絵を描く場合、日常とは少し違った能力が必要になるのですが、絵を描く場合、

 

    観察する

    形状を認識する

    画用紙に描く

 

のような流れになります。これは、小学校の図画・工作でも同じですが、習い事をしている人とそうでない人では能力に差が出てしまうのもこの能力の差になります。

 

 今回は、描く時の能力の話と学校のカリキュラムについて書こうかなと思います。

 

 

を観察するのか?を知る           

 

 絵を描く時に 【 よく見て描く 】 必要がありますが、これは観察する事を意味しています。なぜか、この辺りが 【 国語的 】 なので明確になっていない部部長りますが、そのそも、 【 美術は幾何 】 なので、 【 数学的な物 】 になりますから、絵を描く時に見えている物は、 【 定数 】 なので、 【 存在する定数の取得 】 を行う必要があります。

 

 この時に、 【 存在する物 】 と言う 【 空間内に存在する定数 】 を取得して画用紙に持ってくることになりますが、定数と言う事は情報が存在するので、どう言った情報の 【 集合 】 なのかを考えることになります。

 

 

■ 形状の取得                     

 

 絵を描く場合、画用紙の中にアタリを付けることになりますが、この時に

  

    何が主題で、

    どう配置して描くのか?

 

を考えることになります。肉眼で見えている物を描く場合、

 

    主題だけ

    主題+風景など

 

のように条件で描き方が変わってきますが、 【 視点 】 を作る作業が発生します。

 

 人の視野角は

 

    水平 : 200°

    垂直 : 125°(上:50°、下;75°)

 

位あり、情報需要能力に優れる有効視野はもっと狭く

 

    水平 : 30°

    垂直 : 20°
 

になります。ちなみに、安定注視野は、

 

    水平 : 60~90°

    垂直 : 45~70°

 

と言われています。

 

■ 安定注視野                     

 

   注視点(視点)が迅速に安定して見える視野のこと

 

 

 映像効果で、臨場感を感じ始めるのは20°で始まり、110°程度で収束すると言われていますが、これは対角ではなく水平画角なので、一般的なレンズだと、12mm(35mm換算)の場合は112°なので、この辺りまで使ったとしても臨場感を感じる範囲に収まっている事になります。16:9で上下を切るった場合、より臨場感を感じると思いますが人の視野と印象には関係性があります。

 

 ちなみに6歳児位だと、平均的な視野は

 

    水平 : 90°

    垂直 : 70°

 

とかなり狭く、身長が110~125cm位なので、大人が中判で腰だめをした時のような高さの視点で、18mmのレンズで見ているよう菜状態で日常を送っており、何かを見ている時にはこの半分くらいの数値になりますから、40mm位の水平画角で見たような世界で物が見えています。

 

 身長との対比で考えても大きなものが多いはずですから、見えている世界が大人とは全く違うので、その時に見えていた物を大人になってみてみると全く違って見えてしまします。つまり、 【 大きかったものが小さく感じる 】 のもありますが、あおりで見てていた物が俯瞰で見るようなサイズになっているので、そもそも 【 始点 】 が異なる訳です。 

 

 この条件で見ると、

 

    始点の違い

    視野角の違い

    スケール感の違い

 

があるので、見える物が違ってくるわけですが、子供の頃だと、大人になるとマクロレンズやルーペを持ち出さないとダメなサイズでも身長との対比を基準とした体感的なサイズ感としてはそれよりも大きく感じている訳です。

 

 例えば、30cm位の赤ちゃんが高い高いをされている時の始点の変化は、大人で考えると、 【 12m位の大巨人に18m位上まで逆バンジーのような状態で上がっている状態 】 ですから、 【 日常では体験しない物 】 になります。スケール感の違いは、これ位の差になるので、体感的な物に合わせるとこれ位の違いが出てしまうわけです。

 

