彼は火の精霊であった。
彼の身体も髪も紅く、髪は逆立っていた。
身体はほんの30cmほどで、目は黄色かったが彼は眠っていることの方が多かった。
精霊たちの世界には、火、水、木、地の精霊がいて、仲の良い者もあれば悪い者もいた。
私は水の精霊のひとり。
湖畔でいつも昼寝をしている彼を見るのが好きだった。
湖畔の大きな岩の上で、身体から、髪からパチパチと火花が散る。
水面に落ちて消えゆく火花。
彼の寝た後には、いつも岩は黒く染まっていた。
小さな湖ではあるが、苔や草木が生い茂り、優しい香りを漂わせる。
水を多く含んだ、森の香りである。
彼が歩くたびに、その香りはふと焦げ臭くなる。
足跡が黒く焦がされる。
しかし、ここの草木は静かに、風の音と共にすぐに元へ戻る。
その頃には、彼はいつもの岩の上で寝息をたて始めていた。
しかしある日から彼はあまりここへ来なくなった。
来れども、その顔は浮かなく疲れ果てているようだった。
私はすぐに気づいた。
彼は「妖(あやかし)」になってしまったのだと。
妖は呪術者に使役される精霊のこと。
彼はその命を、人に握られてしまったのだ。
そしてあちらの世界で、身を粉にして働かされているのだ。
ここへ帰ってこられる回数が減っているのは、それだけあちらへ呼ばれる機会が多いからだ。
妖はにおいが変わる。
あちらの世界のにおい、人のにおいを携えているのだ。
こちらには馴染まない、異世界のにおいを。
なぜ、我々精霊が人のために命を握られ、使役されねばならないのか。
我々が吹けば死んでしまうような奴らに。
私はもう一度だけ彼を見た。
水面は静かに波打つ。
そこから消えた少女の名残を残して。
ぐるっぽに投下したので、ついでにこっちにも。
彼の身体も髪も紅く、髪は逆立っていた。
身体はほんの30cmほどで、目は黄色かったが彼は眠っていることの方が多かった。
精霊たちの世界には、火、水、木、地の精霊がいて、仲の良い者もあれば悪い者もいた。
私は水の精霊のひとり。
湖畔でいつも昼寝をしている彼を見るのが好きだった。
湖畔の大きな岩の上で、身体から、髪からパチパチと火花が散る。
水面に落ちて消えゆく火花。
彼の寝た後には、いつも岩は黒く染まっていた。
小さな湖ではあるが、苔や草木が生い茂り、優しい香りを漂わせる。
水を多く含んだ、森の香りである。
彼が歩くたびに、その香りはふと焦げ臭くなる。
足跡が黒く焦がされる。
しかし、ここの草木は静かに、風の音と共にすぐに元へ戻る。
その頃には、彼はいつもの岩の上で寝息をたて始めていた。
しかしある日から彼はあまりここへ来なくなった。
来れども、その顔は浮かなく疲れ果てているようだった。
私はすぐに気づいた。
彼は「妖(あやかし)」になってしまったのだと。
妖は呪術者に使役される精霊のこと。
彼はその命を、人に握られてしまったのだ。
そしてあちらの世界で、身を粉にして働かされているのだ。
ここへ帰ってこられる回数が減っているのは、それだけあちらへ呼ばれる機会が多いからだ。
妖はにおいが変わる。
あちらの世界のにおい、人のにおいを携えているのだ。
こちらには馴染まない、異世界のにおいを。
なぜ、我々精霊が人のために命を握られ、使役されねばならないのか。
我々が吹けば死んでしまうような奴らに。
私はもう一度だけ彼を見た。
水面は静かに波打つ。
そこから消えた少女の名残を残して。
ぐるっぽに投下したので、ついでにこっちにも。