■米ブッシュ減税延長合意を受け長期金利上昇・ドル買い勝る
12/6-10のドル・円は、82円50銭のオプション・トリガー防戦のドル 買いなどで82円56銭から82円99銭へ上昇。
その後、バーナンキ米FRB議長の量的緩和策拡大示唆を受けた債券利回り低下に伴うドル売りに
82円50銭のオプション・トリガーをつけて82円34銭まで下落。
だが、米ブッシュ減税延長合意や低調な米3年債入札結果を受けた債券利回りの上昇に伴いドル買い が強まり
83円台に乗せ、朝鮮半島の地政学的リスク、米国債利回りの上昇継続により84円31銭まで上昇。
その後、米10年債入札が予想に反して順調な結果に終わったこと、
本邦輸出企業のドル売りで83円65銭へ反落、米新規失業保険申請件数が予想以上に減少したことで
84円06銭に反発後、予想外に良好 な米30年債入札結果、
中国の預金準備率0.50%引き上げを受けて83円45銭へ反落。
米10月貿易赤字の予想以上の縮小、
米12月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値の上振れで84円絡みに戻した。
■米FOMCの見解に注目、中国の金融引き締め動向に注意
12/13-17 のドル・円は、
米雇用情勢改善の後退やバーナンキ米FRB議長の量的緩和策拡大示唆による
長期金利低下・ドル売り、ブッシュ減税延長合意を受けた財政悪化懸念・景気浮揚期待による
長期金利上昇・ドル買いの動きにつき、米連邦公開市場委員会(FOMC、14日)の見解を以って、
今後どちらが勝るのかを見極めることになる。
また、中国が10日に預金準備率の0.50%引き上げを決定しているが、
11日に発表された11月消費者物価指数の上昇加速など強い経済指標を受けて
さらなる金融引き締めに動くのか注意。
朝鮮半島情勢は、北朝鮮の動向がまだ波乱含みで緊張感が残る状況になっており、引き続き注意必要。
米金融政策については、
バーナンキ米FRB議長が12/5に放送されたCBSテレビ番組「60ミニッツ」(11月30日収録)で、
「6000億ドル以上の資産買い入れはもちろん可能、効果・インフレ・景気次第」と述べたことから、
追加量的緩和の拡大観測が浮上。
バーナンキ議長は、「二番底の可能性は低い」と しながらも、
「失業率が5-6%の通常状態に戻るには、あと4-5年かかる可能性」、
「失業率が下がっていないのを非常に懸念」とも発言。
収録後の12月 3日に発表され予想外に低調な結果となった米・11月雇用統計を目にして、
失業率に対する懸念を新たにしているものと思われる。
一方、オバマ米大統領が6日、
「ブッシュ減税(12月末期限切れ)について、
富裕層を含むすべての世帯を対象に2年間延長することで共和党と暫定合意」、
「失業保 険給付(11月末で期限切れ)の13カ月延長、2011年の給与税2%引き下げについても暫定合意」と発表。
これが、財政悪化懸念とともに景気浮揚期待に より米長期金利の上昇につながっている。
そうしたなかで米連邦公開市場委員会(FOMC)が14日に開催される。
今回は雇用情勢改善の後退を受けて、
少なくとも追加量的緩和の遂行が改めて強調される可能性が考えられ、
それが上昇中の長期金利反転のきっかけになるかもしれない。
景気認識も引 き続き注目される。声明発表は日本時間15日午前4時15分。
なお、NY連銀は、11/12-12/9にかけて1050億ドルまで国債を購入する予定としていたが、
6日20.4億ドル、7日68.1億ドル、8日16.3億ドル、9日83.09億ドルと購入を続け、
9日までに総額 1063.05億ドル程度になったとみられる。
次は、「12/13-1/11にかけて18回のオペを実施し、
約1050億ドルの国債とインフレ指数連動債を買い入れる」と発表している。
日本政府は9日、2011年度予算編成の基本方針の骨子をまとめ、
一般会計の歳出(国債費を除く)を71 兆円以内、新規国債発行額を44兆円以下とする方針を明記した。
基本方針は来週中に閣議決定する見通しとなっているが、
その後は、24日頃の政府予算案の決定に向けて、歳出と新規国債発行枠の大前提を守れるのか、
財政問題の観点から注目が集まることになる。
また、日本関連では、小沢民主党元代表の国会招致 問題を巡り、民主党の党内対立が激化する懸念があり、
目先、政局不安に広がる可能性はないのか注意が必要になる。
12/13-17の主な 予定は、
14日(火):(米)11月生産者物価指数、11月小売売上高、10月企業売上在庫、連邦公開市場委員会(FOMC)、
15日(水):(日)12 月調査日銀短観、10月第3次産業活動指数、(米)11月消費者物価指数、
12月NY連銀製造業景気指数、10月対米証券投資収支、11月鉱工業生産・設 備稼働率、
12月NAHB住宅建設業者指数、
16日(木):(米)7-9月期経常収支、11月住宅着工件数・住宅着工許可件数、12月フィラデルフィア連 銀業況指数、
17日(金):(米)11月景気先行指数。
[予想レンジ]
ドル・円82円00銭-85円00銭