 奥行き感の認知も 【 体との相対比 】 で考えることになるので、100mと言う距離も小学校1年生と大人では全く違います。と言う事は、 【 身長の相対比を係数とした距離感 】 で世界が見えている事になりますから、捉え方も異なる訳です。

 

 絵を描く時には、 【 自分の伸長などを基準とした距離感 】 で空間を認識して描くことになりますが、肉眼で見て描く際に、被写体を中心として、

 

    垂直軸での回転

    水平軸での回転

 

で視点を作る事になります。つまり、垂直軸というのは、周辺を回ってみてどの視点で見るのか?になりますが、

 

■ 始点の変化の例                  

 

のように被写体を中心にどの視点で見るのかで見え方が変わります。水平軸の回転というのは、

 

    あおり

    俯瞰

 

になりますから、

 

■ あおりの例                     

 

■ 俯瞰の例                      

 

のように見上げる始点と上から見る視点の違いがあります。アオリの場合、

 

 

のような感じになりますが、 【 見上げた方が効果的になる物 】 の場合に使います。風景画だと 【 高さ 】 のある物を、高く見せる場合の考え方になります。当然。その場合、主題が縦方向に長いので、これをメインにすr場合だと、縦構図の方が効果的に構図出来ます。

 

 俯瞰の場合、 【 全体像 】 とか 【 形状を上から見た方がいい場合 】 に使います。この場合、 【 高低差の表現 】 をする時に、渓谷などの 【 深さ 】 などを表現する場合で、見下ろして高さを出すような見せ方だと上から見る事になりますが、高台からの風景を見下ろすように撮る場合も俯瞰になります。

 

 カメラで何かを取る場合、台において斜め上から撮影した写真を見かけると思いますが、あれも俯瞰ですが、 【 風景画を描く時に宙づりになって航空写真のように事件を見ながら描くというアクロバティックな事をする人はいない 】 と思いますから、通常は、俯瞰で見る場合には、 【 斜め上からの視点 】 になります。その為、

 

■ ダイナミックペイント                

 

も俯瞰になります。

 

 この条件で考えると、前述の二軸の回転が加わ絵る事で構図をする事になりますが、もう一つの軸の奥行き方向に延びる軸だと画面を傾けて描くことになるので、斜めに被写体を入れるような描き方をする時には、この軸の事を考えることになりますが、通常の描き方だとそのまま見て描くと思うので、主題と風景の状態を考える場合、安全が確保できている前提で、主題の周辺を回って最適な場所で視点を作る事になります。

 

 

■ 引きと寄り                      

 

 絵を描く場合は肉眼と言う単焦点レンズで見た物を描くので、引き取寄りの概念と言うのは、カメラでの撮影だと 【 ドリー 】 に該当します。つまり、 【 ドリーイン・ドリーアウト 】 になりますから、カメラの場合だと、 【 ワーキングディスタンスの変化 】 になります。

 

■ ワーキングディスタンス             

 

   レンズ前面から被写体までの距離のこと

 

 

ズームレンズの場合だと、焦点距離の変化で、奥行き感まで変化させることが出来るのですが、肉眼で距離感が変わる人はいないので、単焦点レンズと同じ状態になります。

 

 その為、どれくらいの距離まで近づいて、主題と風景を収めるように描くのかを考えることになりますが、風景画やデッサンの場合だと、距離があるので、 【 視界の中から部分的に描く場所を抽出する 】 事になります。つまり、 【 クロップ 】 を行ってその部分だけを描くことになります。

 

 そうなると、 【 クロップした部分を画用紙に描く 】 ことになりますから、 【 アタリ 】 を付けることになるので、どれくらいのサイズで収めるのかを決めて描いて行く事になります。

 

 

■ 空間内の情報                    

 

 これは少し難しい作業になりますが、空間内に存在している状態には、

 

    形状

    色彩

 

が存在します。絵を描く場合だと、形状の捉え方として、

 

【 シルエットで捉える 】

 

