④中部ブロック

千賀健永、森口瑤子、犬山紙子、津田寛治。


◎最下位、津田寛治、(東尋坊)

★雨後の虹怒髪ゆるんだ東尋坊


    「雨後の虹」と「東尋坊」の組み合わせはいいですが、中七がやや意味不明。

    ↓(添削)

▲雨後の虹白波ゆるぶ東尋坊


◎2位、千賀健永、(名古屋熱田神宮)

★熱田守護の亀の蛭剝ぐ炎天下


    千賀氏によると、亀は熱田神宮の守護神として大事にされているとのこと。その亀によく蛭が張りつくという。それを子供の頃はよく取って上げた、と。

    ちなみに「蛭」も夏の季語。


夏井先生《上五中七の素材は、オリジナリティとリアリティがあってとてもいい》

    ↓(添削)

▲熱田守護なる亀の甲羅の蛭を剝ぐ

◎3位、犬山紙子、(西伊豆)

★胎児寝る風鈴数多きゃらきゃらと

夏井先生《上五の言い切って損をしている》

    ↓(添削)

▲風鈴のきゃらきゃら胎児眠らさん

◎1位、森口瑤子、(小学生の頃の家族旅行) (決勝進出)

★黴臭いホテルだけど海がデカい

夏井先生《例えば「海が近い」とすればホテルの説明になるが、「海がデカい」としたことでリアリティが出た》


⑤北海道・東北ブロック

梅沢富美男、こがけん、蓮見翔(ダウ90000)、ペナルティ・ヒデ。

◎最下位、ヒデ、(大雪山)

★荒山の岩間匂ふや稚児車(ちんぐるま)

夏井先生《情報が少し重なっている。「荒山」と「岩間」。それと「岩間を匂ふ」とするべし》

    ↓(添削)

▲青空や岩間を匂ふ稚児車

◎3位、こがけん、(三陸)

★船に群れ海猫の腹蒼々と

夏井先生《着眼はよろしい》

    ↓(添削)

▲舷(ふなべり)や腹蒼々と海猫(ごめ)の群

◎2位、梅沢富美男、(竜飛岬)

★竜飛より海峡見ゆる翌(あす)は秋

 「翌は秋」という季語があるんですね。夏の終わり、立秋の前日のことだそうです。夏の時候季語。


夏井先生《季語が粋。でも全体的に格調がありそうだが何だか歌の文句に近いのが気になる》


◎1位、ダウ90000・蓮見翔、(釧路) (決勝進出)

★釧路駅知らないコンビニの冷房

    夏でもそんなに暑くはないが時によっては暑い日もある。そういう時のコンビニの冷房か。中に入れば他の地の冷房と変わらない、というような説明をしてました。そしてこの句が夏井先生が1位に選した句。《地名と冷房との絡み合いが妙にリアリティがある》と。


決勝

千原ジュニア、横尾渉、森口瑤子、立川志らく、蓮見翔。

◎千原ジュニア、宮古島

★宮古島ホースに溜まる水は炎ゆ

◎横尾渉、能登

★能登は虹一棟貸しの露天風呂

◎森口瑤子、伊豆下田

★向日葵を抜けると海や走り出す

◎立川志らく、静岡県中田島砂丘

★油照り影が溶け出す中田島

◎蓮見翔、納沙布岬

★夏暁の納沙布FMのノイズ

そして優勝は蓮見翔さんでした。

夏井先生《日本で最初に朝日が見られる納沙布岬に来ている。そしてカーラジオのFMにノイズ。そのリアリティが素晴らしい》