◎俳壇 吉岡乱水選
★影踏や夏の月夜の石だたみ 西海 植村京子
★都井岬悠然と佇つ親子馬 長崎 吉田志津子 (評)野性馬の宝庫、都井岬。
★梅雨出水と聞けば気になる子の在所 長崎 伊藤ひとみ
★夏萩の揺れてわが家の風の道 西海 原田 覺
★晴天の連峰万緑押し上ぐる 長崎 宮崎包子
★艶やかな窪み亡父の籐寝椅子 佐世保 小山雅義
★作法読み茅の輪くぐりの人となる 諫早 篠崎ひでこ
★石棺の内の朱色や夏あざみ 長崎 大野千恵子
★どつさりと子へさげ持たす路地の枇杷 島原 佐藤美保子
★父の日や遺影の父は笑ってる 佐世保 松山茂則
★遠(おち)に見ゆ火のごと萌ゆるカンナかな 佐世保 倉本健治
★香しい風の誘ひの花蜜柑 雲仙 末吉きみえ
★入梅や狭庭の木々が躍り出す 大村 平松文明
【選者吟】骨壺の君抱きゆくや道をしへ
◎歌壇 馬場昭徳選
★寝室に明かりとり窓朝と夜を陽に起こされて月に寝かさる 長崎 小島茂之
★挨拶は「おやすみなさい」が大好きだ耳に残るは両親の声 五島 山下コト
★今日からは一層妻を愛すると陽気に告げて友退院す 大村 福谷健吉
★病棟は十二階ぞ目の前をカモメ一羽が悠然と舞う 長与 清田俊二
★身の回り少し整理し寝転びて稲佐の山の昼の月見る 長崎 川添和子
★キャンキャンと要望だけを吠えている犬を薄目で猫が見ている 長崎 中小路和久
★天ぷらをじゃじゃーと揚げる妻の背を缶ビール持って見る幸せよ 平戸 永田米吉
★汚れなき大海原に眠れたら海洋散骨心によぎる 松浦 小林壽子
★校庭より「若いちから」が聞こえ来て運動会の練習始まる 長崎 片岡 恵
★「おはよう」の声戻りくる連休明け顔触れ揃う学童の道 時津 浦川敏子
★何くれと子等の扶けに老いふたり今日もどうにかいさかふ元気 佐世保 友廣ヒデヨ
★旧友が前ぶれもなく訪れて帰りまぎわに再婚を告ぐ 長与 相川光正
★雲仙の頂き白く雲覆い火砕流から三十三年目の夕 諫早 田島久美子
★一推しの小林捕手の頑張りを見習ひ吾はリハビリ励む 雲仙 峯 敏子
★降り出しし雨に急かされ枇杷を捥ぐ明日は届けむ待ちいる伯母に 雲仙 山本クニヨ
◎柳壇 瀬戸波紋選 題「胴上げ」
★胴上げのそばで涙の受験生 長崎 登本龍太
★胴上げをされて就職島を出る 長崎 中島まゆみ
★宙に舞う恩師涙の離任式 佐世保 萩山義人
★慎重に孫ら胴上げする卒寿 長崎 松本ひとみ
★胴上げに花婿の母涙する 長崎 高崎長男
★胴上げの輪に入られず音頭取る 長崎 松添春樹
★胴上げの景色を胸に焼き付ける 大村 山岸洋美
【選者吟】胴上げヘバンザイで和すサポーター
◎ジュニア俳壇 江良修選
★(秀逸)走り出す背中めがけてバトンパス 佐世保・福石中3 鹿毛綾乃
★(〃)体育祭三度転んでまた起きる 佐世保・鹿町中1 西村虎太朗
★中学校最後にきったゴールテープ 福石中3 上野結布花
★体育祭選手宣誓気合入れ 福石中3 大河内 凛
★クラスリレーつなぐバトンと深まる絆 福石中3 前島真実
★梅雨長く蛙の声もかすれ気味 福石中2 田野瀬心美
★リレーでは活躍したよ俺の足 福石中2 久保山凱明
★横通り夏を感じる糸とんぼ 佐世保・小佐々中2 田島瑠夏
★母の日のプレゼント選びわくわくだ 小佐々中2 山口七海
【選者吟】旅ガイドの訛りも楽し梅雨晴れ間
◎ジュニア歌壇 杉山幸子選
★(秀逸)声かけて私にむけたその瞳そして春風髪がなびいた 佐世保・愛宕中2 田口穂果
★春の海見てると君が「きれいだね」勘違いしてとびあがりそう 愛宕中3 湯浅絢香
★入学式生徒代表あいさつでフライングした「起立」の号令 愛宕中3 出口真一
★初めての入学式からもう九年教室入れば初めましてだ 愛宕中3 稲冨翔太
★異世界に入ったような輝きの入学式は来年の今 愛宕中3 小泊千騎
★春が咲くすずしい風と高い声実感ないなもう先輩か 愛宕中2 池田陽菜乃
★暖かい春の日差しに当たる猫心地良い風吹かれて眠る 愛宕中2 小崎香菜
★久しぶり家族で団らん くだらない話で盛り上がる家族は素敵だ 佐世保・崎辺中2 岸川市椛
★校門をドキドキしつつくぐり抜け希望あふれる新生活に 崎辺中1 清田梨央
※以下、次ページに。
◎グループ作品