と言う方法があります。水彩画とかデッサンだと外形線に該当する部分になりますが、この時のラインは 【 アウトライン 】 なので、その形状を線で示した物になります。

 

 では、この外形線を描く時の精度を上げようと思うとどうすればいいのか?と言うと、 【 立体ではなく、平面の影として2Dで捉える 】 と言う方法があります。

 

 この時に、単体のパーツの外形線を拾う事になりますから、単一の形状のみを取得する事になります。

 

 形状を捉える時に、多角形で収まるような単純な形状だといいのですが、人のシルエットなどは結構難しい形状になりますから、こうした形状を捉える時には、算数や数学で登場した 【 平面図形の面積の出し方 】 と同じ考え方で形状を分化して考えることになります。

 

 平面図形の面積については、

 

    幾何の加減算

    幾何の四則演算

 

のような物になりますが、行っている内容は、 【 集合演算 】 なので、グラフィックツールを使った際に使用する 【 ブーリアン演算 】 になります。これについては、

 

 ■ 形状を作る 【 Blender 】

の中で触れていますが、

 

 

のような2つの形状があった場合に、これが組み合わさった条件だと、

 

 

になりますが、この条件は論理和(OR)と同じ状態になります。なので、これは 【 和集合 】 ですが、面積を出す場合には、この状態から、重複している部分を除去する必要があります。その為、

 

 

の赤い部分を出す必要がありますが、これは形状Aと形状Bが重なっている場所になりますから、 【 論理積(AND) 】 になります。その為、この赤い部分の判定は、 【 共通部分 】 になります。

 

 つまり、この2つの図形が重なった形状自体は、論理和や和集合の結果になりますが、面積の計算時には、この条件から、論理積や共通部分を削除する事で、面積の算出をしています。

 

 削除と言う処理は、 【 論理否定(NOT) 】 になりますが、これは、

 

 

の集合から

 

 

の青い正方形を除去して、

 

 

にするのと同じです。これが 【 論理否定(NOT) 】 になりますが、集合演算だと、 【 補集合 】 になります。集合と論理は高校の数学で登場しますが、集合には

 

 

のような物がありますが、

 

 

のように論理演算とも共通した物もあります。シルエットを捉える場合は、この中の 【 和集合 】 のように 【 形状の組み合わせ 】 でシルエットを取得すると理解をしやすくなりますが、色を考えずに、個別の境界線を 【 形 】 で捉えると外形線の精度を上げることができます。

 

 筆でいきなり描くような方法は 【 形状認識 】 が出来ると行えるようになるので、 【 能力が見合わない状態でそれをすると形状を捉える能力が身に付かない 】 ので、 【 描ける物と描けない物が出てきてしまう 】 ので、まずは、この 【 シルエットを捉える 】 と言う方法から身に着けた方が作業がしやすくなります。

 

 パースとは少し違う概念なのですが、目で見えている物をけ上で捉えて形にするという描き方だと、デッサンとかがそれに該当しますからまずは、 

 

    形の把握

    形の理解

    形の再現

 

を行うと、目で見ている物を平面に起こしやすくなります。

 

 人力で行う 【 3D-2D変換 】 だとこの方法になりますが、アタリの撮り方として、平面ではなく、立体でアタリを取る方法もあります。イラストだと比率があっていれば、その状態から描けるようになりますが、この時に 【 直方体の集合でアタリを取る 】 と形状を整えやすくなります。これについては後で振れますが、目で見た物を平面の画用紙に描く時に、外形線の精度を上げる場合にはこうした方法もあります。

 

 

■ 色彩の構成要素                   

 

 これは、デッサンと塗りで少し変わってきますが、デッサンの場合だと、 【 色の対比による明度の取得 】 と言う 【 RGBの平均値 】 を使うような色の判断をして濃淡をつけて行く事になります。

 

 デッサンの場合モノトーンですから、 

 

【 重ね塗りで影を増やす描き方 】

 

