小売企業決算と年末商戦の見通しが焦点に



11月13日(土)11時32分配信 フィスコ


11/15-19は15日に10月小売売上高の発表が予定されているほか、
ホームデポ(16日)、アバクロンビー&フィッチ(16日)、ウォルマート (16日)、ギャップ(18日)
など小売各社の決算発表も控えている。
感謝祭(25日)以降から本格的な年末商戦期に突入するが、
近年年末商戦の開始時期 が早まる傾向が強まっている。
決算発表でも年末にかけての見通しが注目点となるだろう。
最近の経済指標を見る限り、個人消費や小売売上高は改善傾向にあり、
金融危機以降では最も良好な年末商戦が期待できそうだ。

その他の経済指標では11月NY連銀(15日)及びフィラデルフィア連銀(18日)製造業景気指数、
10月消費者物価指数(17日)、10月住宅着工及び着工許可件数(17日)などの発表も予定されている。

先日のFOMC(連邦公開市場委員会)で決定された総額6000億ドル規模の追加量的緩和については、
先週から実際に連銀が米国債の買取りを開始した模様だ。
実質的に紙幣を刷ることと同義の量的緩和であるが、
連銀の意図は量的緩和により株式市場や不動産市場を上昇させ、
「資産効果」によって消費や企業の投 資などの需要を喚起し、米国経済を成長へと導くことである。

しかしながら、連銀の意図とは裏腹に、
食料やエネルギー価格の上昇を招くことでむしろ経済の停滞を助長する可能性が高い。
実際、追加量的緩和の発表以降、商品相場は全面高となっている。
追加量的緩和が経済成長を促すことに失敗した ことが明らかとなれば、
米国企業の業績や株式相場にとってもマイナスの影響となるだろう。

更には過剰流動性によって投資資金は商品相場や新興市場などに流れ込む傾向が顕著となっている。
もともと普通株式と比べて商品相場や新興市場などは市場規模も小さく、
一般的な投資家にとって投資機会は 限られていた。
しかしながら近年のETF(上場投信)や様々な金融商品の開発によって、
以前よりも遙かに容易に投資することが可能となっており、
以前とは 比較とならない規模の資金が流入している。
金融危機の際には複雑な証券化が問題となったが、
様々なETFの乱立が新たなシステムリスクを高めているとの見方がある。
株式、債券、商品、不動産などの各アセットクラスは従来よりも価格の相関性が高まっている
との調査結果もでている。

過去のハイ テクバブルや不動産バブルも、連銀自身はその責任を否定しているものの、
金融緩和による過剰流動性がその大きな原因と見る向きは多い。
バブルはどの時点で 調整局面を迎えるかを予測できないものだ。
債券や株式など資産価格の上昇が一段の上昇を後押しするというバブル化した相場とどう付き合っていくか、
バブル と見て見送るか、最後のババを掴まないよう付いていくか、が問われている。