為替市場見通し:米・追加量的緩和策の確実性が増大、長期金利低下・ドル売り優勢へ
10月9日(土)14時45分配信 フィスコ
■日銀の包括的緩和決定にも米追加量的緩和観測勝り82円割れ
10/4-8のドル・円は、ショートカバーのドル買いと本邦輸出企業のドル売りに83円18銭から83円88銭で上下した後、予想を上回る米8月中古住宅販売成約指数を好感、日銀が包括的な金融緩和策(実質的なゼロ金利政策導入、多様な資産購入の資産買入基金の新たな創設)の実施を決定したことを受けて83円99銭まで上昇。だが、米追加量的緩和期待の高まりによるドル売りが勝り反転、米財務省当局者発言「米国は市場原理に沿った為替レートを支持」を受けて日本の介入警戒感が後退して83円割れ。9月ADP全米雇用報告が予想外に減少したことを受けた雇用統計への警戒感の強まりに82円11銭へ下落、ブラード米セントルイス連銀総裁発言「一段の緩和は確実ではない」で82円57銭に反発後、予想外に悪化した米雇用統計を受けて連銀の追加量的緩和策の確実性が増し81円72銭まで下落。
■米雇用悪化で追加量的緩和強まりドル安継続
10/11-15のドル・円は、日銀の包括的な追加金融緩和措置決定にも、米国の追加量的緩和観測が勝る状況において、8日に発表された米9月非農業部門雇用者数が予想以上に減少したことを受けて、米追加量的緩和策の確実性が増したとの見方から長期金利低下・ドル売り優勢の展開が続きそうだ。ドル・円の下落が81円台まで進んでおり、8日に開催されたG7財務相・中銀総裁会議(非公開、声明発表なし)での通貨協議を受けた日本のドル買い・円売り介入の動向が注目されることになる。
10/4-5に開催された日銀金融政策決定会合では、実質ゼロ金利政策の実施と、資産買い入れなどの基金創設を検討する(事実上の量的緩和)、との追加金融緩和策を決定した。
日銀は、政策金利の誘導目標を、これまでの0.10%前後から0-0.1%に引き下げ、「物価安定の理解に基づき、物価安定が展望できる情勢(物価が1%程度に上昇)になるまで実質ゼロ金利を継続」と表明。また、基金については、多様な金融資産(国債、CP、社債、上場投資信託ETF、不動産投資信託REITなど)の買い入れに5兆円程度、それに新型オペ(年0.1%の固定金利で3-6カ月の資金を供給)の30兆円を統合して35兆円規模とし、資金供給を増やすこととする。景気判断は、「景気は緩やかに回復しつつあるものの、改善の動きが弱まっている」と下方修正した。
白川日銀総裁は会見で、「今回の追加措置は、信用緩和と量的緩和の側面を持つ包括緩和」と説明。「必要があれば、基金の5兆円の規模、期間の拡充の可能性がある」と述べた。マーケットでは、予想を上回る今回の追加措置に対して「ポジティブ・サプライズ」との声が多くきかれた。
一部には日本の介入実施に対する理解が得にくく、円高対策として金融緩和策を拡大せざるを得なかったのではないかとの見方があるが、金融政策でこれほどまでに手を打ったことにより介入がやりやすくなったとの見方も出ている。8日にG7財務相・中銀総裁会議が開催され、通貨安競争回避を議論。目先、会議後の各国の財務相、中銀総裁の発言が注目されるが、野田財務相は「日本の為替介入、為替の過度で無秩序な動きに対応したものと説明」、「日本の為替介入姿勢を説明した後、G7で議論は広がっていない」「今後の為替介入についての話はG7でしていないが、日本の基本姿勢は理解してもらえたと思う」と述べている。
なお、米国の財務省為替政策報告書は15日が期限とされ、中国を為替操作国に指定するのかどうかに注目が集まる。ボーカス米上院財政委員会委員長が来週訪中するが、その際、「人民元改革で有意義な措置を講じるよう求める」としている。
米国の金融政策については、9/21の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加金融緩和実施を表明し、デフレ警戒感を強める姿勢を示したことで、11月のFOMCで追加量的金融緩和を実施するとの観測が浮上している。最近のFRB幹部の発言では、1日にダドリー米NY連銀総裁が「見通しが変化しなければ、追加措置が正当化される」、エバンズ米シカゴ連銀総裁が「追加緩和策が望ましい可能性も」、そして5日にバーナンキ米FRB議長が「追加資産購入は経済を支援へ」などと述べており、9月非農業部門雇用者数の減少もあり、追加量的金融緩和観測がますます強まる状況にある。12日に9/21FOMC議事録の発表があり、「追加緩和策を導入する準備」への傾斜具合や、景気認識(「回復や雇用ペースは鈍化」との見方を示していた)について改めて注目されることになる。
米国債入札が、12日に3年債(320億ドル)、13日に10年債(210億ドル)、14日に30年債(130億ドル)で総額660億ドル予定されている。今回も波乱なく消化されるか動向が注目されるが、入札の結果を反映して、米長期金利が上昇すれば、ドル・円は仕組み債絡みなどのドル買いが強まり、金利が低下すればドル売りが強まる傾向が続く。
10/11-15の主な予定は、11日(月):(日)休場(体育の日)、(米)コロンブス・デーで債券市場休場、12日(火):(米)FOMC議事録(9/21)、13日(水):(日)8月機械受注、(中)9月貿易収支、(米)9月輸出入物価指数、14日(木):(日)9月企業物価指数、(米)8月貿易収支、9月生産者物価指数、15日(金):(米)9月小売売上高、9月消費者物価指数、10月NY連銀製造業景気指数、10月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、8月企業在庫、米財務省為替報告書発表期限。
