「米国の低調な経済指標、長期金利の低下に一時87円割れ」
6/28-7/2のドル・円は、本邦輸入筋や本邦準公的機関投資家の買いに89円47銭へ上昇後、
米国10年債利回りが3.00%を割り込んだことや、本邦輸出企業からの売りで89円割れ。
中国の成長鈍化懸念や予想以上に悪化した米6月消費者信頼感指数が嫌気され、
また、予想を下回る米6月ADP雇用統計を受けて米雇用統計も低調との懸念が強まり88円割れ。
6月の日銀短観が予想を上回る一方、低調な米6月ISM製造業景況指数、5月中古住宅販売成約指数を受けて
超低金利政策が長期化するとの見通しからドル売りがさらに強まり86円96銭まで下落。
その後、米6月失業率の予想外の改善に88円台へ反発も、同民間部門雇用者数が予想ほど伸びず、
また、米5月製造業受注の下振れにより87円33銭に反落。
「米雇用回復鈍化でドル売り継続」
7/5-9のドル・円は、米国の景気回復速度の鈍化懸念、
早期利上げ観測の大幅後退によるドル売り先行の展開が続く可能性が高い。
2日発表の米6月雇用統計では、失業率が予想外の改善(9.5%に低下)となったものの、
求職者の一時的減少による影響との見方が大勢。
また、民間部門雇用者数の伸び(8.3万人増)が予想を下回り、
5月分も下方修正(4.1万人増から3.3万人増へ)されており、ドルを反発させるには力不足の結果となった。
来週発表される米国の注目経済指標は、6月ISM非製造業総合指数(6日)のみ。
日本は5月機械受注の発表がある(8日)。
6/22-23の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、超低金利政策の長期間継続を再確認。
景気の現状判断は、「経済回復は継続」(4月は「経済活動は引き続き強まった」)にやや後退。
個別も「雇用は緩やかに改善」(4月「雇用市場は改善し始めた」)、「住宅着工件数は依然、低迷」
(4月「住宅着工件数は底這い」)に下方修正。
それを受けて早期利上げ観測が大きく後退、以後、発表されている米国経済指標が低調なこともあり、
ドル売りが先行しやすい状況が続いている。
米国の金融規制改革法案については、6月25日に上下両院協議会で最終的な法案に関して合意が成立、
その後、上下両院本会議の採決に移り、下院は30日に可決した。
一方、上院は、民主党議員のひとりが死去、ひとりが最終法案不支持を表明するなど成立は微妙な状況が浮上、
7月4日以降に採決することになった(議会は独立記念日から1週間休会なので、早くて中旬)。
オバマ大統領が希望していた4日までの法案成立は不可能になったが、
2日時点においては独立記念日休日明けにも可決される公算が強いとの見方が出ている。
法案の焦点だったボルカー・ルール、デリバティブ取引に関しては規制色がやや後退しているが、
法案成立後のマーケットへの影響が引き続き注目される。
参院選は7/11が投開票で、定数242議席の半数の121議席が改選される(うち民主党54議席)。
民主党は非改選議席が62であり、単独で過半数(122)となるためには60議席が必要。
また、国民新党の非改選議席は3なので、与党で過半数となるためには57議席が必要となる。
公示(6/24)後、大手新聞各社が発表した序盤情勢分析では、民主党は比例で強いが、選挙区で伸び悩み、
50議席台前半程度で単独過半数はきわめて微妙との見方が大勢だった。
来週明けには中盤での情勢分析が出そろうはずであり、
終盤を迎えて予想される選挙結果のマーケットへの織り込みが始まる可能性がある。
7/5-9の主な予定は、5日(月):(米)独立記念日の振替休日で休場、
6日(火):(日)5月景気動向指数速報値、(米)6月ISM非製造業総合指数、
8日(木):(日)5月経常収支、5月機械受注、日銀支店長会議、(米)5月消費者信用残高、
9日(金):(米)5月卸売在庫・売上。
[予想レンジ]
ドル・円86円00銭-89円00銭