欧州で一時15年ぶり高値
11日のニューヨーク外国為替市場で円相場は続伸し、
前日比15銭円高・ドル 安の1ドル=85円25~35銭で取引を終えた。
世界的な景気減速への懸念が強まり、投資家が運用リスクを回避するとの見方が出て、
低金利の円を買う動き が優勢となった。
円は欧州市場の時間に一時84円72銭まで上昇し、1995年7月以来、15年1カ月ぶりの高値を付けた。
前日の米連邦 公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)が景気認識を下方修正し、
保有する住宅ローン担保証券(MBS)の償還資金を米国債に再投資する ことを決定。
これを受け、外為市場では米景気の減速懸念が一段と強まった。
11日は中国の7月の工業生産の前年同月比の伸び率が縮小し、
世界的に景気回復 が鈍化するとの懸念が強まった。
世界的に株式相場が下落したこともあり、
投資家が運用リスクを避ける姿勢を強めるとの見方から低金利の円への買いが先行した。
米金利の低下が続き、日米金利差が一段と縮小するとの思惑が強まったことも円の支援材料となった。
ただ、円と同様に低金利の米ドルはオーストラリアドルなどの高金利通貨に対して上昇。
これにつれて次第に円売り・米ドル買いが優勢となり、円は伸び悩ん だ。
米景気懸念などを背景にこのところ米ドルは幅広い通貨に対して下落基調にあったため、
投資家のリスク回避の動きが強まる場面で持ち高を縮小するための ドルの買い戻しが進みやすかった
との声があった。
ニューヨーク市場での円の高値は84円81銭、安値は85円46銭だった。
円は対ユーロで大幅に続伸し、前日比2円85銭円高・ユーロ安の1ユーロ=109円70~80銭で取引を終えた。
世界的な景気懸念や株安を背景に円買い・ユーロ売りが膨らんだ。円は一時109円61銭まで上昇し、
7月7日以来、約1カ月ぶりの高値を付けた。
ユーロはドルに対して大幅に3日続落した。
前日終値の1ユーロ=1.31ドル台後半から1.28ドル台後半に下落した。
世界的な景気懸念などからユーロ売 り・ドル買いが優勢となった。
ユーロは一時1.2860ドルまで下落し、7月23日以来の安値を付けた。一方、ユーロの高値は1.3032ドル。
英ポンドは対ドルで下落。前日夕の1ポンド=1.58ドル台半ばから1.56ドル台後半まで下げた。
イングランド銀行(英中銀)が8月のインフレリポートで、景気見通しを下方修正したことが英ポンド売りを誘った。
(日経新聞マネー 8/12 6:46)