八咫烏に変じる人々が暮らす山内。
宮中では次代の后を選ぶため
四人の姫君が後宮に集められていたー。
『烏に単は似合わない』 阿部智里
文春文庫
世界は八咫烏に変じる人々によって統べられていた。
その中心となる山内では
世継ぎの若宮の后選びが行われる事になった。
それぞれの分野で権力を持つ四家より
春夏秋冬を思わせる美しい四人の姫君が
若宮の寵愛をかけて競い合う。
しかし後宮では后選びのためだけでなく
不穏な空気が漂う。
いつまでも姿を見せない若宮、
切り裂かれた衣装、
盗みを疑われ転落死した侍女…。
四人の姫君それぞれの思惑を秘めたまま
ついに運命の時が訪れる!
いやぁ。これはなんともヤられましたね。
世界観が独特なので
そこに馴染めるかどうかでかなり好みが
分かれそうです。
幾つか気になる点はありますが
私は好きですね。この世界。
四家とその姫君たちを取り巻くあれこれ、
後宮を中心とした風景や
季節の移り変わりの表現がとても綺麗です。
世継ぎの君の后選びとなると
お互いへの嫌がらせや妨害工作などなど
女同士のドロッドロの争いが!と思いますが
そこはまぁ意外とサラッとしてます。
チクチクした物はありますけどね。
それよりも全体に漂う何とも不穏な空気が
読み進めるごとに落ち着かない気分にさせます。
どんどん緊張感が増していくんですよねぇ。
で、ラストにどんでん返し!
そうです。これ、松本清張賞受賞作なんですよ。
つまりはミステリー。
すっかり忘れて世界に浸っておりました(笑)
難点は語り手である姫君に好意を持てなかったこと。
なんとなく私が苦手なタイプなんですよ。
まぁそこも落とし穴だったのかな?
読む人によって四人の姫君の好みも分かれるだろうし。
そして何と言っても若宮が!
全然全く魅力的じゃない!
あんな人のために彼女たちがこんな思いをしたの⁉︎と
言いたくなるくらい★
ま、私が気に入った姫君がそこそこ幸せな結末だから
いいのかな~。
レビューなどを見ていると
第2作以降の方が好評なので
若宮ももうちょっと活躍するのかな?