コンピレーション・アルバムの16曲目は明治チョコレートのCMソングです。

 テレビ番組は菓子メーカーがスポンサーとなることが多く、明治、森永、グリコのCMソングは一日中あらゆる場面で耳にしていました。その中でもヒット・メーカーいずみたくが作詞・作曲を手がけたこの曲は、初めて使用されたのは1966年でしたが、現在まで様々なバージョンが制作されており、最もなじみ深いCMソングの一つといえます。

 いずみたくについては、(8)の宇宙少年ソランの項で触れていますので、そちらをご覧ください。

 

 17曲目から19曲目までは、ギャグ漫画のテーマ曲です。

 

 17曲目は、「オバケのQ太郎」のテーマです。

 「オバケのQ太郎」は、1965年から67年までTBS系列で放映された藤子不二雄原作のテレビまんがで、原作、テレビ番組ともに誰もが知っている空前の大ヒットとなった作品です。

 主題歌の作詞は東京ムービー企画部となっており、個人名のクレジットはありません。作曲は広瀬健次郎です。

 広瀬健次郎は、1960年代には森繁久彌、伴淳三郎、フランキー堺主演の駅前シリーズ、加山雄三主演の若大将シリーズ、クレージーキャッツ主演映画などのプログラム・ピクチャーの音楽担当で、キャッチーで手堅い音楽付けで定評がありました。 

 「夜のヒットスタジオ」などの歌番組や松田聖子、小泉今日子などのコンサートでも素晴らしいオーケストレーションをしていました。

 あまり知られていませんが、1965年のフランク・シナトラ監督・主演の日米合作映画「勇者のみ(None But the Brave)」では、当時TVの世界から映画音楽の世界に転身したばかりのジョン・ウィリアムスとともに音楽を担当しています。

 映画公開当時はジョン・ウィリアムス作曲のメイン・テーマに歌詞をつけ、ジャック・ホーロラン・シンカーズが歌ったシングル盤がリリースされただけでしたが、2009年になってアメリカのサントラ専門レーベルFSMから全曲サントラが発売されました。残念ながら収録されているのはジョン・ウィリアムス担当部分のみで、広瀬がクレジットされたタイトルはありません。しかし、日本関係のハリウッド映画でよくある中国風のアレンジはまったくなく、民謡の「ドンパン節」や戦時歌謡「ほんとにほんとに御苦労ね(軍隊小唄)」が効果的に用いられるなど、日本的な部分が各所に見られるのは広瀬のアドバイスによるものと思われます。

 

          

 

 石川進が歌った「オバケのQ太郎」は、この時期のお約束で、ドラマを収録したソノシートが朝日ソノラマ、ビクターなどから発売されました。

       

 

 

 

 シングル盤は、1966年に同じく広瀬健次郎が作曲し、石川進とQ太郎役の声優曽我町子が歌った「オバQ音頭」が番組の主題歌に変更された時点で、「オバQ音頭」のB面としてコロムビアからが発売され大ヒットとなり、1966年の日本レコード大賞童謡賞を受賞しています。また、テイチクからも曽我町子が歌った「オバQかぞえ歌」とのカップリングで同年シングル盤が発売されました。

 

 

 「オバケのQ太郎」の劇音楽部分の担当は広瀬ではなく、弟子の筒井広志が担当しています。

 「オバケのQ太郎」の主題歌、挿入歌はLP時代、CD時代を通じていろいろなオムニバス・アルバムに収録され、1985年には単独のアルバム「うたとおはなしオバケのQ太郎」もリリースされましたが、残念ながら筒井の音楽部分は今のところ音盤化されていません。