12月議会で 「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への不参加を求める意見書」について、反対(参加すべき)との立場で討論した概要です。

TPPとは、二国間の自由貿易協定FTAをさらに進めたもので、最終的には参加国間の関税を例外なく撤廃し、お互いに自由貿易を行うというグループ協定で、すでに太平洋を挟んでチリとニュージーランド、ブルネイとシンガポールの4カ国が協定を結んでいます。この4カ国にアメリカ、ペルー、豪州、マレーシア、ベトナムの5カ国が参加協議に踏み切り、その協議に日本も加わろうというのが政府の提案です。更に、カナダ・メキシコ・タイそれに中国・韓国も参加を前提に検討しています。従って、これに参加しなければ、日本は環太平洋の主要な国々が関税ゼロで互いに自由な交易を行うという地域経済圏から排除され、一国だけ高い輸出関税率のハンデを背負って国際経済活動を行うことになります。例えば、日本の独断場と思われていた原子力発電でも高速鉄道でも、世界の受注競争に韓国あるいは中国勢が急速に食い込み、重要な案件で我が国が受注競争で敗れる事例が、つい最近も報告されています。特に、最強の競争相手でもある、韓国政府のFTA(自由貿易協定)への取り組みはきわめて積極的で、貿易総額に占めるFTA 比率は、日本の17%に対して約40%に達しています。更に、韓国がTPPに参加すればその比率は70%を上回ることになると言われています。たしかに、国土の保全や文化の担保に向けた農業保護の重要性は、我が国の国体を考えるとき極めて重要だと言えます。ただ、そのことが日本のFTA比率が高まらない最大の理由ともなっています。我が国の農林水産業の総生産は、約6兆円で国内総生産GDPは約500兆円ですから、1.2%の一次産業を関税障壁で保護しようとすることで、国内の輸出産業が自由貿易の輪の中に入れず、国際競争力を漸減させることになります。当然、TPPに参加するためには国内農業に対する体系的な構造改善策が必要となり、農水省はコメに加え、補償制度を小麦や大豆などの畑作にも拡充するため、11年度予算で営農規模拡大分を含めて約8000億が認められる状況となっています。また、農林水産業の総生産を維持するために、毎年投入されている3.9兆円の(国と地方自治体あわせて)農業予算をTPPに備える農業対策費用に再配分し、農業自体の競争力・開発力そして魅力を構築・強化していく中で、TPPのメリット・デメリットを総合的に議論していくことが、日本の農業と産業の共倒れを防ぎ、貿易立国としての国力を維持する最善の方法であるとしてTPPへ参加するべきと訴えました。

(結果としては不参加の意見が多数で採択されました)