H220421(高速道路無料化)


ここに来て民主党政権の高速道路政策がおかしなことになってきた。政府が民主党の目玉政策のひとつであった高速道路無料化を反故にしようとしているのに対し、党の参院選マニフェスト検討チームから待ったが掛かった状況となった。この機会に、昨年の総選挙前から民主党が一貫して主張してきた、高速道路無料化についてその原点に立ち返り考えてみたい。

そもそも無料であった高速道路が、東名・名神高速の建設の際、建設に費やした借金の返済のために有料化され、返済を終えたら無料に「戻す」約束であったが、1972年に田中角栄首相により料金プール制が導入され、他の路線の建設に回すため永久に通行料金を取り続けることが可能になってしまった。それ以来、プールした財源を新たな道路に注ぎ込み続け、日本の道路支出は、英仏独伊の欧州主要4カ国の合計額に匹敵するほど莫大なものとなり、族議員・利権の温床となってしまった歴史がある。もともと、自動車ユーザーはガソリン税等を通じて年間2兆円を超える税金を支払っており、無料化に必要な財源はまさにこの2兆円強とほぼミートするため、結果的には高速道路の受益者が税金の形で使用料を負担している格好となり、むしろガソリン税を徴収した上に高速道路ユーザーから更に通行料金を徴収すれば、二重取りと考えることも可能である。更に、高速道路無料化の経済効果は7兆8千億円との試算もあり、総合的には無料化による歳入の減少分を補填してなお余りある経済効果が期待できると説明してきた。同時に、プールしてきた財源を無駄な公共投資 に注ぎ込み続ける無限ループを断ち切る。このことが先ずは高速道路無料化の原点ではなかったのか。

今、政権発足前に廃止すると公約したガソリン税(暫定税率分)を維持したまま、高速道路無料化を反故にするなら重大な公約違反であり、昨年8月30日に民主党に投票して頂いた多くの方々に、その責任の取り方を含めて明確な説明が必要となる。明確なビジョンを示すことなく、場当たり的な政策を垂れ流しているように見える現政権に、いつまで国民が辛抱してくれるのか参院選を前に危険水域に入るのではないかと心配になってしまう。