6/22NHKラジオ文芸選評(短歌)。テーマ「かけら」、選者は岡野大嗣さん。


今回紹介された岡野大嗣さんの作品。

★部分点もらった和訳 川べりの散歩に季節だけを間違えて

★児童書の口絵に入るような夜 駅に向かって桜を抜ける

★半分をふさげば半音高くなる縦笛の穴みたいな気持ち

★生まれ年のカレンダー どの生まれ年も光に目を細める蚤の市


◎入選作品


★さまざまなかけらがきっと落ちている海なし県の想像の海(栃木県 シラソさん 39)


★消ゴムのかけらのための箱があるちょっと自慢の職場なんです(三重県 川原田明子さん)


★人間のかけらですよと伝えられ気持ちが少し軽くなったよ(大阪府 ツキミサキさん 50)


★たくさんのビニルのかけら落ちていてあの夜のこと誰も言わない(群馬県 笛たなえさん)

  ↑ 岡野大嗣さんのイチオシ作品


★レコードに針を落とせばまだきみの耳のかけらが降るような夜(アメリカ・メリーランド州 毛糸さん)


★遠泳のほうび砕けし氷砂糖多恵先生のふっくらした手で(鹿児島県 山下香織さん 43)


★薄暗き部屋で独りで挑みたる星の欠片を集むるゲーム(長野県 藤雪陽さん 39)


★真夜中にこっそりポテチ喰む音が消えて彼には夜のはじまり(福岡県 レクどんさん 41)


★掘り上げし男爵いものどのようなかけらも残さず収穫したり(埼玉県 長谷川文彦さん 81)


★ひとつひとつかけらをあつめまっしろな宇宙をつくるじぐそうぱずる(秋田県 窓辺のラジオさん 63)


★オーディオのねじを外して解体す新体操部の残滓なりしも(福島県 山田吉胤さん 68)


★青空のカケラだよってコンペイトウ転校してもブランコに乗る(埼玉県 大野美波さん)


★PATiPATiを切りとる時にPATiPATiのかけらが落ちた七月の朝(福岡県 栗皮さん)


★放課後の二年五組の窓辺からホルンのかけら煌らかに降る(埼玉県 木元貴子さん 54)


★いつからが夏かわからぬ夏日きてかけらのような夕日が沈む(東京都 岡本和子さん 82)


◎来週・29日は俳句、兼題は「蟻」、選者は藤井あかりさん。締め切りは24日(月)午後11時59分。