ドルは引き続き上値の重い展開、

量的緩和拡大観測は後退




11月13日(土)15時45分配信 フィスコ


■米10月雇用統計改善後のドル買い継続し82円台に上昇

11/8-12のドル・円は、米10月雇用統計の改善を受けたドル買いに81円44銭へ上昇後、
中国の投機的な資本流入抑制策、欧州財政不安を受けたリスク回避の円買いで80円54銭まで下落。
だが、予想を上振れた米9月卸売在庫や低調な 10年債入札結果を受けた債券利回りの上昇、
シカゴ・マーカンタイル取引所の銀先物取引における証拠金率引き上げ通知で
商品価格が調整安となったことを受 けて、ドルの買い戻しが強まり82円乗せ。
米9月貿易赤字や米新規失業保険申請件数の予想以上の改善、
低調な30年債入札結果を受けた債券利回りの上昇に 82円80銭まで上昇。
その後、NY連銀による1050億ドルの国債購入計画詳細発表を受けた債券利回りの低下、
中国のインフレ率上昇を受けた人民元高推 移、欧州財政不安によるクロス円の売りで81円64銭へ反落、
欧州危機対策期待によるユーロ・円の買い戻し、米債券利回り上昇を受けた買いに82円66銭 に反発。


■米国の主要経済指標を材料に長期金利の動向みながらの取引

11/15-19のドル・円は、11月に入ってからの一連の イベント(日米の金融政策会合、G20サミット、
APECサミットなど)が終わり、金融政策については、主要経済指標を材料に次の一手を探ることになるが、
米国の10月雇用統計の改善をきっかけにした量的緩和拡大観測の後退、長期金利上昇、
ドル買い(戻し)のパターンが維持できるのかどうかが見所になる。
ただ、12日からNY連銀による国債購入が始まり、
ドル・円は85円にかけて本邦輸出企業や投資家らのドル売りオーダーが並び、引き続き上値は重い。

主要経済指標では、米国は、
10月小売売上高(15日)、
10月鉱工業生産・設備稼働率(16日)、
10月消費者物価指数(17日)、
11月フィラデル フィア連銀製造業景況指数(18日)など、
日本は、7-9月期GDP第1次速報(15日)の発表が注目される。

米国の金融政策について は、2-3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、
「米長期国債をひと月あたり750億ドルのペースで、2011年第2四半期末までに6000億ドルを 追加購入へ」、
また、「保有証券から得られる償還資金をより
期間の長い国債に再投資する政策を継続(同期間において2500億-3000億ドル購入へ)」
との追加量的緩和を決定。それを受けて、NY連銀は、
「11月12日から12月9日にかけ18回の公開市場操作を実施し、
1050億ドルの国債を購入する (合計額には保有証券の償還資金の再投資も含む)」と発表。
量的緩和第2弾がスタートする。

そうしたなか、今週はウォーシュ米FRB理事が、
「継続的なドル下落や商品価格の上昇がインフレを招く恐れがあると判明した場合、
FRBは緩和策の方向性を見直す可能性」、「資産購入が経済への効果を発揮しない可能性も」など、
ややタカ派的な発言をみせている。
また、メドレー・レポートは「FRBは、需給ギャップが予想以上に速いペースで縮小してい ることが確認されれば、
6000億ドルとしている国債の追加買い入れ規模を縮小する可能性がある」との見解を示した模様。

一方、日銀は4-5日に開催された金融政策決定会合で、
「週明けに基金による国債の買い入れを開始」と表明していたが、8日に初の入札を実施。
11日付で残存期間 1-2年程度の長期国債1501億円を買い入れた。
社債、コマーシャルペーパー(CP)、指数連動型上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT) は、
12月に入ってから順次購入を開始する予定。

11-12日のG20サミット(韓国ソウル)では、首脳宣言で、通貨安競争の回避について、
「通貨の競争的な切り下げを回避」と明記。
また、不均衡是正については、
「大幅な経常収支の不均衡を把握するための参考指針の開発を財務相会合に要請」、
「財務相会合は、指針について来年上半期に進展を協議」などとし、
参考指針の導入で合意したが、指針の詳細は先送りされた。
5-6日のアジア太平洋 経済協力会議(APEC)財務相会合(京都)でも、
通貨安競争の回避、経常収支の不均衡是正などを盛り込んだ共同声明を採択していたが、
13-14日の APEC首脳会議(横浜)では、それらの問題で進展は望めない状況になった。

発表された米経済指標では、
9月卸売在庫が予想を大幅に上回る増加で(9カ月連続)、
9月貿易収支の赤字幅が予想を上回る縮小を示し、
7-9月期GDPの上方修正への期待が高まる結果になった。
また、週次の新規失 業保険申請件数は前週から予想以上に改善し、
4週平均はリーマン・ショック以降の最低水準まで改善した。
12日発表の11月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値は改善が予想されている。

11/15-19の主な予定は、
15日(月):(日)7-9月期GDP第1次速報、(米)11月NY連銀 製造業景況指数、10月小売売上高、9月企業在庫、
16日(火):(日)9月第3次産業活動指数、(米)10月生産者物価指数、9月対米証券投資収支、
         10月鉱工業生産・設備稼働率、11月住宅市場指数、
17日(水):(米)10月消費者物価指数、10月住宅着工件数・住宅着工許可件数、
18日(木): (米)11月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月景気先行指数、
19日(金):(日)日銀金融政策決定会合議事要旨(10/28)。

[予想レンジ]
ドル・円81円00銭-83円50銭