米財政赤字への警戒感で
29日のニューヨーク外国為替市場で円相場は続伸し、
前日比65銭円高・ドル安の1ドル=86円75~85銭で取引を終えた。
米株安で運用リスクを回避する目的の円買いが入ったほか、
米国の財政赤字に対する警戒感から幅広い通貨に対してドルが売られた。
予想を上回るユーロ圏の経済指標がユーロ買い・ドル売りを誘ったことも、円の対ドル相場を押し上げた。
朝高で始まった米株式相場が下げに転じ、ダウ工業株30種平均の下げ幅が一時100ドルを上回ると、
投資家が運用リスクを取りにくくなるとの見方から円を買う動きが強まった。
米2年物国債の利回りが低下し、日米の金利差が縮小するとの見方が出たことも円買い・ドル売りを誘った。
円は一時86円57銭まで買われた。
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスのアナリストがダウ・ジョーンズ通信のインタビューで、
米国が最上級であるトリプルAの格付けを維持するためには、
具体的な債務削減計画を示す必要があるとの認識を示した。
米財政赤字の大きさに対する警戒感が改めて意識されたことも、ドル売りにつながった。
一方、朝方発表の週間の新規失業保険申請件数が1万1000件減の45万7000件と、
市場予想(46万件前後)を下回った。
米株式相場が朝方は高かったこともあって円は87円19銭まで売られる場面があった。
円は対ユーロで小反落し、前日比05銭円安・ユーロ高の1ユーロ=113円65~75銭で終えた。
欧州委員会が企業や消費者に聞き取り調査をした7月のユーロ圏の景況感指数が
市場予想を上回ったことなどを受けユーロ買い・円売りがやや優勢だった。
米株式相場が下げる場面でリスク回避目的の円買い・ユーロ売りが入る場面もあった。
ユーロは対ドルで上昇し、前日の1ユーロ=1.30ドル台ちょうど近辺から1.30ドル台後半に水準を切り上げて終えた。
欧州の指標改善に加え、米国の財政赤字を意識したユーロ買い・ドル売りが優勢だった。
一時は1.3107ドルと5月4日以来3カ月ぶりのユーロ高・ドル安水準を付けた。
この日の安値は1.3058ドルだった。
(日経新聞マネー 7/30 7:04)