あの日の絵 | 手が知っている異界の彩~絵師・緋呂 展示館~

手が知っている異界の彩~絵師・緋呂 展示館~

神・仏・天使。そして、「あなた」の光を、緋呂が描きます。陰陽併せ持つ「人間」の中に、すべては在る。
描くべきもの、進むべき道。すべては、手が知っています。




【人々よ頭(こうべ)を上げよ】
サイズ:B3 イラストボード
画材:パステル、練り消しゴム、色鉛筆少々




この絵は、ほとんど紹介してません。

なぜって……私、風景画が苦手なんです…

ていうか、ヒトガタ以外はほぼ全部苦手だったりするけど…(^_^;)



この絵は、どうしても描かなきゃならなかったから、描きました。
拒否したかったけど。


今日だから、たぶん描いた時以来のご紹介です。


この絵は、天照大神の絵の下に配置するために描きました。
最初から、そういう「指示」でした。


2012年4月、名古屋市西区那古野にある蔵ギャラリーで、友人のパステル画家さんとの合同展に出しました。
その会期4日間だけしか、人目に触れていません。

なぜって。
その会場だけが、「天照大神の足の下に配置できる」天井の高さがあったからです。

その時以降、アマテラスさまは何度も作品展におでましいただいていますが、「本来の配置」として展示できたのは、その4日間だけでした。



これが、その「本来の配置」です。


中央に天照大神。
左上は、道開きの神・猿田彦さま。
右上が、生命を讃える神・木花咲耶さま。

下段は、神というよりは「天使」的な感覚で、自然神・雷神&風神。

そして、一番下に、人の世。



この6枚は、セットなんです。
本来は。

アマテラスさまの絵は、サイズが大きい。
更にその下に、これだって小さいとは言えないサイズの風景画を配置したい…というか、そのために描いたもの。

現実に、それが可能な会場を、私ではなく相方が見つけてきてくれました。

…というのも結果論で、実際は、その会場を見てこういう組絵を描いたわけではなく、描いて見て、会場持ってったらいい具合の天井の高さだった…ホッ…っというのが、真相です(笑)



この絵は2012年に描きましたが、風景は東日本大震災のものです。

通勤電車の中で、風景画像が頭の中に出てきまして。

瓦礫の中に鳥居と木だけが立ってて、それを見ている人が数人…という画像。
震災の風景だということは、すぐわかったので、家に帰ってから画像を探しました。

それにピッタリのものが、二枚の写真として、出てきました。

その二枚を重ねて描いたのが、この絵。

風景画は苦手だけど…この6枚組は、一番下の風景画が、肝心でした。



この絵のタイトルは、【人々よ頭(こうべ)を上げよ】

アマテラスさまは【共に在れ】

猿田彦さまは【龍脈蠢動】

木花咲耶さまは【生命賛歌】

そして、雷神【明け祭】と、風神【花舞】



あれから3年経ちました。

あの日は次男の高校入試面接日当日。
次男はインフルエンザにかかっていたので、一人隔離された状態で朝一番に面接を受け、帰宅して一眠りした後、ちょっと調子良くなって起きてきてテレビを見てました。

揺れは、まるで船の上にいるみたいな感じ。

リアルタイムで、津波を見てました。
今も思い出す、ビルの間を流れていく漁船。
水がどんどん上がってくるのに、ビルの屋上駐車場にいた一台の車が動いていて、出口へ向かっていくのが、ヘリから撮影された映像に映っていました。
あの車、どうなったのか…



3年たったけど、今も、まだ、被災地はこの絵の状態にいる気がします。


今日は多くの方が、そのことを書いてらっしゃいました。
絵描きの方が、「絵描きは絵を描くしかない」といったことを書かれていたのが、印象に残っています。



自分の幸運を活かして、それを還元するにはどうしたらいいか…。

絵描きは、描くしかない。

それによって還元するしかない。


人の力、見えないものの力、自然の力。

生命の力。



頭をあげて。
顔をあげて。
胸を張って。

そうやって、前を向いていくしか、ない。

…のだよね。



自分に、言い聞かせる毎日です。


ペタしてね  読者登録してね