週前半は円売り勝る

基本は米株安・金利低下でドル売り基調



8月28日(土)13時18分配信 フィスコ



「円高対策決まらず、米住宅指標悪化で83円台まで下落」


8/23-27のドル・円は、
週明け菅首相と白川日銀総裁の電話会談(9時頃か ら15分間)で円高対策が示されなかったことから
ドル売り(円買い)が先行。
85円68銭から軟調推移となり、野田財務相が介入にノーコメントだったことで84円トライ、
株式市場の下落、米7月中古住宅販売件数の大幅下振れを受けてリスク回避の円買いが加速し
83円58銭まで下落。
その後、「日銀が追加金 融緩和策を検討、財務省が日本単独での為替介入を視野に入れている」
との報道、米倉経団連会長発言「菅首相、円高対策で介入含めて対応考えたいと発言」を 受けて
84円68銭へ反発、過去最低水準に落ち込んだ米7月新築住宅販売を嫌気し84円04銭に反落後、
バーナンキ米FRB議長の講演で必要なら追加緩和 策の準備があるとしたものの、
景気見通しが予想ほど悲観的でなかったこと、
「日銀が来週明けにも臨時会合」との報道を受けて85円46銭へ反発。

「米主要経済指標の発表が多く、株安、金利低下、ドル売り継続」

8/30-9 /3のドル・円は、
米国の8月雇用統計(3日)を筆頭に、主要経済指標の発表が多く、
引き続き低調な数字が見込まれることから、株式相場の軟調傾向、
長期 金利の低下傾向とともにドル売り優勢の展開が続く可能性が高い。
ただ、日本政府が8月31日に円高・経済対策の基本方針を決定することになっており、
それに絡み追加金融緩和措置への思惑も強まることから
(日銀が週明けにも臨時会合を開催するとの報道が広がっている)、
週前半においては円売りがやや勝る可能 性もある。

日本の円高・経済対策については、8月31日に基本方針を決定する。
菅首相は、23日に白川日銀総裁と電話会談、次いで野田財 務相と会談後、
「今後、経済界や労働界、民主党の意見を聞いて検討」と表明。
24日に連合(「G7の開催を求め、外国為替相場の安定に向けた国際的取り組 みを呼びかけ」)、
25日に経済3団体(米倉経団連会長「菅首相、円高対策で介入含めて対応考えたいと発言」)、
26日に民主党(玄葉政調会長「(経済対 策)足元の最大の課題は円高とデフレ」)と会談。
そして、27日に大田区の中小企業を視察し、
「経済対策は、円高や海外経済減速など景気下振れリスク対応 と新成長戦略の前倒しを実施」と表明した。

そうした動きに絡み追加金融緩和措置に対する思惑も続いており、
9/6-7に日銀金融政策決定 会合を控えているが、その前の臨時会合開催の見方が強まっている。
白川日銀総裁は米カンザスシティ地区連銀シンポジウム出席で26日から訪米中で30日に 帰国するが、
同シンポジウムにはバーナンキ米FRB議長やトリシェECB総裁も出席、
そこで意見交換する見通しとされている。
菅首相は、白川総裁との電話 会談の翌日、
「(円高対策)中銀総裁会議の結果も聞きながら今後の対応を考えたい」と述べていたが、
27日には「日銀には機動的な金融政策の実施を期待す る」と発言、「日銀総裁が帰国次第官邸で面会」する。

追加金融緩和措置については、昨年12月に導入した新型オペの規模を現行の20兆円から30兆円に増額、
期間を3カ月から6カ月に伸ばす可能性などが広く予想されている。

8/10に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が31日に公表される。
同FOMCでは、超低金利政策の長期間継続を再確認。
景気認識を下方修正。そして、住宅ローン担保証券(MBS)の償還金を米国債に再投資する
との追加緩和策を決定した。

そ れに関して、24日付けのウォールストリート・ジャーナル紙は、
8/10のFOMCを「バーナンキFRB議長就任以来最も異論の多かった会合」とし、
追加 緩和策については、「出席した幹部17人中少なくとも7人が議論の過程で異議を唱え」、
「終了時に議長が意見をまとめた」と伝えており、議事録にそうした 状況が投影されるのか注目される。

バーナンキ米FRB議長の27日の講演では、
「必要に応じて追加刺激策を実施する用意がある」としたも のの、
「現時点で一段の措置に向けた特定の基準やトリガーで合意していない」と述べ、
早期の追加緩和観測は盛り上がらず。
また、「入手中の経済データは、 回復ペースがFOMCの大半の予想より弱まったこと示す」
とする一方、「最近の弱さにもかかわらず、2011年の成長加速の条件は維持されているもよう」 と述べ、
景気見通しは予想ほど悲観的ではないと受け止め方が広がった。

米国の今週発表された経済指標は、7月中古住宅販売件数(年換算) が前月比-27.2%の383万戸となり、
1999年の統計開始以来で最低を記録。
7月新築住宅販売件数も前月比-12.4%の27.6万戸となり、過去 最低水準に落ち込んだ。
住宅関連は政府の税優遇措置が終了したことの反動減や引き続き低迷する雇用が響いた。
また、7月耐久財受注は民間航空機の受注増で プラスになったが、
変動の大きい輸送用機器除く耐久財受注(コア)では予想外の大幅マイナスとなった。
そして、第2四半期GDP改定値は下方修正となった が、予想されたほどの鈍化とはならなかった。

8/30-9/3の主な予定は、
30日(月):(米)7月個人所得・消費支出、
31日 (火):(日)7月鉱工業生産速報値、(米)6月S&Pケース・シラー住宅価格指数、
8月シカゴ購買部協会景気指数、8月消費者信頼感指数、 8/10FOMC議事録、
1日(水):(米)8月ADP全米雇用報告、8月ISM製造業景気指数、7月建設支出、
2日(木):(米)7月製造業受注、7月 中古住宅販売成約指数、
3日(金):(日)4-6月期法人企業統計、(米)8月雇用統計、8月ISM非製造業景気指数。


[予想レンジ]
ドル・円83円00銭-86円00銭