■北朝鮮の韓国砲撃で地政学的リスクでの円売り、84円台に上昇
11/22-26のドル・円は、83円20銭から83円60銭で推移した後、
韓国軍「北朝鮮が(韓国の島に)数十発の砲弾を発射」「北朝鮮の砲撃を受け応戦」
との報道を受けた地政学的リスクからの円売り反応で83円85銭へ上 昇。
その後、北朝鮮の韓国砲撃や欧州信用不安の深刻化を嫌気した欧米株安・リスク回避の円買いが強まり、
82円78銭まで下落。
だが、米新規失業保険申請 数や11月ミシガン大学消費者信頼感指数確定値の予想以上の改善、
低調な7年債入札を受けた債券利回りの上昇に伴うドル買いに反発、
本邦投資家らの買い、 米韓合同軍事演習(28日から)に向けた思惑的な買いに84円18銭まで上昇。
■米雇用統計など経済指標に注目、朝鮮半島情勢にも注意
11/29-12 /3のドル・円は、朝鮮半島の緊張、欧州の財政不安が続くなか、
基本的には米国の量的緩和の行方(もっと必要なのか、もう十分なのか)が焦点になり、
主要 経済指標を材料に、長期金利の動向をみながらの取引が続くことになる。
米主要経済指標のなかでは、最も注目される11月雇用統計の発表があり(3日)、
改善を示せば量的緩和に関して「もう十分」の思惑が強まり長期金利上昇・ドル買い、
悪化なら「もっと必要」の思惑により長期金利低下・ドル売りとなる。
11/28-12/1にかけての米韓合同軍事演習、北朝鮮の動向にも注意が必要になる。
米国の金融政策については、11/2-3の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公開された。
量的緩和第2弾の決定に際しては、
「数人が、インフレを大幅に加速させる可能性を指摘」、「多くが、利益が コストを上回ると判断」、
「一部が、ドルやインフレへの影響を警告、コストが利益を上回ると主張」などがみられ、
「メンバーは、量的緩和第2弾に関する利 益、コストの見解に相違」という状況が明らかとなった。
今後、量的緩和をさらに拡大しようとする場合には、相違(対立)がさらに深まる状況がイメージされそうだ。
「10/15に非公式会合(ビデオ会議)を開催、長期インフレ目標の設定や、
米FRB議長による定例記者会見の必要性などを協議」も明らかにされた。
FOMC経済見通しでは、「11年実質GDPを3.0-3.6%(6月3.5-4.2%)、
失業率を8.9-9.1%(前回 8.3-8.7%)」となり、GDPは大幅に下方修正、失業率は上昇(悪化)方向に修正された。
なお、米下院監視・政府改革委小委員会がFRBの量的緩和 に関して、30日に公聴会を開催する。
1日には地区連銀経済報告(ベージュブック)の発表があり、
最近の経済活動の状況、雇用、消費、製造の状況、住宅市 場の動向などが注目される。
NY連銀は、「11/12-12/9にかけ18回の公開市場操作を実施し、
1050億ドルの国債を購入(合計額には保有証券の償還資金の再投資も含む)」と発表。
12日に72.3億ドル相当の国債を購入して、量的緩和第2弾を開始。
それ以降、15日に79.23 億ドル、16日に54.19億ドル、17日に81.54億ドル、18日に72.3億ドル、
19日に21.7億ドル、22日に82.57億ドルの国債購入を 継続。
23日に16.29億ドルのインフレ連動国債を購入した。
24日は国債購入がみられず、市場の失望を誘った模様。
ここまでの購入総額は480.12 億ドルとなる。
23日に北朝鮮が韓国砲撃を行ってから朝鮮半島は高度の緊張状態にあるが、
11/28-12/1にかけて米韓の大規模な合同軍事演習が黄海で実施されることになり、
期間中の北朝鮮の動向が注目される。
米政府は24日に中国政府に演習実施を通知、中国外務省は25日に懸念を表明していたが、
26日には「中国の排他的経済水域で許可なく軍事行動を行うことに反対する」との談話を発表した。
なお、米国の財務省為替政策報告書について、発表のタイミング、中国に対する判断が注目される状況も続く。
11/29-12 /3の主な予定は、
29日(月):白川日銀総裁会見(名古屋市)、
30日(火):(日)10月失業率・有効求人倍率、10月鉱工業生産速報値、(米)9月 S&Pケース・シラー住宅価格指数、
11月シカゴ購買部協会景気指数、11月消費者信頼感指数、
1日(水):(日)須田日銀審議委員会 見、(米)11月ADP全米雇用報告、11月ISM製造業景気指数、 10月建設支出、
地区連銀経済報告(ベージュブック)、
2日(木):(日)西村日銀副 総裁講演、(米)10月中古住宅販売成約指数、
3日(金):(米)11月雇用統計、10月製造業受注、11月ISM非製造業景気指数(総合)。
[予想レンジ]
ドル・円82円00銭-85円00銭