になります。その為、透明水彩と同じで明るい色から濃い色に向かって重ね塗りをしていくようにします。デッサンだと加筆で濃度を上げて行く事になりますが、ハッチングで影をコントロールして、向きを変えながら密度を上げていくと、濃淡をコントロールしやすくなります。

 

 着色がある場合だと、デッサンの効果は、

 

    シャドウ

    ハイライト

 

になるので、この状態に色の情報を追加する事になります。そうすると、この場所に存在しているグレースケールの濃淡を色の階調として利用できるのですが、カラーを使う場合だと、色の方向性まで濃淡で出しているので、色を付ける場合だと、

 

    色の方向性

    明暗

    濃度

 

で考えることになります。美術の授業で水彩画などを描く場合、外形線を描いてから色を追加していきますが、この時に、色の選択と同時に明暗や濃淡をつけることができます。色を塗る場合には色々な方法がありますが、

 

    調合した色を塗って重ね塗り

    三原色の乗算効果で色を重ねていく

 

と言う方法があります。後者については、学校の授業以外だと、

 

    透明水彩で塗る

    白やグレーなどをポスターカラーで重ね塗り

 

と言う事もできますが、透明水彩で塗る場合だと、

 

    三原色の中の二色を混ぜる

    二色のいずれかに偏らせる

    作った色の濃度を決める

 

ようにすると 【 中間色 】 を作る事ができます。ここに

 

    ハイライト

    シャドウ

 

の色を作って塗っていくことになります。基本的に絵の具は乗算合成なので、明るい色はつぶれるので、学校で使うような透明水彩の場合だと、白色はマスクをして塗らないようにする部分になりますから、これと同様に明るい色の場所に暗い色や強い色をいきなり塗らないようにする必要があります。

 

 この 【 乗算の法則性 】 を事前に理解して、明るい色(白や黄色のように寒色系ではない物)から塗っていくと修正できないような強い色を乗せてしまうような失敗がなくなります。

 

 水性塗料でも

 

    ポスターカラー

    ガッシュ

    アクリル絵の具

 

の場合だと重ね塗りが出来るのですが、透明水彩はそれが無理なので、淡い色の場所に濃い色を塗ると集積が出いなくなり、不透明水彩ではありませんから、上から白色や黄色を重ねることが出来ません。

 

 三原色の乗算効果を使う場合だと、最初にウォッシュでベースカラーを塗ってそこに色を重ねていく方法になります。PCでこの乗算合成を行う場合だと、RGBではなくて、CMYでRGBを作って、CMYのいずれかの方向に偏らせて使うような流れになりますが、アナログの場合だと、赤色、青色、黄色の三色をかなり薄めた状態でベースを塗ります。この上に薄く同じ色を重ねると濃度が増しますが、別の色を薄く塗ると中間色になります。その為、三つの色をウォッシュで使った場合、

 

    黄色のウォッシュ : 橙色と緑色と濃い黄色

    青のウォッシュ   : 紫色と緑色と濃い黄色 

    赤色のウォッシュ : 橙色と紫色と濃い赤色

 

ができます。濃淡とは別に、明暗に黒や白を加えたり、中間色に残りの一色を少量混ぜて濁らせていくと影色を作れるので、

 

    光沢部分

    影の部分

 

を作る事ができます。濃度では表現できない影の部分で、黒色ではなく、元の色が残っている場合だと、中間色に使用していないもう一色を少量ずつ混ぜていくと明度を下げた色を作る事ができます。素直に黒を混ぜた方が綺麗になる場合もあるので、パレット上で比較してみて、何か別の紙に塗ってみて色を核にして調合すr事になりますが、そう言った色の作り方もあります。

 

                                

 

