米国株式市場見通し:企業決算と全体景気の綱引き、新金融規制改革法案にも注目
7月10日(土)8時09分配信 フィスコ
7/12-16は12日のアルミニウム大手アルコアの決算発表を皮切りに、4-6月期決算発表シーズンへと入る。年後半にかけて米国経済が二番底を探る動きとなるのか、あるいは景気回復の道を辿るか、4-6月期の企業業績を見極めたいとの思惑が強い。金融ではJPモルガン・チェース(15日)、シティグループ(16日)、バンクオブアメリカ(16日)など大手銀行の決算が予定されている。本コメント執筆時点で、新金融規制改革法案は未だ成立していない。賛成を表明していた一部の共和党議員が、最終修正案に不服を表明しているとも伝えられており、成立は来週以降にずれ込む公算が高い。同法案がどの程度、大手金融機関の収益圧迫要因となるかが投資家の関心事項となるだろう。

ハイテクではインテル(13日)、AMD(15日)、グーグル(15日)などの決算発表が予定されている。グーグルは先週、中国当局との検閲を巡る問題で対立が表面化していたが、中国が事業免許更新に応じたことで買われた。またインテルやAMDは半導体をはじめ、特にハードウェア関連の決算を占う先行指標として注目を集めそうだ。

経済指標では7月NY及びフィラデルフィア連銀製造業景気指数(15日)や、6月小売売上高(14日)などの発表が予定されている。また中国4-6月期GDP(15日)と、史上最大規模となる中国農業銀行の上海及び香港証券取引所への新規上場が予定されている。

経済指標などマクロ要因では、高い失業率を背景にやや景気回復の鈍化や個人消費の落ち込みへの警戒感が高まっているほか、欧州の信用不安問題も予断を許さない状況にある。一方で、金融機関を除く米国企業の現金保有比率は過去最高レベルに達するなど、バランスシートの健全性は大きく改善している。概ね良好な内容が期待される主要企業の決算発表がマクロ要因の懸念を払拭できるかどうかが焦点となりそうだ。