今日お訪ねしたお客様。もうすぐ90歳になろうというおばあちゃまです。


「用があるから時間があったら寄ってほしい」との電話があり


「何時ごろ伺ったらいいでしょうか?」と聞くと


「できれば午前中がいい」


とのこと、ははあーんと予感が


お約束の11時少し前にお客様宅の玄関に到着


「お元気でしたか?」


「もうろくしているからね。ヘルパーさんが良くしてくれるからどうにかね。」

「○○さんは?忙しいの?いつも元気がいいね、あなたの元気な顔をみたいと思ってね・・・」


やっぱりです。


用なんてありませんでした。

こうやって忘れた頃にこのおばあちゃまからは連絡があります。


「お昼は?」


「いえ、まだです」

「よかった。一緒に食べましょう。」

「いいえ、そんな・・・」


「駄目よ、お昼を食べる約束してたでしょ」


「・・・ハイ、いただきます!」


今や前世紀の遺物?となった黒電話(勿論ダイヤル式)でジーコジーコと


出前を頼んでくれました。

鍋焼きうどんです。

二人でハフハフしながら食べました。

ちょっと味付けが濃い気がしたので


「味濃くないですか?」

「私はこのくらいの味付けが好きなのよ、いつも鍋焼きうどんをたのむのよね」

具だくさんの鍋焼きうどんです。さすがにおばあちゃまには量が多いだろうと思っていましたが

鶏肉も海老天もかまぼこもパクパク、パクパクと

ズズズズーと完食です。

ビックリです。


「○○様の長生きの秘訣が分かりました。全部召し上がるんですね。多いと思っていましたが


全部食べちゃいましたね。すごい!」

「○○さんと食べるからよ」

以前お訪ねした時は胃の調子がおかしいとのことで胃カメラで検査した、結果がでるまで心配で

思うように食事も進まず果物ばかり食べているとおっしゃっていました。

「ガンかもしれない・・・」と心配していらしたのでした。


「果物でもなんでもいいですから召し上がって下さいね・・・」

後日なんでもなかったとの報告を受けホッとしました。

おばあちゃまは三人のお子様がいらっしゃいました。悲しいことに長女と長男を40代の若さで亡くされています。お二人ともガンだったそうです。それから30数年お一人で暮らしているのですが頼みの次男は埼玉に住んでいるのでめったに顔を出さないそうです。


「長男が生きていたらね、優しい子だったのよ・・・。

長女もね、一緒に出掛けるのが楽しみだったんだけどね」


「次男は嫁が気が利かない人でね・・・たまに来ても近くに葬祭場があっただのって、私が聞こえないとでも思っているのかそんな話ばかりするから私も面白くないのよ」


厳しい話です。うまく返事する事ができませんでした。


「気ままに一人暮らししている方がいいの」


「お元気ですものね、誰に気兼ねなく暮らせますものね・・」


お茶のおかわりを何杯もすすめるおばあちゃまでした。