ベルが鳴るとそこには…。 | 木蓮日記

木蓮日記

いにしえの都から各地を流れて現在は東北での生活。ぼちぼち更新していきましょう。

過去に湖で起きた二つの事故、

残されたシナリオ、

嵐の山荘に予期せぬ訪問者、

果たして仕掛けられていたのは !?


『訪問者』  恩田陸 祥伝社文庫


新進気鋭の映画監督が事故死した湖。

その畔にある山荘を二人の男が訪れた。

彼らを迎える住人たちに漂う不可思議な空気。

山荘には「訪問者に気をつけろ」という

匿名の手紙が届けられていたのだ。

同じ湖で死亡した長姉を見たと主張する少女、

次々と訪れる予期せぬ訪問者、

嵐に閉じ込められた山荘に現れた死者。

そこに隠されていた真実とは !?


恩田陸版・嵐の山荘、となると

かなりワクワクしてしまいますね。

各章がベルの鳴る音で始まる、という演出も

期待感を煽ります。

湖で事故死した映画監督、彼が残したシナリオに

隠された謎、

同じ湖で数年前に死亡した実業家、

匿名で届けられた警告の手紙、

次々と明かされる隠された事実、と

掴みはバッチリなシチュエーションです。


場面転換が少なく、登場人物の会話中心に進むなど

かなり舞台劇風の作品でしたね。

このところ舞台を題材にした作品を続けて

読んだせいかもしれませんが。

舞台も山荘とその周辺に限定されてますし。

一章ごとに秘密が暴かれさて、という所で

次の章、というのは上手い構成です。

どれだけ秘密が隠されてるんだ~、と

思っちゃいますけどね。だんだん☆

最初は主導権を握っていたはずの視点人物が

どんどん翻弄されまくり

探偵役はあっさり横取りされる辺りは

面白いですけど。

いやぁ。年長者の貫録勝ちって感じでしょうか。


難点は事件の真相にそれほどの驚きがないことかな?

ある程度は予測がついてしまうので

驚愕のどんでん返し!とはならないのが残念。

キャラクターも魅力的なんだけど

途中までは誰が誰だか、という感じだし。

ま、そのあたりは狙いなのかもしれませんが。

そういう点からも舞台劇っぽい雰囲気を

感じたのかもしれません。

虚構っぽさ、というか演じられてると言う雰囲気が

とても強い。

物語の中にのめり込んでハラハラドキドキ、というよりは

目の前で繰り広げられるお芝居を

鑑賞している感覚でしたね。

こういう雰囲気が好みかどうかで評価はかなり分かれるかも。

恩田さんによくある不条理や異世界的な部分は

少なかったので

私は楽しく読めましたが。