ドルの上値は限定的、3月末に向けたリパトリ円買い需要が強い





2月12日(土)13時55分配信 フィスコ

■米雇用改善期待から83円68銭まで上昇

ドル・円は、本邦での米国債償還・利払いや3月期末に向けた
リパトリ(外貨建て資産売却・円買い)に絡むドル売り・円買い圧力、
中国の利上げを受けた円買いに82円48銭から81円77銭まで下落。
その後、米3年債入札不調による債券利回り上昇に伴うドル買いに反発。
格付け会社ムーディーズが日本のソブリン格付けに関して否定的な見解を表明するのではないか
との思惑から82円50銭上抜け。
さらに米新規失業保険申請件数が予想以上に減少したことで雇用情勢の改善期待が強まり、
米1月財政赤字が予想ほど拡大しなかったことも好感されて、
長期金利が上昇、ドル買いが続き、83円68銭まで上昇した。

■各国指標・イベント材料に取引、本邦円買い需要にドル伸び悩みも

今後のドル・円は、日本、米国、欧州、中国の主要経済指標を材料に、
各国の金融政策の行方をにらみながらの取引になる。
米雇用改善期待からの長期金利上昇・ドル買い傾向が強まっているが、
日本国内での円買い需要が強い状態は変わらず、ドルの上値が限られる可能性がある。

その他の重要な材料としては、米国で14日に予算教書の発表があり、
財政削減の具体的な姿勢が注目される。
14-15日の日銀金融政策決定会合では、金融政策に変更はないとみられるが、
景気判断を前進させるとの見方が出ている。
また、18-19日にG20財務相・中銀総裁会議(パリ)があり、
不均衡問題の是正への取り組みに絡み人民元改革に圧力がかかる
との思惑から円連れ高感強まる可能性も考えられる。

国内では円買い需要が強い状況は変わらない。
83円台から84円台で本邦輸出企業のドル売りオーダーが依然として厚い。
また、2月15日に外債償還・利払いがあり、その円転に絡む円買いが週前半に出ることになる。
さらに、3月末に向けたリパトリ(本国への資金還流)に絡む円買い需要が出始める可能性もあり、
ドルの上値は重い状態が続く。

米金融政策については、
1月25-26日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、
今年の投票権を有するメンバーはタカ派が多いといわれるなか、
政策金利、量的緩和第2弾の維持が全会一致の決定だったことから、
量的緩和の早期終了観測が後退。
だが、その後、2月4日の米雇用統計で失業率の大幅低下が好感され、
10日の米新規失業保険申請件数(週次)の改善で雇用回復期待が強まり、
長期金利は上昇傾向にある。

バーナンキ米FRB議長は、9日の下院予算委員会での証言で、
「米国の回復は強まった可能性がある」と述べた。
雇用については、「昨年12月からの失業率の目立った低下などは、
雇用情勢を巡る楽観的な見方に一定の根拠を与えている」としながらも、
「雇用拡大は遅すぎる」、「失業率が一段と正常な水準(5-6%)に戻るには数年かかる」
と慎重な見方を示した。量的緩和第2弾の行方についての示唆はなかった。

FRB幹部の発言では、ラッカー米リッチモンド連銀総裁は
「経済の改善は量的緩和第2弾の見直しの必要性を示す」、
フィッシャー米ダラス連銀総裁は「量的緩和の拡大には反対」と述べ、
いつもながらのタカ派発言。
一方、ハト派のロックハート米アトランタ連銀総裁は
「長期にわたる低金利は正当化」としながらも、
「6000億ドル超の緩和策はおそらく必要ではないだろう」と述べ、
量的緩和第2弾の6月末終了を示唆している。

1月25-26日のFOMCの議事録が2月16日に発表される。
全会一致の決定となったなかでタカ派のひとたちの見解はどういうものだったのかなど、
協議内容が注目される。

2月14日にオバマ大統領が2012年度の予算編成方針を示す予算教書を議会に提出する。
オバマ大統領は1月25日に一般教書演説を行い、内政では、法人税引き下げを提案する一方、
「国内裁量的支出(国防費等除く政策予算、歳出総額の11.5%)を5年間凍結、
財政赤字を10年間で4000億ドル削減」と表明。
予算教書では、その財政赤字削減の姿勢が具体的にどう反映されるか注目されることになる。
ガイトナー米財務長官は
「予算案は、中期的な財政安定を回復する上での信頼を得る道筋を提示するもの」
との見方を示している。

日銀金融政策決定会合が2月14-15日に開催される。
金融政策(包括的緩和)の現状維持、政策金利の据え置きが継続されるとみられるが、
一部報道では景気判断をやや前進させる可能性があるとの見方が出ている。
追加的な包括緩和が必要になる状況となれば、
「必要あれば基金の規模、期間の拡充の可能性」(白川日銀総裁)が注目されることになる。

18-19日にG20財務相・中銀総裁会議(パリ)が開催される。
不均衡是正のための取り込みが続き、
各国の経済状況を評価する数値(経常収支や財政収支など)の採用の検討が始まるとの見方が出ている。
また、商品市場の監視・規制強化、国際通貨体制などについても議論する模様。
G20会合に向けては人民元改革に圧力がかかりやすくなるとの思惑から、
短期的に円連れ高感も再び強まる可能性がある。

今後の主な予定は、
14日(月):(日)10-12月期GDP1次速報、日銀金融政策決定会合(15日迄)
     (中)1月貿易収支、(米)予算教書、
15日(火):(日)日銀政策金利発表、白川日銀総裁会見、
     (中)1月生産者物価、消費者物価、小売売上高、鉱工業生産、(米)1月小売売上高、
     1月輸出入物価指数、2月NY連銀製造業景況指数、
     12月対米証券投資収支、12月企業在庫、2月住宅建設業者指数(NAHB)、
16日(水):(日)12月第3次産業活動指数、2月日銀金融経済月報、
     (米)1月生産者物価指数、1月住宅着工件数・住宅着工許可件数、
     1月鉱工業生産・設備稼働率、FOMC議事録(1/25-26)、
17日(木):(米)1月消費者物価指数、1月景気先行指数、
     2月フィラデルフィア連銀景況指数、
18日(金):(日)日銀金融政策決定会合議事要旨(1/24-25)。


[予想レンジ]
ドル・円81円00銭-84円00銭