 目で見て描く場合、始点と距離で状態を決めて、そこから、描く範囲を決めて画用紙にどれくらいの大きさで描くのかを決めることになりますが、空間内の状態は、 【 形状 】 と 【 色彩 】 があるので、形をシルエットで得た後に、色の方向性と明暗の状態を見てそれを元に色を追加して行く事になります。デッサンの場合だと、最も明るい場所と暗い場所に対してどの程度の差があるのか?を考えながら描くことになりますが、CGの場合だと、RGBの階調の数値の平均を出す事でグレーにしていますが、濃度や明度などで明るさを決めて濃淡を追加する事でグレースケールで描くことになります。この状態だと、濃淡までグレーが乗っているので、着色とは少し違う(デジタルだとこの情報を使う事もできますが...。)ので、中学校のカリキュラムのように透明水彩を使う場合だと、シルエットを外形線で描いて着色して行く事になります。

 

 透明水彩を使った描き方も色々ありますが、学校のカリキュラムだと【 形状認識 】 と 【 色彩感覚 】 を養うという要素もあるので、シルエットを描くことで形状認識や再現が出来るようになり、そこに塗る事で色彩感覚を得るという感じになっていると思います。粋な襟描ける人はそのまま描いても大丈夫だと思いますが、描いたことがない人がいきなり絵具で塗るのは難しすぎるので、 【 画材に慣れる 】 という意味でも 【 塗る目安になる境界線 】 があった方が失敗が少なくなります。 

 

 

 タリを取る                     

 

 イラストを描く時にプロを真似ていきなりラインから描くようなことをすると 【 形状認識能力が違い過ぎるのでおかしなものが量産されてしまう 】 ので、基礎分野として、 【 形状を捉える能力を養う 】 必要があります。

 

 これも、先程の 【 シルエット 】 と同じ考え方なんですが、風景画とかデッサンの場合、動かない物を基準としているので、状態が維持された物を描くことになりますが、イラストの場合、キャラのポーズと言う 【 動き 】 が発生します。 

 

 この場合、比率を知らないと無理ですし、その比率になるように描くとしても、パーツが複数集まった物なので、形状を分解して考える必要が出てきます。キャラの等身とポーズの練習をする場合には、棒と◯でキャラを作って、寸法や比率が破綻しないようにポーズを付けていくと、動きをイメージしやすくなりますが、ここに肉付けをした物を使うと、下書きを描く時に使用できます。この時に棒だった場所に立方体や四角錐台を組み合わせて形状を作り、ポーズを作ると破綻しなくなります。最初は真正面を向いて立っている物で大丈夫なので、人の写真を用意して、そこにトレーシングペーパーを置いて、上から関節部部で区切って立方体を配置していきます。

 

 この状態を基本として、別のポースの写真に同じ構造を配置してみると、腕や足などの状態がそのまま反映できるのですが、この構造を首や動体に入れて違和感なく動くようにして、手のひらと指のような分かれた部分にも適応してアタリを取ると 【 手の表情 】 のアタリを取れるようになります。この描き方ですが、

 

【 絵を記号として覚えるのではなく、あくまでも構造体の

状態変化として捉える 】                

 

為の物になります。記号で覚えて手に慣らせてしまうと、描けない物が出て来るので、そうならない為には、

 

    シルエットを正確に得る

    アタリを取って形状に対応できるようにする

 

必要があります。これを直方体で行うと色々とメリットがあるので、基本的にはこの方法を使った方が描ける物を増やす事が出来ます。

 

 立方体の塊でアタリを付けると、俯瞰とアオリの変化についても、どう見えるのかをイメージしやすくなるので、顔の向きの変化にも対応しやすくなります。

 

 

 透視図法                     

 

 中学校2年生の美術では、透視図法が登場しますが、この方法を用いると、奥行きを表現しやすくなります。透視図法の練習としては、直方体や立方体を描いて覚えるのが速いのですが、キャラのアタリを立方体にした場合、パース線を使ってキャラのアタリ用の立方体に対してもパースを付けることが出来るようになります。

 

 この時に 【 消失点の数を幾つ使うのか? 】 を考えることになりますが、小質点の数で形状の絵描き方も変わってきます。

 

