7/15長崎新聞郷土文芸(2)グループ作品、他。

◎「グループ作品」「歌・句誌」より

(杏長崎青桐句会)

★蜘蛛の囲の直線のみの円さかな 西 史紀

★清貧のこころを今に茄子の花 田中蔦枝

★ジム用の靴母の日のプレゼント 前田暁美

(佐世保同人即吟会)

★国境に烏賊火の帯の明明と 髙永久子

★空襲を受けにし街の大夕焼 芝崎せい子

★明易や今日を生きよと禽の声 鴨川富子

(翼の会)

★そよ風に樹々の織り成す影涼し 阿部順子

★盆栽を長子引き継ぐ薄暑かな 田川美根子

★少女らに海酸漿(うみほおずき)の香かな 小谷一夫

 ※巻貝類が産む卵嚢の総称。半透明の革質で非常に丈夫。これを色染めしたものが夜店や海水浴場などで売られ、ホオズキと同じように口に含んで鳴らして遊ぶ。

(翔の会)

★吊橋を渡る日傘をたたみけり 牛飼瑞栄

★滝激し寺領に太る梅雨茸 朝長美智子

★メーデーや幟たたまず酌み交はす 鴛渕和明

★黒南風や船渠に眠る護衛艦 辻原晚夏

★夏草や潮の匂のマリア様 植木千幸

(県俳人会)

★百合の香に包みて君を納棺す 吉岡乱水

★噴水の秀の頂の脱力す 西 史紀

★夏至の日や古刹にフーコーの振子 永川庸子

 ※「フーコーの振り子」は地球の自転を観測するために用いられる大きな振り子。 フーコー振り子は国内・海外の各所に設置されており、地球の自転の観測などに用いられている。

★山門に翅をたたみて梅雨の蝶 富岡三枝子

★眼の力抜けば涙や夏の星 荒井千佐代

(土曜俳句会)

★夕凪や真向いにあるガスタンク 相川文子

(深堀橡俳句会)

★六月や還暦の子と神事受く 桑崎時子

★麦秋や習ひて編みし苺籠 佐藤とき子

★山並の筋雲早し梅雨入前 中村喜代子

(西陲4月号) 

★朝日射す水の底より春の声 森田理子

★湧水の庭に伸びたる土筆かな 桃下喜代子 

★つばくらめ駅が大好き人が好き 赤城正信

(馬酔木5月号)

★声高く歌ふ校歌の山笑ふ 城台洋子

★一つ身の晴着も飾る雛の間 馬場史子

 ※「一つ身の晴着」とは、0歳~2歳くらいまでの乳幼児用の着物のこと。

★父の忌と重なり灰の水曜日 熱田絵美

 ※四旬節の初日。今年は2月14日。四旬節は復活祭まで40日間。灰の水曜日という名前は、この日に司祭が灰で信者の額または頭に十字の印をつけることによる。灰は人間の末路であり、また石鹸の代用品として浄化に繋がるともされる。


◎諫早川柳蛍会(井上万歩会長)主催の「第57回川まつり川柳大会」の結果が載っていました。

7月7日、諫早市栄田町公民館。1957年の諫早大水害の記憶を継 承しようと、同水害の10年後から毎年実施されているもの。七つの課題に、事前応募39人、 当日参加43人の計82人が投句。

最高賞・前山五龍賞

飽食へ飢えの記憶が抱く不安 諫早市 畑中正広 「食べる」西畑伸二選

以下、各特選句

★踏み込んだ話へお茶を入れ替える 小池一恵「詳しい」石丸尚志選 

被爆楠枯れずめきめき新芽吹く 中村行男「めきめき」藤田游心選 

人は皆大地に戻り土となる 山口耕一 「大地」三瀬清一朗選

どの国の旗も透かせば血の歴史 平田朝子「旗」西川東岳選 

育てた芋園児笑顔で抱きしめる 藤戸亮子「育つ」平田朝子選 

死に場所は舞台の上と芸の虫 瀬戸波紋「舞台」井上万歩選 


◎「あわい」欄

▼第58回全長崎川柳大会の作品募集 長崎番傘川柳会(三瀬清一朗会長)

・9月15日、長崎市ベネックス長崎ブリックホール。

・課題と選者。▽網(森本志真子選) ▽はらはら(瀬川伸幸選) ▽小説(萩原奈津子選) ▽上がる(小川清隆選) ▽痛い(井上万歩選) ▽アニメ(三瀬清一朗選) ▽(特別課題=時代吟)「長屋」(川本米子選)

・各題2句詠。会費1500円(発表誌贈呈)。欠席投句の場合は、投句料1人千円(発表誌贈呈)。

・4㌢×21㌢の紙を1句当たり1枚用意し、表に題と作品、裏に雅号を記入。住所、氏名、電話番号を添えて送付する。

・締め切りは9月2日(必着)。

・送付先は〒851- 2107、西彼時津町久留里郷1013の19、金子重好さん(電095-800-2956)。


▼第72回去来忌俳句大会の作品募集


・県俳人会(籏先四十三会長)主催

・10月13日、長崎市立図書館多目的ホール

・四季雑詠、自作未発作品。投句料は3句1組千円(何組でも応募可)。 所定の応募用紙(コピー可)に必要事項を記入。締め切りは9月2日(必着)。

・送付先は〒852-8065、長崎市横尾1丁目1の6、西史紀さん方、県俳人会事務局。

・当日句あり。午前10時半席題発表、午後0時半投句締め切り。

・問い合わせは西さん(電095・857・4233)


雑誌「俳句界」(文學の森)7月号「俳句の未来人」コーナーに、長崎市立西北小5年、森映介さんの「明日を待つ」と題した10句が掲載。


★双六や響く歓声一室に

★春の虹ついに使えるかのグラブ

★春の雷学童二秒だけ静か


森さんは杏長崎の西北どん句会にビジター参加。長崎新聞ジュニア版メクルのレッツ575の コーナーでも活躍している。