本ブロクをお開きいただきまして、本当にありがとうございます。

 青森県青森生まれ、八戸在住の独立系ファイナンシャルプランナーのヒデです。

 

 とある上場企業の決算後の某掲示板をみたところ、そこが発表した自社株買いに関して、大激論が発生していました。

 

 ある方が「IR見たけどどこにそんなお金が?」

 これに対して別な方が「株やるなら簿記3級取ってからにすれば」※表現はもっと激烈でした💦

 

 IRとは、上場企業が行っている投資家向けの広報活動のことですよね。

 HPにIRコーナーを設けて、情報開示を行っております。

 

 せっかく公開してくれているんですから、株やっていなくとも簿記3級持っていなくとも、見てみて疑問に思ってもいいんじゃないかな~と思いました。

 

 まあ、私も専門家ではありませんので、えらそうなことは書きませんが、IRの中身について、簡単にわかるヤツ(普段私が見ているところ)について書かせていただきます。

 

 IRでもっとも重要視されているのは決算短信ではないかと考えます。

 これはその会社の決算内容をまとめたものですね。

 ちょっとみてみましょう。

 経営成績のところの△はマイナスってことですから、当期純利益にこれがついていたら、赤字ってことですね。

 

 あと連結財政状態のところに自己資本率ってあります。

 

 自己資本比率とは、返済不要の自己資本が、全体の資本(返済が必要な分も含む)の何%を占めるかを示す数値です。

 

 この値が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、会社の独立性に不安が生じます。

 

 高ければ、経営は安定しているということになります。

 

 これは決算短信には必ず書いてあるし、ネットで検索してもすぐでてくるので、ご自分で計算は必要ありませんが、一応、計算式は下記の通りです。

 

自己資本比率=純資産÷総資産(負債+純資産)×100

 

 で、上記の会社の自己資本比率はどうなんでしょうか?

 

 ちょうど2022年1月28日に経済産業省が、『2021年経済産業省企業活動基本調査(2020 年度実績)の結果(速報)』を公表されていました。

 

 調査対象が従業員50人以上かつ資本金3,000万以上の会社30,914社の売上高とか経常利益の調査結果です。

 

 この中に自己資本比率もありましたので、対比してみました。

 う~ん、同業他社に比べても低いですね。

 

 筆者補足:経産省調査は20年度実績なので、当該社の21年3月期決算と対比しました。

 以下比較も同様です。 

 

 続けて決算短信をずらずら見ていくと、貸借対照表ってのがでてきます。

 これは細かく見ているとキリがありません。

 ですが、パッと見て、サッと計算できる指標がございまして、すなわち流動比率です。

 

 流動比率とは、流動資産(1年以内に現金化が予定される資産)の流動負債(1 年以内に支払いを要する負債)に対する割合のことでして、その企業の短期的な債務返済能力を見る尺度です。

 

  この値が高いければ高いほどよく、一般的には120%以上、できれば100%以上はあった方がいいとされています。

 

 計算式はとっても簡単!

 

流動比率=流動資産÷流動負債×100

 

 たったこれだけなんで、お手軽に決算書を読み込んだ気分になれますよ💦

 貸借対照表のこの部分です。

 

 では、さきほどの会社のを計算してみると~。

 

 う~ん、100%切っちゃってますね…。

 

 こちらの会社は、八戸市に製造拠点を構えているところです。

 

 昨年(2021年)、そこ(厳密に書けば子会社)が希望退職者を募っていました。

 従業員の方がまあまあいらっしゃる(数百人規模、八戸では多い方かと)ので、ここに何かあったら地域経済に与える影響が多いかと存じます。

 

 ナントカ頑張ってほしいです!

