株主還元を積極化、

FOMCでの緩和議論進展度合いも注視


9月18日(土)10時07分配信 フィスコ



主要企業が手元に積み上がった資金を株主に還元する動きを強めている。
9/13-17だけでも、テキサス・インスツルメンツ、マスターカード、トラベラー ズ、ゲームストップなどが
数億ドルから数十億ドル規模の自社株買いを発表したほか、
マイクロソフトとシスコシステムズが配当または自社株買い拡大の準備に 入ったとの憶測が広がっている。

特にハイテク銘柄はセクター全体として負債比率も低く自社株買いの発表が相次いでいる。
実際、ハイテク銘柄の割合が多いナスダック総合指数は月初来で10%弱と他株式指数を上回る
高い上昇率となっており、このような積極的な株主への還元策が功を奏していると言える。

企 業の余裕資金の使途としては、大別して配当や自社株買いで株主に還元するか、
将来の成長に向けて買収や設備投資に充てる2つの方法がある。
買収も増加傾向 にはあるが、それを上回る勢いで株主還元が進んでいるのは、
米国経済の景気回復の腰が弱い中で積極的に投資拡大できる分野が少ないことの裏返しとも言え る。

NY及びフィラデルフィア連銀製造業指数やミシガン大学消費者信頼感指数など、
9月の経済指標が相次いで事前予想を下回っており、景気鈍化への懸念は根強く、
手元資金が潤沢な企業であっても思い切った投資に踏み切りにくいのが現状だ。

こ のように米国経済が再び減速する可能性が出てきていることから、
量的金融緩和策の第2弾に関する議論が盛り上がっている。
日銀が実施した2兆円規模の為替 介入は、現時点で米国株式に目立った影響を与えていないが、
間接的に米国の金融緩和を一段と後押しする可能性があるだろう。
今のところ、表立った批判は一 部に留まっているものの、
米国の通貨当局や連銀関係者の多くが懸念を抱いていることは間違いないようだ。

連邦公開市場委員会(FOMC) では特段の金融政策変更は予想されていないものの、
次回の11月の会合では何らかの量的金融緩和策が実施されるとの見方が支配的だ。
連日金価格が最高値を 更新しているのも、一段の金融緩和を予想した動きと言える。
連銀は既に住宅担保証券や政府機関債が満期に達した場合に、
米国債の追加買い入れに充てている が、
この米国債の買い入れを一段と拡大するのが最も可能性が高い方法だ。

ただし、米国債の金利は既に過去最低水準であり、相当額の米国債 買取りを連銀が実施したとしても、
住宅ローンや社債の金利への影響は限定的と言える。
米国債ではなく、連銀が住宅ローンや社債を直接買取る方がより高い効 果が期待できるが、
そこまで踏み込んだ手段を用いるかどうかが焦点だ。
いずれにせよFOMCで量的緩和策の議論が進展すれば株価にとっては支援材料となり そうだ。