第3話 そして上書きされる新しい未来という名の過去・・・(後編)
保健室に向かった俺は、ベッドに目を向ける
「気持ちよさそうなお顔で寝やがって・・・」
悪態をつきながらも藤崎さんを抱え、駐車場に向かう
あ~、昔はわかんなかったけど、今ではまゆみんの車がはっきりわかる
トヨタAE86スプリンタートレノ、ボンネットはカーボンで黒く、どこかのとうふ屋を連想させられた
昔は色を塗る金が無いのかと思っていたが、こういうことだったのか
ドアはFRP、ガラスはアクリルガラスと、軽量化が施されている
ドアを開けるとスポット増しをした後、トータルで300くらいはしてあるだろう
ちょっと、運転させてもらおう・・・・
「なぁ、このハチロク、えらい金かけてるな・・・・」
「ん~?まこっちゃんわかる?エンジンも変えてるのよ?」
あんたはどこのとうふ屋の息子だ・・・や、娘か
ツードアなこの車の助手席を前に倒し、後部座席に藤崎さんを乗せる
「なぁ、まゆみん、ひとつお願いなんだけど」
「な~に~?まさか私とラブh「ホにはいかないけど、少し運転させてくれない?」っちぇ、別にいいわよ?」
ええんかい・・・・
俺はまゆみんからキーをあずかるとエンジンに火を入れ、爆音を轟かせながら学校を後にした
「まこっちゃん運転うまいね、まゆみ、車酔いするから、すぐに酔っちゃうK「ここ、右でよかったっけ?」・・・うん」
まゆみんのネタをスルーしながら、俺は藤崎さんの家を目指した。
「よしついた。 まゆみん、藤崎さんの親呼んできてくれ、俺はここで待ってる」
まゆみんは、ほいよ~と軽い返事をすると、藤崎さんの玄関のチャイムを押した
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無事に藤崎さんを送り届けた俺たちは、俺の家へと車を走らせる
「そういやまこちゃん、ハゲ親父が進路の紙が出てないっていらいらしてたわよ?このまま学校に戻るし、よかったら渡しとくけど?」
「あ~すんません、頼みます」
ちなみにハゲ親父とは当時の学年主任だったりする
家に着いた俺は、玄関を開けた瞬間、異変に気が付いた
「なんだ、この鉄臭い臭い・・・・」
俺はリビングに足を向けた
「おいおい・・・なんじゃこりゃ・・・・」
そこに“あった”のは俺の両親・・・の、亡骸だった・・・
「え?え?俺の過去にこんなことはおこっていない・・・・」
落ち着け、落ち着け柊木真琴、クールになるんだ・・・脳みそをクールにスイッチしろ・・・・
刹那、背後に気配を感じた
「君が、柊木真琴君だね?」
そこには、黒ずくめでサングラスをした、スキンヘッドのおっさんが立っていた・・・
第二話 そして上書きされる新しい未来という名の過去・・・前偏
次に目が覚めたとき、最初に見えたのは真っ白な天井だった
「知らない天井だ」
お前はどこのサードチルドレンだ・・・・
ベッドから体を起こし、周りを見渡す
病院・・・というわけでもないらしい
ふと、後ろに人の気配を感じた
「やっとおきたようね、まこっちゃん」
そう、この人は確か・・・・
「まゆみん先生?」
そう、そこにたっていたのは俺をヲタクに育て上げた高校の保険医、赤城まゆみ先生その人だった
頭が混乱する、なぜ目の前にまゆみんが?
しかもおととし亡くなられたはず・・・
しかも若い・・背は低いし、つるぺったんだし・・・しかも何であんたスク水に白衣なんだ・・・・
それじゃどっかのぱっきんマッドじゃないか・・・
「ちょ、まゆみん何ぞその格好・・・・」
いや、突っ込むポイントが違うだろ・・・・
「なにいってんのよ、まこっちゃんがおぼれて私が助けたんでしょ?」
え?俺がおぼれた??いや、さっきトラックにはねられて即死・・・・
「プールの授業中に足つっておぼれたの、覚えてない?」
あ、そんなことになってたのね俺・・・・
とりま状況を把握しよう
俺はトラックではねられて即死→おきればまゆみんがそこにいる→まゆみんが居るということはここは俺の母校→と、いうことはよぉわからんが過去に帰ってきた俺→(゜д゜)ウマー ってこといなるのか
おk、把握
「ねぇ、まゆみん、何で俺服着てるの?」
「あぁ、私が着せたからよ。まこっちゃんのおちn「自重しろよ変態」サーセン・・・・」
あ~そういえばこの人、結構エロかったな・・・・
「ごめんまゆみん、タバコと火ちょーだい」
そうそう、この人にタバコ教えてもらったんだっけ
「いいけど、アメスピしかないわよ?」
「ぜんぜんおk、んじゃ屋上で一服してくるわ」
俺はそういい残し、保健室を後にした
だんだん日も暮れ始め、煙草を吸い終わった俺は時計を見る
“5時32分”
帰るにはちょうどいい頃合だった
ふと周りを見渡すと、フェンスのところに女の子が立っている
校舎の下のほうが騒がしい・・・
あ~、そういえばいたっけな、1学年下の女の子で飛び降り自殺した子・・・
名前はたしか・・・・
