コンピレーション・アルバムの19曲目は「おそ松くん」のテーマです。

 「おそ松くん」は、ご存じ赤塚不二夫原作で、1966年から67年にかけて第1作が放送されました。ギャグ満載の赤塚作品の典型で、ストーリーよりもリズム感で見るものでした。

 主役の六つ子がかすむほど個性的なイヤミとチビ太やハタ坊、デカパン、レレレのおじさん、ニャロメ、ケムンパスなど後の赤塚作品にも登場する魅力的なキャラクターが満載でした。

 主題歌の「おそ松くんのうた」は赤塚不二夫作詞、渡邊浦人作曲で、六つ子、イヤミ、チビ太の声優陣が歌っています。

 作曲の渡邊浦人はクラシック畑の作曲家で、1941年に発表した交響組曲「野人」は非常に高く評価され、戦中は数多く再演されたようですが、戦後は演奏される機会が少なくなってしまっています。格調高い静けさに満ちた部分から、民族的なエネルギーにあふれた部分まで、多彩な曲調を持った作品ですので、日本の管弦楽曲の古典としてもっと取り上げられてもいいと思います。

 音盤化は、放映当初は主題歌と物語が収録されたソノシートが発売されただけで、シングル盤の発売はありませんでした。その後、LP、CDの時代を通じて、多くのオムニバス・アルバムに主題歌が収録されています。

 主題歌だけでなく劇音楽部分も渡邊が担当していますが、サントラアルバムは制作されていません。子供の頃は気にもかけていませんが、今DVDで確認すると、この作品では音楽が全体のリズム感を作り出すのに大きな役割を果たしています。