母(当時89)が突然言い出した

隠していた現金が丸ごと無くなったから、金遣いの荒い娘が来て盗んでいったと主張。
この時点で、認知症を疑ったけれど、確たる証拠がないので、防犯カメラをしこたま見るが、来た様子はない。
「早く、鍵を交換して」と言うのだが、関係ないからと放置していたら、「また、持ってかれた」と言うではないか。
私が、「ねぇさん来とらんよ」と言うけれど、カメラ見つけて、映らないように入ったんでしょ?と現実的じゃない事を云う。

現金を隠すのだが、その隠し場所をチョイチョイ変えてるみたいで、覚えているのは最初に隠した場所だけなので、そりゃ、何処かへ行っちゃうのに決まってる。

「鍵を交換しないから、そうなるんだ」と怒り出したので、知り合いの工務店で、安心できる鍵屋さんを紹介してもらい、鍵を替える。

鍵を交換しても、現金が無くなってると、鍵を交換する前に持ってったんだと騒ぐ。「物盗られである」有り得ないのだが、母にしてみれば、それは現実なのだ。

地域包括支援センターに相談して、保健師さんに説得してもらい、指定された病院で検査を受けたら、なんと、アルツハイマー型認知症と確定。

今度は、ケアマネを選任して、デイサービスに通所してもらう事にした。当然、本人は嫌がっていたが、「見学だけでも」と、取り敢えず納得させて見学。
この時点では、まだ本人には告知していない。

認知症と分かったからには、通院させねばならぬ。服薬させねば、どんどん進行するからね。
最初に見学した施設は、「年中無休」が売りらしい。通勤途上にある関係上、こっちも安心である。

デイサービスにも行かせている。週一で通ってる。不満たらたら言いながら行くのだが、帰ってくると「楽しかった」と言うが、時々愚痴を言うのである。


あれから2年が経過してから「頭がおかしくなってる。混乱して何が何だかわからない」ときたもんだ。そして、何故この薬飲んでるの(・・?」と訊く。
「それはね、母さんが認知症だからよ。それ飲まないと、ボケーとしちゃって、見たがってる未来が見えなくなるよ」とさりげなく(ほとんど暴言)告知する。母は、良く分かってない様子だったが頷く。

「曜日が合わなければ、他の曜日に変更できるよ」と、変更する事4回。
今は落ち着いて、その曜日で通ってる。

やはり、認知症が進んでおり、昔話が多くなって、それも数日前に話したことを、初めて言うように話すのである。
来月あたり、介護度を決めるために、役所の人が訪問する。頑張らなくても良いからね。と釘を刺しておく。母は、他人が来ると頑張っちゃうからね。
今の状態なら、ワンランク上を行くくらい進んでいる。

最近よく寝るようになって、夕方起こしに行くと、「今日はどこ行くの?」と、朝と夕方を間違える。これは寝ぼけているだけかもしれないけど。
顕著なのは、「良く忘れる事」今言った事まで忘れる。エアコンのリモコンを置いた場所さえ忘れる。「確かにココにおいたのよ」と言うけれど、それとは関係ない場所にあったりするのである。

ここまで進んでしまうと、もう一人きりには出来ないので、仕事を辞めてしまった。何処に行くにも付いて行かなきゃならぬ。
 

幸いな事が二つ。
トイレと風呂は大丈夫。一人で出来るもん。である。風呂もトイレも介助が必要になったら、すかさず施設に行くしかない。母も、それを覚悟している様子。