 

 

 あと簡単に計算できる指標としては、売上高販管費率ってのもございます。

 これは、その名のとおり、販売費および一般管理費が売上高に占める比率のことを言います。

 

 これが高いと、経費かかり過ぎだぞ!って心配になりますよね。

 計算式はこれだけです。

 

売上高販管費率 = 販売費および一般管理費 ÷ 売上高×100

 

 決算短信だとこの部分です。

 こちらの数値の目安は、業種によって違います。

 

 試しにある小売業の会社(X社)のを計算してみて、先ほどの経産省調査の中の数値と比べてみましょう。

 X社の売上高販管費率は、小売業としてみれば高いってことになります。

 

 こちらの会社の決算短信って、販管費の中身も公開しているんです。

 なので、ついでに広告費だけで計算してみて比較したら、やっぱ高めですね。

 

 実はこの会社、八戸をホームタウンとするあるプロスポーツチームのスポンサーなんです。

 

 株主とかから、「販管費高くね~か~」とか突っ込まれて、スポンサー料減額とかにならないかちょっとだけ心配になりました。

 

(決算短信を見たら、今のところ大丈夫そうですが、今後、赤字とかそれこそ自己資本率や流動比率が悪化してくると、株主から販管費率について突っ込まれる可能性なきにしも非ずです。)

 

 もし、地元にプロスポーツチームがあって、熱烈に応援されていたら、スポンサー企業の売上高販管費率をちょっとチェックしてみてもいいんじゃないでしょうか。

(ついでに自己資本比率、流動比率も要チェックです)

 

 

 IRには決算の内容だけではなく、中期経営計画ってのも公表されています。

 

 別に決算短信の内容をみなくとも、その会社が目指している方向性がわかるので、これを見るだけでもいいかと。

 

 八戸では今年(2022年)2月、中心街にある商業ビルの再開発構想が報道されました。

 その開発を主導するのは某上場企業です。

 そこの中期経営計画を見てみたら、こんなワードが載っていました。

 

地方・シニア・富裕層・青森県プロジェクト・地方創生

  

 これはガチで再開発やってくれるな~って思いました(富裕層ってのが若干気になりますが…)。

 

 八戸市では今年今月(2022年5月)、老舗百貨店が閉店に追い込まれました。

 そこって親会社がコロコロコロ(私が知る限り3社)変わっていて、最終的に今の親会社が閉店を決めたんです。

 

 で、その親会社って上場していません。

 つまり、決算短信やら中期経営計画が見れないんです!

 

 そのせいでしょうか、閉店発表はいきなり感があって、結構、八戸市内はざわつきました。

 

 もし上場企業であったら、IRを確認していれば、なんらかのシグナルはあったと思うんです。

 例えば、特別損失処理とかです。

 退店費用を退店する前期に計上していたかもしれませんので。

 少なくとも、退店するところの資産を減損して簿価をゼロにするとかしていたかもしれません。

 

 上場企業であったら、この辺はIRで公開する筈なんですね。

 

 ステークホルダーって言い方がございます。

 これは、株主・経営者・従業員・顧客・取引先の他、金融機関、行政機関、各種団体など、企業のあらゆる利害関係者を指す言葉です。

 

 私はそこに住む市民や地元プロスポーツのファンもそこに含んでもいいかと考えます。

 だって、工場が閉鎖されたり、プロスポーツチームがなくなったりしたら、地元経済に影響出るんですから。

 

 ですので、地元に関係する会社が上場会社であれば、IRをチェックしてみてもいいんじゃないでしょうか。

 

 では、さきほどの百貨店の如く非上場企業だったらどうするか?

 

 もし、そこが何らかの補助金を受け取っているのならば、市役所に対して決算短信などを開示させて(もちろん、任意です)、市役所がその内容を確認すべきでしょう(そういう制度ってないのでしょうか?ご存じ方がいたらご教授ください<m(__)m>)。

 

(なんで市役所が?何故ならば、撤退に伴い解雇者が出たら、その再雇用とかを市役所が支援しなくてはならないからです。最近、青森県内の某市にてそんな実例がございます。つまり、普段から決算短信とかをチェックしていて、なんかヤバそうであれば、市長名で今後の方針を質問すればいいし、いよいよヤバそうだとなれば、撤退前から準備できるのではと考えます)

 

 私の感覚ですと、多くの企業が何らかの補助金を貰っていますので、それが可能なら多くの企業の決算短信を見ることができるでしょう。

 

 ですが、市民にまで開示させると、私みたいのが変な問い合わせを行って面倒が生じるリスクが想定され、それが進出の障壁になってしまうかもしれませんので反対です。

 

 最後までお読みいただきましたこと深く感謝申し上げます。