?どうしたの?!と声をかけられたが、なんと説明したらいいかわからなかった。。。。

考えた結果、

目まいがして。。。と嘘をついたのだが、、、
子供が目まいを起こして座り込むなんて大変だ!と、大事になり、親を呼ばれ、当然だが嘘がバレ、一生に一度くらいの雷を食らった。
雷どころか、激雷だった。



結局、都市伝説より、生身の人間が1番怖いよな!


その後、その女の人も、似ている人も、一度も会うことはなかった。