8日にオバマ大統領がオハイオ州クリーブランドで演説を行い、
総額3500億ドル規模の追加景気刺激策が明らかとなった。
内訳は2000 億ドルが設備投資の全額償却を認めることによる法人税の軽減、
1000億ドルは研究開発減税の恒久化、そして500億ドルはインフラ設備投資に充てること を提案している。
また、ブッシュ前政権が導入した大型減税については、
年収25万ドル以下の世帯向けについては恒久化する一方で、
富裕層に対しては今後 10年間で7000億ドル規模の財政負担につながるとして打ち切る考えを明らかにした。
しかし、11月の中間選挙で優勢との見方が多い共 和党からの強い抵抗を受けることは確実で、
中間選挙までに法案が成立するかどうかは微妙な情勢である。
共和党はブッシュ減税を延長し富裕層への減税を含め ることを求めているほか、
追加景気刺激策については財政負担を軽減するべく規模縮小を求めることになる。
中間選挙を前にした政治的パフォーマンスの色彩が 濃く、
追加景気刺激策が相場の支援材料となることはないだろう。
週末(12日)にスイスでバーゼル銀行監督委員会の会合が予定されてお り、
新規制(バーゼル3)の内容に注目が集まっている。
一時は厳しい自己資本規制で大手銀行は増資や減配を余儀なくされるとの見方もあったが、
コア Tier1(中核的自己資本)の最低水準は4.5-6%になるとの予想が支配的となっている。
これに資本保全バッファーとして2-3%を加えることが新た に提案されている。
資本保全バッファーを割り込んだ場合には、ボーナスや配当の支払い、
自社株買いが制限される見込みだが、資本保全バッファーを含めても
Tier1の水準は7%前後にとどまる。
既に米国や欧州の大手銀行の多くは10%程度の自己資本を有しており、
自己資本比率の高い銀行は来年度に増配が可 能と指摘する向きもある。
また2013年から段階的に導入、新規制が完全に適用されるのは2018年を目処となる見込み。
適用までに猶予をもうけることで、一部の自己資本の劣る大手行の資本増強を促すとともに、
貸し渋りによる経済低迷の長期化を防ぎたいとの思惑もあるようだ。
早速、ドイツの銀行最大手、ドイツ銀行がバーゼル3へ対応するために
最大90億ユーロの資本増強を計画していることも報じられている。
自己資本規制の詳細が 明らかとなり、主要行が既に十分な資本を有していることが明確になれば、
短期的には銀行株を見直す動きが広がりそうだ。
ただし、米ドッド・フランク法(新金融規制法案)によって、
大手行をはじめ金融機関の収益力低下は避けられない見込みで、
投資家の関心も徐々にバランスシートから中長期的な収益力へと移ることになるだろう。