10月9日(土)14時45分配信 フィスコ
■日銀の包括的緩和決定にも米追加量的緩和観測勝り82円割れ
10/4-8のドル・円は、ショートカバーのドル買いと本邦輸出企業のドル売りに83円18銭から83円88銭で上下した後、予想を上回る米8月中古住宅販売成約指数を好感、日銀が包括的な金融緩和策(実質的なゼロ金利政策導入、多様な資産購入の資産買入基金の新たな創設)の実施を決定したことを受けて83円99銭まで上昇。だが、米追加量的緩和期待の高まりによるドル売りが勝り反転、米財務省当局者発言「米国は市場原理に沿った為替レートを支持」を受けて日本の介入警戒感が後退して83円割れ。9月ADP全米雇用報告が予想外に減少したことを受けた雇用統計への警戒感の強まりに82円11銭へ下落、ブラード米セントルイス連銀総裁発言「一段の緩和は確実ではない」で82円57銭に反発後、予想外に悪化した米雇用統計を受けて連銀の追加量的緩和策の確実性が増し81円72銭まで下落。
■米雇用悪化で追加量的緩和強まりドル安継続
10/11-15のドル・円は、日銀の包括的な追加金融緩和措置決定にも、米国の追加量的緩和観測が勝る状況において、8日に発表された米9月非農業部門雇用者数が予想以上に減少したことを受けて、米追加量的緩和策の確実性が増したとの見方から長期金利低下・ドル売り優勢の展開が続きそうだ。ドル・円の下落が81円台まで進んでおり、8日に開催されたG7財務相・中銀総裁会議(非公開、声明発表なし)での通貨協議を受けた日本のドル買い・円売り介入の動向が注目されることになる。
10/4-5に開催された日銀金融政策決定会合では、実質ゼロ金利政策の実施と、資産買い入れなどの基金創設を検討する(事実上の量的緩和)、との追加金融緩和策を決定した。
日銀は、政策金利の誘導目標を、これまでの0.10%前後から0-0.1%に引き下げ、「物価安定の理解に基づき、物価安定が展望できる情勢(物価が1%程度に上昇)になるまで実質ゼロ金利を継続」と表明。また、基金については、多様な金融資産(国債、CP、社債、上場投資信託ETF、不動産投資信託REITなど)の買い入れに5兆円程度、それに新型オペ(年0.1%の固定金利で3-6カ月の資金を供給)の30兆円を統合して35兆円規模とし、資金供給を増やすこととする。景気判断は、「景気は緩やかに回復しつつあるものの、改善の動きが弱まっている」と下方修正した。
白川日銀総裁は会見で、「今回の追加措置は、信用緩和と量的緩和の側面を持つ包括緩和」と説明。「必要があれば、基金の5兆円の規模、期間の拡充の可能性がある」と述べた。マーケットでは、予想を上回る今回の追加措置に対して「ポジティブ・サプライズ」との声が多くきかれた。
一部には日本の介入実施に対する理解が得にくく、円高対策として金融緩和策を拡大せざるを得なかったのではないかとの見方があるが、金融政策でこれほどまでに手を打ったことにより介入がやりやすくなったとの見方も出ている。8日にG7財務相・中銀総裁会議が開催され、通貨安競争回避を議論。目先、会議後の各国の財務相、中銀総裁の発言が注目されるが、野田財務相は「日本の為替介入、為替の過度で無秩序な動きに対応したものと説明」、「日本の為替介入姿勢を説明した後、G7で議論は広がっていない」「今後の為替介入についての話はG7でしていないが、日本の基本姿勢は理解してもらえたと思う」と述べている。
なお、米国の財務省為替政策報告書は15日が期限とされ、中国を為替操作国に指定するのかどうかに注目が集まる。ボーカス米上院財政委員会委員長が来週訪中するが、その際、「人民元改革で有意義な措置を講じるよう求める」としている。
米国の金融政策については、9/21の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加金融緩和実施を表明し、デフレ警戒感を強める姿勢を示したことで、11月のFOMCで追加量的金融緩和を実施するとの観測が浮上している。最近のFRB幹部の発言では、1日にダドリー米NY連銀総裁が「見通しが変化しなければ、追加措置が正当化される」、エバンズ米シカゴ連銀総裁が「追加緩和策が望ましい可能性も」、そして5日にバーナンキ米FRB議長が「追加資産購入は経済を支援へ」などと述べており、9月非農業部門雇用者数の減少もあり、追加量的金融緩和観測がますます強まる状況にある。12日に9/21FOMC議事録の発表があり、「追加緩和策を導入する準備」への傾斜具合や、景気認識(「回復や雇用ペースは鈍化」との見方を示していた)について改めて注目されることになる。
米国債入札が、12日に3年債(320億ドル)、13日に10年債(210億ドル)、14日に30年債(130億ドル)で総額660億ドル予定されている。今回も波乱なく消化されるか動向が注目されるが、入札の結果を反映して、米長期金利が上昇すれば、ドル・円は仕組み債絡みなどのドル買いが強まり、金利が低下すればドル売りが強まる傾向が続く。
10/11-15の主な予定は、11日(月):(日)休場(体育の日)、(米)コロンブス・デーで債券市場休場、12日(火):(米)FOMC議事録(9/21)、13日(水):(日)8月機械受注、(中)9月貿易収支、(米)9月輸出入物価指数、14日(木):(日)9月企業物価指数、(米)8月貿易収支、9月生産者物価指数、15日(金):(米)9月小売売上高、9月消費者物価指数、10月NY連銀製造業景気指数、10月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、8月企業在庫、米財務省為替報告書発表期限。