予算成立の有無が焦点、震災による半導体各社の決算も注目


4月9日(土)9時34分配信 フィスコ

米国議会で予算が成立するかどうかが焦点となる。
8日深夜がつなぎ予算の期限となっており、
失効すれば政府機関業務が停止する恐れがある。
具体的には各種行政サービスの停止に加えて国立公園など観光施設の閉鎖、
新規住宅ローンの保証業務や中小企業への事業融資保証などにも影響する可能性がある。
また18日が個人確定申告の期限となっているが、税金還付などの作業に遅れが生じる懸念もある。

95-96年のビル・クリントン政権時に21日間政府機関業務が停止する事態を経験しており、
これによって95年第4四半期のGDPは年率約0.5%程度低下したと試算されている。
ただし、予算協議の焦点は財政支出の規模についてであるため、
財政健全化に向けて緊縮的な内容で決着すれば
中長期的には米国経済にとってプラスの影響が期待できる。

11日のアルコアを皮切りに1-3月期の決算シーズンに突入する。
JPモルガン(13日)やグーグル(14日)、バンク・オブ・アメリカ(15日)などの決算が注目される。
グーグルは4月5日から共同創業者のラリー・ペイジ氏が約10年ぶりに最高経営責任者に復帰している。
復帰後初めての決算発表となるため、
カンファレンスコールでは今後の経営戦略に関して質問が集中しそうだ。
グーグルはノーテルの特許権を9億ドルで取得する意向であることが報じられている。
大手行JPモルガンは、2010年度の年次報告書で
ダイモンCEOが同行の平常時の利益水準は220~240億ドルとの見解を示している。
先月には連銀の許可を得て増配を発表するなど、足下の収益改善がどこまで進んでいるかが注目される。

経済指標関連では3月小売売上高(13日)やベージュブック(14日)、
消費者物価指数(15日)、鉱工業生産(15日)などの発表が予定されている。
また14日から15日にかけてワシントンでG20が開催予定となっている。
なお、予算が成立せず政府系機関業務の停止が長期化した場合、経済指標の発表も行われない見通しだ。

11日には東日本大震災から1ヶ月を迎える。
再び大規模な余震が起こり東北地方で広範囲な停電が発生したため、
再開途中にあった自動車部品や半導体工場の操業が再び停止せざるを得ない状況となった。
再び稼働するには点検等が必要で時間を要するため、一段と各種部品などの出荷が遅れることになる。
日本の経済産業省によると4月末まで半導体関連の部品生産が止まった場合、
世界で総額約40兆円の生産やサービスに影響すると試算しており、
米国の半導体関連企業への影響も避けられない。
半導体各社の決算では東日本大震災の影響が大きな焦点となりそうだ。