 

 点透視図法                    

 

 一点透視図法ですが、消失点に向かって辺を繋いで奥行きを出す技法なので、 【 垂直 】 や 【 水平 】 な線分を用意した場合、任意の形状の 【 三角形 】 が出来上がります。この三角形と辺を追加して相似になる三角形を作ると、

 

    三角形

    台形

 

ができます。透視図法では、この 【 台形 】 の部分を使う事になりますが、これを垂直と水平の部分で使用してみると、L字に曲がった板に奥行きが付いたような状態になります。ただし、このままだと厚みがないので、L字に足して厚みを付けると、立体に見えます。

 

 立体を描く場合、三次元を構成する三軸に水平なラインで構成された物の方が描きやすいのですが、この条件を満たしているのが、

 

    立方体

    直方体

 

になりますが、一点透視図法では、四角形を描いて、見えている面が発生する頂点から消失点方向に向かって線を引くと奥行きによって変化が発生するパースを取る事ができます。

 

 描いている物自体は、底辺がn角形の

 

    n角錐

    n角錐台

 

になりますが、

 

【 見ている人に ”底” が見えている状態でそれを描く 】

 

ことで、 【 一点透視図法 】 は成立しています。

 

 この条件で考えると、 【 奥行きの軸方向 】 は三角形の斜線なので、小質点と辺の距離や三角形の角度で変化しますが、垂直と水平のラインは変化しませんから、正面から見た時に 【 面 】 になる形状の場合だと、その部分は 【 面 】 として描いて、

 

【 その面に対して、消失点方向に厚みを付ける 】

 

事が出来る画法になります。

 

 キャラクターなどをこの透視図法を使って描こうとすると、どうしても重なりが出来上がるので、描き方を考えなければならないのですが、イメージとしては、3DCGのレンダリングと同じ考え方でレイヤーを扱うと、この問題も解決します。レンダリングについては、

 

 ■ 3DCG

で触れていますが、透視図法で物が重なる場合だと、しっかりとした外形線を描いてしまうと消せなくなるので、下書きをうっすらと描いて、必要なラインを残すような方法になりますが、Zバッファ法のような感じで、奥にあるものからパースを取っていくとパースが破綻しません。

 

 Zバッファについては、

 

 

 

のように奥側から手前に向かって形状が生成される方式になりますが、視点の奥が解ら形状を描いていくと、前面と奥にある物が重なったとしても、奥にある物を先に描いておくと上から描いて下書きを消せばいいので、問題なく描くことができます。

 

 透視図法で重なった形状がある場合だと、最初に奥にある物からディテールを描いて、その後に、その物体よりも前に来るものを描いていくと、入り組んだものを描いたとしても、パースを取る事ができます。

 

 

■ 一点透視図法の効果               

 

 一点透視図法については、消失点が一つなので

 

【 明確に視点が集まる点を用意できる 】

 

と言う特性があります。見ている物の視点の位置が確定するので、そこを基準とした 【 視点によって用意されているライン 】 も存在するのですが、これが 【 アイレベル 】 になります。

 

 一点透視図法の場合、 【 奥に抜けているような構図 】 を描けるのですが、奥に抜けているという事は、その方向に始点を誘導できると言う事ですから、小質点宝庫に始点が行きやすいという特性があります。構図を考える場合、 【 日の丸構図 】 のように目立つものを真ん中に置く方法もありますが、画面を均等に9分割して、その交点のの部分にオブジェクトを配置したり、そのラインに合わせてオブジェクトを配置する方法もあります。風景だと、 【 三分割法 】 があるので、 【 陸地と空 】 という対比で考えた場合も、三分割法で、

 

    【 空:2 】 : 【 地面:1 】

    【 空:1 】 : 【 地面:2 】

 

のように分けることもできます。現在のカメラやスマホヤタブレットのカメラアプリでもこのガイドが入っているので撮る時にこれに合わせて撮ると、水平が破綻する事もなくなりますし、お渦を作りやすくできますが、対比をして並べる場合にもこの場所ガイドを使うと構図を決めやすくなります。

