南米渡航記vol.8 | 川嶋あいオフィシャルブログ「川嶋あい“ひとこと”」 Powered by アメブロ

南米渡航記vol.8

【渡航記5日目①】



5日目は、青年海外協力隊の女の子が活動する小さなパン工場の見学。
ここに日本人会会長の福井さんが現れる。
昨日の佐藤さんに勝るとも劣らないパワフルな方で、移民一世の方だった。




福井さんの案内で大豆畑に入る。
大豆はこの国では主流の農産物で、移民農家は随分と救われたらしい。
もっともここで作られている大豆の多くは食用油、バイオ油で、そのほとんどが輸出されている。
広大な台地は何キロも大豆の緑の畑が広がり、自分が何処にいるのか錯覚してしまう。
これ程までに広大な世界は今だかつて経験した事がない。


「移民して50年、色んな畑を作って、やっと大豆に辿り着いて、この15年で自由とお金を手に出来た。
35年間生きる為に戦ってきた。

今の日本には生きる為に戦う意味の分かっている子はいないだろうね。
生きる事に勝つ事ができたから、

もう僕達はこれ以上何かして頑張ろうという気力はなかなかでてこないんだよね」


豪快に笑った。
私は日本国でこんなに豪快に笑う人に出会った事がない。
同時にこんなに切ない目をして笑う人を見た事がない。



35年間笑うことで目の前の壁と戦ってきたんだね。
凄いよ。ホントに凄いよ!!

赤土の上を緑で覆う大豆の葉が太陽に向かってりんと背を伸ばしていた。
葉の下にはいくつもの命の大豆がその実を膨らませていた。
私はその命の大地をもう一度踏みしめた。