ドル買い・円売りの流れ継続、出口戦略を巡る確証を探る


4月9日(土)13時29分配信 フィスコ

■日本の緩和観測、米国の出口戦略への思惑で85円台に続伸

ドル・円は、米・3月の雇用統計の改善を受けたドル買いで84円40銭へ上昇後、
国内輸出企業のドル売り、国内投資家のユーロ・円の売りを受けて83円86銭まで下落。
だが、押し目買いに下げ渋り、バーナンキ米FRB議長の「FRBは趨勢的なインフレ率の上昇に対応する」
とのタカ派的な発言で反発。
3月15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録をタカ派的と判断したドル買い、
85円00銭のオプション・トリガーを試すドル買いにより85円53銭まで上昇。
その後、ポジション調整のドル売りで84円84銭に反落、
日銀の緩和策拡大観測による円売りで85円50銭に反発、
東北地方の強い余震の報道や、
米予算案の協議難航を受けて米国政府機関の閉鎖の可能性が強まったことを嫌気した
リスク回避の円買いに84円60銭に反落。



■ドル買い・円売りの流れ継続、米中の経済指標が材料に

ドル・円は、米国(出口戦略への思惑)と日本(緩和政策の長期化)の
金融政策の方向性の相違を背景としたドル買い・円売りの流れが続くとみられる。
米国の主要経済指数の発表が多く、出口戦略を巡る確証を探る材料として、
いつにも増して注目されそうだ。

また、中国の主要経済指標もまとめて発表される予定であり、
特にインフレ指標の悪化が示された場合は(3月消費者物価指数は伸び拡大の予想)、
追加利上げの思惑により、
一時的に株安・リスク回避の円買いにつながる可能性に注意が必要になる。

米予算協議については、日本時間4月9日正午までに与野党で合意が成立。
政府機関の一部閉鎖は回避され、目先的なドル売り要因は後退する。

米国の金融政策の行方に注目が集まるなか、
バーナンキ米FRB議長が4月4日に行われた講演で、
「インフレの高進は一時的である見通し」と述べる一方、
「米FRBは趨勢的なインフレ率の上昇に対応する」と発言。
それがややタカ派的と受け止められ、量的緩和第2弾の早期終了または規模縮小、
出口戦略の始動への思惑を後退させるには至らなかった。

4月5日に公表された3月15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、
「全てのメンバーが量的緩和第2弾(6月末終了)を縮小する必要がない」
との見解だったことが明らかになった。
だが、その後については
「一部のメンバーは、超緩和策の出口戦略の実施を年内に開始する必要がある」、
「他のメンバーは、来年も超緩和策が必要になる」に分かれ、
年内の緩和策解除の開始に関する見解に相違がみられた。そのほか、
「数人のFOMCメンバーはインフレリスクが上方に傾斜した可能性があると判断」
との指摘が注目され、出口戦略への思惑が根強い状況がうかがえた。

4月13日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)の発表がある。
景気回復や雇用改善への期待が広がりつつある折、最近の経済活動(雇用、消費、製造など)の状況、
住宅市場の動向などにおいて、上方修正的な見方がみられるのかが注目される。
4月26-27日に開催されるFOMCの参考資料になる。

米国債の入札が、4月12日に3年債(320億ドル)、
13日に10年債(210億ドル)、
14日に30年債(130億ドル)の総額660億ドル予定されている。
入札の結果を反映して、米長期金利が上昇すれば、
ドル・円は仕組み債絡みなどのドル買いが強まり、金利が低下すればドル売りが強まることになる。

日本の金融政策については、4月6-7日に開催された日銀金融政策決定会合で、
政策金利と基金規模は据え置きとなった。
だが、予想されていた
「被災地金融機関向けの低利融資として総額1兆円(期間1年、金利0.1%)」が決定され、
「支援融資の適格担保要件の措置については具体的に検討し、次回会合(4/28)で報告」となった。

また、景気判断が「日本経済は、震災の影響で生産面を中心に下押し圧力が強い状態にある」
へ下方修正された(2-3月は「景気は改善テンポの鈍化した状態から徐々に脱しつつある」)。
日銀は声明で「震災の影響をはじめ経済・物価動向を点検し、必要な場合には適切な措置を講じる」
として、状況によりさらなる追加緩和を検討する姿勢を改めて示している。

4月14日に開催されるG7財務相・中銀総裁会議(ワシントン)では、
東日本大震災やそれに伴う福島第1原発事故による経済への影響が主要議題になると伝えられている。
野田財務相は「G7とG20では震災後の政府の取り組みを説明」と述べ、
また、「G7協調介入について引き続き協力を要請」としている。
その後、G20財務相・中銀総裁会議が開催される。

今後の主な予定は、
10日(日):(中)3月貿易収支、
11日(月):(日)2月機械受注、日銀支店長会議、
12日(火):(日)日銀金融政策決定会合議事要旨(3/14)、(米)2月貿易収支、3月輸出入物価指数、3月財政収支13日(水):(日)3月企業物価指数、(米)3月小売売上高、2月企業在庫、地区連銀経済報告(ベージュブック)、14日(木):(米)3月生産者物価指数、G7財務相・中銀総裁会議、
15日(金):(中)1-3月期GDP、3月鉱工業生産、3月生産者物価指数、3月消費者物価指数、3月小売売上高、
(米)3月消費者物価指数、4月NY連銀製造業業況指数、
2月対米証券投資、3月鉱工業生産・設備稼働率、4月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、
G20財務相・中銀総裁会議。


[予想レンジ]
ドル・円83円50銭-86円50銭