6/24長崎新聞郷土文芸(1)俳壇・歌壇・柳壇

◎俳壇 吉岡乱水選

★影踏や夏の月夜の石だたみ 西海 植村京子

★都井岬悠然と佇つ親子馬 長崎 吉田志津子 (評)野性馬の宝庫、都井岬。

★梅雨出水と聞けば気になる子の在所 長崎 伊藤ひとみ

★夏萩の揺れてわが家の風の道 西海 原田 覺 

★晴天の連峰万緑押し上ぐる 長崎 宮崎包子 

★艶やかな窪み亡父の籐寝椅子 佐世保 小山雅義 

★作法読み茅の輪くぐりの人となる 諫早 篠崎ひでこ

★石棺の内の朱色や夏あざみ 長崎 大野千恵子

★どつさりと子へさげ持たす路地の枇杷 島原 佐藤美保子

★父の日や遺影の父は笑ってる 佐世保 松山茂則

★遠(おち)に見ゆ火のごと萌ゆるカンナかな 佐世保 倉本健治

★香しい風の誘ひの花蜜柑 雲仙 末吉きみえ

★入梅や狭庭の木々が躍り出す 大村 平松文明

【選者吟】骨壺の君抱きゆくや道をしへ


◎歌壇 馬場昭徳選

★寝室に明かりとり窓朝と夜を陽に起こされて月に寝かさる 長崎 小島茂之

★挨拶は「おやすみなさい」が大好きだ耳に残るは両親の声 五島 山下コト

★今日からは一層妻を愛すると陽気に告げて友退院す 大村 福谷健吉

★病棟は十二階ぞ目の前をカモメ一羽が悠然と舞う 長与 清田俊二 

★身の回り少し整理し寝転びて稲佐の山の昼の月見る 長崎  川添和子 

★キャンキャンと要望だけを吠えている犬を薄目で猫が見ている 長崎 中小路和久

★天ぷらをじゃじゃーと揚げる妻の背を缶ビール持って見る幸せよ 平戸 永田米吉

★汚れなき大海原に眠れたら海洋散骨心によぎる 松浦 小林壽子

★校庭より「若いちから」が聞こえ来て運動会の練習始まる 長崎 片岡 恵

★「おはよう」の声戻りくる連休明け顔触れ揃う学童の道 時津 浦川敏子

★何くれと子等の扶けに老いふたり今日もどうにかいさかふ元気 佐世保 友廣ヒデヨ

★旧友が前ぶれもなく訪れて帰りまぎわに再婚を告ぐ 長与 相川光正 

★雲仙の頂き白く雲覆い火砕流から三十三年目の夕 諫早 田島久美子

★一推しの小林捕手の頑張りを見習ひ吾はリハビリ励む 雲仙 峯 敏子

★降り出しし雨に急かされ枇杷を捥ぐ明日は届けむ待ちいる伯母に 雲仙 山本クニヨ


◎柳壇 瀬戸波紋選 題「胴上げ」 

★胴上げのそばで涙の受験生 長崎 登本龍太

★胴上げをされて就職島を出る 長崎 中島まゆみ

★宙に舞う恩師涙の離任式 佐世保 萩山義人

★慎重に孫ら胴上げする卒寿 長崎 松本ひとみ

★胴上げに花婿の母涙する 長崎 高崎長男

★胴上げの輪に入られず音頭取る 長崎 松添春樹

★胴上げの景色を胸に焼き付ける 大村 山岸洋美

【選者吟】胴上げヘバンザイで和すサポーター


◎ジュニア俳壇 江良修選

★(秀逸)走り出す背中めがけてバトンパス 佐世保・福石中3 鹿毛綾乃

★(〃)体育祭三度転んでまた起きる 佐世保・鹿町中1 西村虎太朗

★中学校最後にきったゴールテープ 福石中3 上野結布花

★体育祭選手宣誓気合入れ 福石中3 大河内 凛

★クラスリレーつなぐバトンと深まる絆 福石中3 前島真実

★梅雨長く蛙の声もかすれ気味 福石中2 田野瀬心美

★リレーでは活躍したよ俺の足 福石中2 久保山凱明

★横通り夏を感じる糸とんぼ 佐世保・小佐々中2 田島瑠夏

★母の日のプレゼント選びわくわくだ 小佐々中2 山口七海

【選者吟】旅ガイドの訛りも楽し梅雨晴れ間


◎ジュニア歌壇 杉山幸子選

★(秀逸)声かけて私にむけたその瞳そして春風髪がなびいた 佐世保・愛宕中2 田口穂果 

★春の海見てると君が「きれいだね」勘違いしてとびあがりそう 愛宕中3 湯浅絢香

★入学式生徒代表あいさつでフライングした「起立」の号令 愛宕中3 出口真一 

★初めての入学式からもう九年教室入れば初めましてだ 愛宕中3 稲冨翔太

★異世界に入ったような輝きの入学式は来年の今 愛宕中3 小泊千騎

★春が咲くすずしい風と高い声実感ないなもう先輩か 愛宕中2 池田陽菜乃

★暖かい春の日差しに当たる猫心地良い風吹かれて眠る 愛宕中2 小崎香菜

★久しぶり家族で団らん  くだらない話で盛り上がる家族は素敵だ 佐世保・崎辺中2 岸川市椛

★校門をドキドキしつつくぐり抜け希望あふれる新生活に 崎辺中1 清田梨央


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◎グループ作品

◎「短歌(うた)ありて」より
◎「あわい」欄