 

 映像や写真には視点誘導効果を用いると主題に始点を持って行く事が出来るのですが、色彩の場合だと、

 

    明度差

    彩度差

    色相(補色の関係)

 

などがあると視点が特定の場所に集まるようになっていますが、ディテールでも視点誘導効果を得る事ができます。この辺りは、動画や写真で見かける方法ですが、 

 

    デプス(被写界深度)

 

による効果で主題とそうでない物を分けることができます。ゲームでもこうした機能は存在しており、DoFを用いると、被写界深度を与えることが出来ます。被写界深度自体が光学系の現象なのでCGでは存在しない物なのでそのままレンダリングすると

 

■ クロスシミュレーター               

 

■ ダイナミックペイント                

 

■ UPBGEのテスト(1)                

 

■ UPBGEのテスト(2)                

 

のような感じで奥行きの変化はなく完全なパンフォーカスの状態になります。これにDoFの効果を適応する場合だと、ポスプロで追加する物になりますが、

 

■ DoFを使った事例                  

 

のような感じになります。UPBGEで使用すると、

 

■ UPBGEで使用した場合              

 

特定の場所のみにフォーカスが来て、それ以外はディテールが主張しなくなっています。この時にどこまでのディテールを出して、何処からを出さないようにするのかでフレーム内の状態をコントロールする事になりますが、視点や意識レベルで見ると、ディテールの無い場所よりもディテールのある場所に意識や視点は集まります。その為、DoFを用いると視点を意図した場所に誘導できるわけです。近年のイラストもデジ絵の場合だと、被写界深度を与えた描き方も当たり前に見かけるようになりましたから、視点誘導効果が色彩だけではなくなっているのですが、ディテールの変化でもそうした効果を得ることができます。

 

 一点透視図法の場合、漫画で使用される効果の 【 集中線 】 が部分的にディテールに入っているような状態になりますが、集中線の効果は 【 視点誘導 】 ですから、この情報が入ると、人の視点は、ラインを沿ってその中心点に集まる特性があります。

 

 その為視点誘導効果がありますが、一点透視図法の場合、構造的に 【 集中線が存在するのと同じような効果を得られる 】 ので、小質点方向に始点が流れていく特性があります。

 

 その為、透視図法を使ってパースを作ると、画用紙の中に消失点がある場合だと、その点に向かって視点が集まるので、修礼を底において、そこからパース線方向に何かが展開するようにすると視点はそこに集まります。

 

 その為、一つの方法として、  

 

【 視点を集めたい場所に主題を置いて消失点を隠す 】

 

と言う方法もありますが、 【 主題に向かって収束する 】 ような視点を作ると、主題を際立たせることができます。

 

 

■ 一点透視図法の使い方             

 

 ざっと描いた物になりますが、

 

 

のような感じの物を描けます。これについては、上のが奥に抜けるように消失点を用意した物で、下の物が左側に消失点を用意した物になります。

 

 また、オブジェクトを奥から描いていくと、

 

 

のような感じで柾なった物を配置する場合でも位置関係を核にしながら描くことができます。この時のオブジェクトを配置した時の床と天井は、 【 平行に引いた線の上にある 】 ので、手前に見えている面を描いて、そこから重ねていくような感じになります。

 

 立体の形状も直J包帯をベースに考えるとパースの影響を考えやすいのですが、透視図法だとアイレベルよりも下の物は天井が見えて、それよりも上の場合には裏面が見えます。

 

 つまり、アイレベルを高くすると、アオリになるので、底が見えるようになり、下に下げると俯瞰になるので、天井が見えます。この辺りは、二点透視図法や三点透視図法でも同じですが、

 

 

のように描くと、近い場所にある物だと平面で配置すると視点を無視して平面的な物を配置すると違和感が出る事が解ります。