「まお!!!死んじゃだめ!!!!」
あぁ、まおっていうんだ
新聞で見たとき,それなりに可愛い子だったのをおぼえている
もし今の状態で俺があの子を助けたとしよう、やはり未来に影響が出るのか
それとも、時間に飲み込まれ、また違う死に方をするのだろうか
だとしても、俺は未来を変えれるかもしれないということに興味を抱いた
「なぁ、君名前なんつったっけ?」
まおと呼ばれた少女は驚いたように目を見開き、俺を見た
「ふ、藤崎真央・・・」
「俺は柊木真琴、こんなとこで何してんの?」
これは別にKYだというわけではない
人間というのは,感情的になればなるほど、相手にゆっくりとしたペースで話されると調子が狂い、自然に落ち着きを取り戻していく
さらに、自分が今何をしようとしているのかを自覚させ、それに見合った解決策のヒントを与える
「・・・・・・」
「自分の口からじゃいえない?じゃぁ当ててみよう、そうだな・・・・部活でいじめにあって、自殺とか?」
「?!」
「お、あたった?でもさ、藤崎さん死んだところであいつらは何一つかわんねーぜ?どうせ死ぬなら、あいつらにも痛い目を見せてからの方がいくないか?まぁ、どうしても死にたいってんなら、止めやしないけど」
「あ、あんたなんかに何がわかる!!」
うろたえながら彼女は俺を見つめる
そりゃそうだ、俺には彼女の苦しみなんてわからない、俺は彼女じゃないもの
「藤崎さんの苦しみがいかなるものか知らんが、どうしても苦しいってんなら、俺が助けてやる」
とどめの一発が聞いたのか、彼女はぽろぽろ泣き出した
「とりま、そんなところじゃ危ないから、こっちにきんしゃい」
俺はおどけた感じに彼女を呼ぶ
こっちに着たかと思えば俺の胸の中で意識を手放している
緊張の糸がきれたのか・・・
やっぱ、心のよりどころが欲しかったんだな、寂しかったんだな、つらかったんだな・・・・
俺は彼女をやさしく抱きしめる。
「安心しろ,もぉ大丈夫だから」
そう藤崎さんに語りかけたあと、先公どもが駆けつけ藤崎さんを保健室に連れて行った
「大活躍だったじゃない」
まゆみんは俺にそう言うと、コーヒーを手渡した
「別にたいしたことしちゃいねぇよ、藤崎さんと“おしゃべり”をしただけだよ」
「え?おしゃb「黙れ変態保険医」・・・ごめんなさい」
この人、こんなに下ネタ好きだっけ・・・・
「あ~そうそう、この子家に送っていこうと思うし、まゆみん車出してよ」
たしか、この人車好きで、学校の近くの駐車場に止めてるんだよな。
たしかいちど、その現場を目撃してる。
「ちょ・・・何故それを・・・いくら私が好きだからってストーk「黙らないと校長に車で来てる事言うよ?」・・分かりました,黙りますです。」
うん、これでいい
「じゃぁ、藤崎さんつれて校門の前で待ってて、車取ってくるから」
「おーらい」
そういうと、まゆみんは車のキーをくるくる回しながら保健室を後にした。
第一話 過去に行った男~46歳サラリーマン、妻と娘もいるのになんでこんな・・・~
「あ~、何でこんなことなってるんだろう・・・」
夏のくそ暑い日差しに真上から照り付けられながら、少年は学校の屋上でタバコをふかしていた。
「まぁ、こうなっちまったもんはしょうがない“人生もう一度やり直すか”」
少年は気楽だった
私、“柊木真琴”はサラリーマンだ。
家に帰れば妻も娘もいる。
妻には浮気され、娘もろくに帰ってこない。
趣味は自室にこもってインターネットや昔のアニメを見ることぐらい、最近は新しい作品も見たりしている。
いわゆるオタリーマンというやつだ
こんな環境で、よく欝や引きこもりにならないものだと、自分でも感心できる
自室にあるコレクションに脂がつくのを嫌い、リビングでタバコをすおうものなら妻にけむたいと言われ、蛍族をするのもいつものこと
土曜の夜にもなると、近所の峠に向かう走り屋連中が、甲高いNAサウンドやターボ独特の低音を奏でながら走っていくのを見るのが楽しみである。
「そういや俺も、峠通いはよくしたな・・・俺は、どこで人生踏み誤ったんだろう・・・」
若い頃は仕事が終わると、会社の近くの駐車場にとめてた愛車でよく峠を攻めてたものだ
そんなことを考えながら、タバコをもみ消すのであった。
朝六時半、妻よりも早く起きて朝食の準備、七時半には家を出ないと遅刻するだろう
スーツに着替え、ごみをまとめ、近所の奥様方に会釈して家を出る
八時、駅に向かう信号で引っかかる
雨の中、じめついたワイシャツが気持ち悪い
そろそろ信号が青になろうとしているが、一向に車の流れは途切れない
そして、妙な胸騒ぎが、さっきからおさまらない
そんな時、後ろから誰かに突き飛ばされた感触があった
「え?」
トラックにはねられ即死という、惨めな最後を迎えた。
でも、俺の意識はまだ残っている
いや、“意識だけ残っている”と言った方が正しいだろう
そうか、これが幽霊になるということか・・・・
そう思ったところで、俺の意識は途切れた。
