幼い頃、母に手を引かれて近くの小学校へ向かった


母は講堂の入り口で



「ここから先は子供は入れないのよ、あっちの出口から出てくるから待っててね」


それだけ言うと母は講堂の中へ入っていった



「・・・・子供は入れない???」



私は訳が分からないまま出口で母を待った



そこで待てば母は必ずそこから出てくる事を信じていたが



小さいながらに子供が入れない事情は、中で子供に話せない何かが起きていて


それはおそらく良からぬ事である

と、漠然とした不安感をもち待っていた

母はにこやかな顔をして近所の知り合いと一緒に出口から出てきた


安堵して母に駆け寄ったが、ひとり勝手に中で何があったのかは聞いてはいけないと思い込んだ







暫くして小学校の講堂で選挙の投票をする事を知り



あぁ、あの時は選挙に連れて行かれたのだとわかったのだが



今でもあの何とも言えぬ不安感だけが心の中に記憶されている



幼い頃の記憶の中で染みのように残る唯一のわずかな猜疑心を感じた母への記憶として








米国大統領が決まる



今や世界を牽引していくには衰退してしまった米国だが



どちらが選ばれても



今の世界金融不安を払拭していく施策を期待する