食欲が無くて「食べたくても食べられない」というクライアントは少なくありません。

その中には極端な栄養不足に陥り、痩せ細り、酷い慢性疲労のために仕事や学校に行けない人もいます。

そして、自己診断で副腎疲労だと思われる方もいますし、実際に栄養療法のクリニックで5時間糖負荷試験（低血糖の検査）をしてもらい副腎疲労症候群と診断されてから、私のところに来院される人もいます。しかし、副腎を活性化させるサプリメントを飲んでみたが全く変化なかったというお話をよく聞きます。

そのような方々がまず取り組むべき事は「食べたくても食べられない問題」です。
　
では、食べたくても食べられない原因は何でしょう？

それはストレスと慢性炎症です。
　
多くの場合、ストレスと慢性炎症に対して、心理療法と栄養療法をうまく融合させて行うセラピーが必要でしょう。

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■ＣＲＦ（またはＣＲＨ）と食欲抑制

ストレスや炎症があると脳の視床下部という所からＣＲＦ（副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン）が出て下垂体を刺激します。さらに下垂体は副腎皮質を刺激します。そうやってコルチゾールなどの副腎皮質ホルモンが出ています。

しかし、ＣＲＦは副腎皮質ホルモンの分泌に関与しているだけでなく、迷走神経を介して胃や十二指腸といった上部消化管運動を抑制しているのです（専門用語でＣＲＦＨ２型受容体というのが関係しています）。そのため食欲低下や胃もたれが起こります。

※ＣＲＦは下部消化管運動（結腸）を亢進させます（専門用語でＣＲＦ１型受容体というのが関係しています）。それが過敏症腸症候群の原因となります。

■レプチンと食欲抑制

食欲を抑制するホルモンに脂肪細胞が分泌するレプチンがあります。

通常、痩せて脂肪細胞が小さくなるとレプチンの分泌が低下し食欲が出てきますが、炎症があるとレプチン様シグナルというのが増加するため食欲が抑制され、「食べたくても食べられない」という状態になります。

ストレスについては、心理療法をしてストレス耐性を上げる事も必要かもしれませんが、まず、ストレスを減らすという事が必要かもしれません。たとえば、仕事を減らす、介護や育児を他の人に手伝ってもらう、転職・休職する、別居するなどして、精神的、肉体的負荷を減らす事だけでも良くなる事もあるでしょう。

炎症については、抗炎症作用のあるサプリをチョイスする事もありますが、まず解毒、抗酸化、腸内環境、病原体、ヒスタミンなどの基本的対策が必要になります。