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 青森県青森生まれ、八戸在住の独立系ファイナンシャルプランナーのヒデです。

 

 2023年6月30日、日本郵政がこんなIRニュースを公開いたしました。

 2024年3月期の第一四半期(2023年4/1~同年6/30)において、約850億円もの「減損処理」を行うとのことです。

 

 これは、保有している楽天Gの株価が、取得時の価額より、6/30時点の価額が50%以上も下落したことによるものです。

 

 この話って、だいたいおおおよそ、日商簿記の2級の知識で理解できちゃうので、今回はそれについて書かせていただきます(なので、日本郵政の業績や株価の見通しについては、一切書きませんので、ご了承ください<m(__)m>)。

 

 

 日本郵政が楽天の株価を取得したのは2年前だそうで、各マスコミ報道を見ると、その価額は約1,100円で、投資総額は約1,500億円だそうです。

 

 で、日本郵政がIRを公表した6/30時点の楽天株価は499円。

 つまり、-54.63%。

 株価が半分以上も値を下げたってことです。

 

 日本郵政が所有がする楽天の株式は、13,100万株。

 ということは、13,100万×6/30株価499円=653.69億。

 つまり、約1,500億円から比べた時価評価も50%以上減っています。

 

 

 簿記2級では、子会社株式や関連会社株式は、「その他有価証券」として計上すると習います。

 

 で、それが市場価格があるモノで、その時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、時価を貸借対照表価額として、評価差額は当期の損失として処理しなければならないそうです。

 その基準が50%以上の下落だそうです(この辺は簿記2級では習いません💦)。

 

 ということは、日本郵政は保有する楽天株式を「その他有価証券」として計上していたということかと。

 

 それがもはや株価回復が見込めないとして、減損処理するに至ったのでしょう。

 今回、こんな仕訳をしている筈です。

 

 

 

 有価証券評価損という費用が約850億円発生し、その他有価証券という資産が850億円減った…。 

 

 これは誰かが日本郵政が使っている会計ソフトに入力したんでしょうか?

 もし、そうならば、私が担当でしたら、かなり手が震えてしまいそうです💦

 

 また、上掲のIR資料に記載の通り、日本郵政は洗い替え法を採用しているそうです。

 

 本ブログではカットしましたが、上掲のIR資料の下部にこんな記載がございます。

 

『当社は、四半期における有価証券の評価方法は、前述のとおり、洗替え方式を採用しており、減損処理に基づく有価証券評価損の額を第2四半期会計期間期首に戻し入れます。 そのため、第2四半期以降の当該有価証券の時価の状況によっては、有価証券評価損を計上しない場合もあることから、2024 年3月期の通期業績予想は当面据え置くものといたします。』

 

 第二四半期が始まる7/1には、逆仕訳を行って、楽天株式の評価を約1,500億円に戻している筈です(これも私だったら入力時手が震えちゃいますね)。

 

 もし、仮に楽天の株価が上昇して、日本郵政が保有数する楽天株式の時価評価が50%ダウンじゃなくなったら、もう減損処理をしなくともいいってことになります。

 まあ、もっと下がったらその分もプラスしてまたドガンと減損処理を行うことになりますが…。

 

 これくらいでしたら、日商簿記2級レベルでも読み解けますので、ファンダメンタル分析で投資をやらんと欲する方は、取得されてもいいんじゃないでしょうか。

 

(これだけ書かせていただきますが、日本郵政は楽天の株式を売却したわけではございませんし、この減損処理によって第一四半期に持っている現金が減ったわけでもございません。あくまでも持っている資産の評価金額の問題です。それが大幅に下がり過ぎたから、会計ルールに則って減損処理。そして第一四半期の財務諸表では、約850億円分の利益が削られて記載されます。)

 

 最期までお読みいただき、本当に感謝です!