ユダヤのヘロデ王は、兄である前王を殺し、妃を奪い、王となった。
妃の娘である王女サロメに魅せられ、サロメを邪な目でみつめるヘロデ王。
その視線から逃れるように宴の席をはずれたサロメは、預言者ヨカナーン(洗礼者ヨハネ)の声を聞く。
王の一家に諫言した咎で、ブロンズの水槽に囚われた美しきヨカナーン。
ひと目で恋に堕ちたサロメは、ヨカナーンを求める。
「そのくちびるなのだよ、あたしが欲しくてたまらないのは、ヨカナーン。」
しかし、ヨカナーンは彼女の忌まわしい生い立ちをなじり、サロメを拒絶する。
「退れ!バビロンの娘!近づくなソドムの娘!」
ヨカナーンはサロメを拒絶し、なおもヨカナーンを求めるサロメ。
そこでサロメはヘロデ王に、王の望む踊りを踊るかわりに、欲しいものをなんでも褒美に与えるように誓わせる。
王が誓うとサロメはサンダルを脱ぎ、月の光に照らされながら、七つのヴェイルの踊りを舞い踊る。
踊りを終え、喜ぶ王に一言。「私にヨカナーンの首をくださいまし」
洗礼者だけは殺せない、駄目だ、と懇願する王。「私にヨカナーンの首をくださいまし」
根負けした王は、ヨカナーンの首を持ってくるよう命ずる。やがて、銀の皿に乗せられてヨカナーンの首がサロメに渡される。
大きな雲が月を隠し、あたりは闇に染まる。
「あぁ!あたしはとうとうお前のくちにくちづけしたよ、ヨカナーン。」
一条の光が、サロメとヨカナーンの首を照らす。そして王はサロメを殺すよう命じるのだった。
“Salomé”(1893) - Oscar Fingal O'Flahertie Wills Wilde