為替市場見通し:参院選の結果が焦点、政権運営懸念浮上なら円安要因に
7月10日(土)13時45分配信 フィスコ
7/12-16のドル・円は、米国の景気回復ペースの鈍化懸念や、早期利上げ観測の後退によるドル売り先行の地合が続くなかで、一連の主要経済指標や主要企業決算の発表を受けた株式市場の動向をみながらの取引になる。長期金利の動向に関しては、米国債入札(12-14日)の結果が注目される。また、日本の参院選で民主党が改選議席に届かず、菅首相(党首)の責任を問うムードが広がれば、政局の不透明感が強まり、目先的な株安、円売り要因になる可能性がある。日銀展望レポートの中間評価(15日)では、経済成長率の見通し引き上げ検討が予想されている。中国の主要経済指標の発表(15日)も注目される。

6月22-23日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、超低金利政策の長期間継続を再確認、景気の現状判断を下方修正したことを受けて早期利上げ観測が後退、ドル売り先行の展開が始まった。以後、2日発表の米6月雇用統計も力不足で状況は変わらず、ドル売りの流れが続いている。来週は米国の主要経済指標の発表が多く予定されており、相場動向に直結する材料として注目される。

参院選は7月11日に投開票、12日未明には大勢が判明する。定数242議席の半数の121議席が改選される(うち民主党54議席)が、民主党は非改選議席が62なので、単独で過半数となるためには60議席が必要。また、与党で過半数となるためには56議席が必要。新聞各社の終盤情勢分析では、与党の過半数確保が微妙との見方になっており、民主党が改選議席を守れない場合は、菅首相(党首)の責任問題、その後の政権運営への懸念が浮上する可能性がある。目先は、株安、円安要因として注意が必要。

14-15日の日銀金融政策決定会合では、政策金利(0.10%)の現状維持の継続が予想されている。今回は4月にまとめた日銀展望レポートの中間評価が行われ、6月調査日銀短観の改善を受けて、経済成長率や物価上昇率の見通しを引き上げる方向で検討するとみられている。4月30日に発表された日銀展望レポートでは、実質GDP見通し中央値(前年比)は2010年度が+1.8%、2011年度が+2.0%。コアCPI見通し中央値(前年比)は10年度が-0.5%、11年度が+0.1%となっている。

米国債入札が、12日に3年債(350億ドル)、13日に10年債(210億ドル、銘柄統合)、14日に30年債(130億ドル、銘柄統合)で総額690億ドル予定されている。今回も波乱なく消化されるか動向が注目されるが、入札の結果を反映して、米長期金利が上昇すれば、ドル・円は仕組み債絡みなどのドル買いが強まり、金利が低下すればドル売りが強まる傾向が続く。