資産査定にらみユーロ乱高下
20日のニューヨーク外国為替市場で円相場は続落し、
前日比80銭円安・ドル高の1ドル=87円45~55銭で取引を終えた。
円高基調が定着すれば「日本政府や日銀が通貨高を防止するため対策をとる」
という思惑が引き続き円売りを誘った。
米株式相場が上昇し運用リスクを取りやすくなった投資家が低金利通貨の円を売った面もある。
「円が85円近辺で高止まりする場合、日銀が追加的な金融緩和策を検討するかもしれない」
という前日の米メディア報道がこの日も材料視され、円買いに慎重なムードが強かった。
先週来、低調な米経済指標などを背景に短期筋の円買いが膨らんでいたとみられ、持ち高調整の円売りも出た。
米商務省が朝方発表した6月の米住宅着工件数は市場予想以上に減少したが、
先行指標である着工許可件数が増加していたため、あまり材料視されなかった。
円は一時87円58銭まで売られた。高値は86円70銭。
円は対ユーロで続落し、前日比50銭円安・ユーロ高の1ユーロ=112円65~75銭で取引を終えた。
23日に結果が発表される欧州銀行の資産査定(ストレステスト)をにらみ、
円は欧州市場で買われた後、ニューヨーク市場で下げに転じる荒い値動きだった。
欧州市場では「ドイツの不動産金融大手の資本不足が査定で明らかになる」
との観測が蒸し返され、円買い・ユーロ売りが優勢。
円は一時111円46銭まで買われた。
ただニューヨーク市場では、スペインやフランスのメディアが自国銀行は査定を無事通過したもようだ
などと相次ぎ報じた。
ドイツについても不動産金融大手を除く民間銀や州立銀は無事通過したとの報道が流れた。
欧州金融システムを巡る不透明感がやや和らぎ、ユーロに買い戻しが入った。
朝安で始まった米株式相場が上げに転じたこともユーロの買い安心感につながり、円は下げに転じた。
ユーロは対ドルで反落し、前日終値の1ユーロ=1.29ドル台半ばから1.28ドル台後半に下げた。
対円と同様に欧州市場で下げた。
東京市場で付けた1.30ドル台を維持できなかったため、利益確定目的のユーロ売りが膨らんだ面もある。
ニューヨーク市場では欧州銀の資産査定を巡る報道や米株高を受けて下げ渋ったが、
上昇に転じられなかった。この日の安値は1.2839ドル、高値は1.2923ドル。
カナダドルが米ドルや円に対して上昇。
対米ドルでは前日夕の1米ドル=1.05カナダドル台半ばから、1.04カナダドル台半ばに上げた。
カナダ中央銀行が朝方、市場予想通り政策金利を0.25%引き上げ年0.75%にすると発表した。
声明で景気不透明感を背景に追加利上げに慎重な姿勢を示したため、カナダドルは下げに転じる場面もあった。
オーストラリア(豪)ドルは米ドルや円に対し大幅高。
豪準備銀行(中央銀行)のスティーブンス総裁が講演で
8月の総選挙前でも必要なら利上げする姿勢を改めて示したことが買い材料だった。
(日経新聞マネー 7/21 6:42)