![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240603/17/kawaokaameba/98/88/j/o1080085115446998110.jpg?caw=800)
★児に戻る母と湯浴みや若葉風 諫早 土井幸子
(評より)‥‥若葉風がどこか安らぎを醸す。
★くちびるに讃美歌白鳥の帰る日 長崎 宮崎包子
(評)‥幾多の苦難を冒し白鳥が北国へ旅立つ‥鳥も人も安かれと祈る作者。
★夏草に埋もれ被爆の天使像 西海 原田 覺
★潮騒にはためく幟浦の街 長崎 伊藤ひとみ
★玄海の怒涛とゞろく朧かな 平戸 本川 誠
★風光る仏間の如来輝けり 島原 佐藤美保子
★草笛やべべんこ母の乳をつく 五島 松本隆司
※「べべんこ」=大分の方言で「子牛」のこと。
★聴き取れぬ草の囁き薬狩 長崎 立木由比浪
★新緑に埋もれて漬かる露天風呂 島原 荒木アヤ子
★若武者の山車の華やぐ大路かな 西海 有川絹江
★母の忌や供物に選ぶ豆ごはん 大村 平松文明
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★若葉風日の斑の揺るる小径かな 西海 田川育枝
★芍薬の一花を愛でて厨事 雲仙 西田豊子
★青鷺の首捩り飲む大き魚 長崎 吉田志津子
★真青なる空へ若葉の彩(いろ)映ゆる 島原 柴田ちぐさ
★プロレスに集ふ近隣昭和の日 諫早 安浪加余子
★新米の燕の巣より卵落つ 南島原 田中よしみ
★春昼や皆が傅(かしず)くお食ひ初め 長崎 池田詩織
※「傅く」=大事に面倒を見る。後見する。大切に扱う。
★五月雨や草鞋の下がる仁王門 諫早 篠崎ひでこ
★母の日や雨のひと日を母偲ぶ 雲仙 草野悠紀子
【選者吟】飛ばさるる帽子追ふ児や青嵐
◎歌壇 馬場昭徳選
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★筍にいつもどおりの気遣いで糠一つかみ添えられており 長与 相川光正
(評より)米ぬかも手に入れにくくなった。気遣いに対する作者の感謝。
★生きてきた二万七千五百日これより後期高齢者を生く 島原 三浦一正
★「お帰り」とおもわず眼鏡に声をかく十分程をうろうろ捜し 佐々 敦賀節子
★髪切れど理由(わけ)を尋ぬる人もなし理由はなけれど尋ねられたし 長崎 納富美奈子
★ぎこちなく赤子を抱く若き娘(こ)を母たらしめる面の柔和さ 長崎 木村千津子
★話そうよ黙っていてもわからない言葉の一歩は心の一歩 長崎 池田 昇
★太き指竹に馴染みて籠を編む無口な翁眼の輝けり 南島原 松永文則
★風薫る五月の部屋に本を読む一人が何故かうれしい時 長崎 渡辺英子
★潮の香は二階の部屋まで届くなり磯でこさいだミナ炊きあがる 西海 中尾美代子
★久々に大村線の汽車に乗り新たに出来た駅名を知る 川棚 釣本孝子
★菜園も今年までかと呟きて座りてうちぬ老いの手の鍬 諫早 平松 茂
★旅好きの夫最後の旅なりきよるべなき身のわれを残して 松浦 森 美和子
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