6/2朝日俳壇・歌壇。
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★鋼なす九十歳の裸かな(新座市)丸山 巌子
★洋食は匙にて楽し五月晴(東京都世田谷区)須藤渉一
★シャンシャンの日本語恋ふる春の風(大阪市)渡辺たかき
【評より】中国に渡ったパンダだが、日本語を聞くと耳をそばだてるとか。
★魚道には我が先にと鮎のぼり(河内長野市)西森正治
★待ちやがれ修司忌に逝く唐の笑み(東京都練馬区)吉竹 純
※修司忌も唐十郎の忌日もともに5月4日。
★荒御輿衝突音の天にまで(大垣市)大井公夫
◎長谷川櫂選
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★黒鯛や黒の強さと美しさ(富士市)村松敦視
★一族のたつた一人の田植ゑかな(加東市)藤原 明
★五月波太刀割りにして艇疾し(昭島市)大関崇央
★福島のいまはむかしの春惜しむ(福島県伊達市)佐藤 茂
★面接の夏めく膝にある両手(大阪市)上西左大信
◎大串章選
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★仏壇に今も置かれし夏帽子(相模原市)はやし 央
★田を植ゑる一家総出の二人かな(島根県邑南町)椿 博行
★パソコンを操る芸妓夏のれん(前橋市)武藤洋一
★月眠るやうにゆらして春の海(東京都足立区)無京水彦
★踏まれても変へざる進路蟻の道(玉野市)勝村 博
★母の日や大事なことは話さぬ子(神戸市)藤井啓子
★若葉風一年振りに弾くピアノ(町田市)河野奉令
★母の日を喜べぬ人の涙かな(石川県能登町)瀧上裕幸
◎高山れおな選
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★ねつのでたばっちゃんゆでたほうれん草(成田市)かとうゆみ
【評】かとうさんは〈おしゃべりな妹まるで金魚かな〉も同時投句。共に家族の空気を新鮮に描く。
★駅ピアノくすぐるやうに弾く晩春(三鷹市)宮野隆一郎
★草刈機止めて為替の話など(大月市)中村照子
★満々と明日待つ代田風の皺(水戸市)伊師繁次
★コンビニに寄るメーデーのプラカード(相馬市)根岸浩一
★奉納の居合一閃樟若葉(京都市)武本保彦
★鈴蘭の真珠のごとく咲きにけり(狛江市)岩野記代
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![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240603/09/kawaokaameba/65/08/j/o1080078115446832134.jpg?caw=800)
★それぞれのかなしみを乗せて夕暮れの回転木馬は反時計回り(越谷市)黒田祐花
【評】回転木馬は、アメリカ製とヨーロッパ製で逆回りなのだということを今回知った。どうでもいいような些細な部分への視線も大切。
★耳をすませばバエズの歌声聞こえくるWe shall overcomeコロンビア大(大和郡山市)四方 護
★ガザに比べれば逮捕はなんでもないコロンビ大学ユダヤ人学生が(八王子市)額田浩文
【評より】ガザ問題にアメリカの学生たちは真剣。
☆漁具担ぎ浜へと向ふ祖父の手に提げられてゐし目覚まし時計(多摩市)豊間根則道
※馬場あき子共選
★隙を見せる女性に非ありと説きし師は束髪もんぺで明治の生まれ(仙台市)磯田秀子
★スクランブル交差点午後透明の傘増え海月のごとく行き交ふ(京都市)森谷弘志
★部屋全て蚕を飼いてその隅でわれ産まれしと叔母言ううれし(飯田市)草田礼子
★たんぽぽを「ぽぽ」と言うなり二歳の女児(こ)ぽぽの頭を優しく撫でる(厚木市)北村純一
★水張田に火影映して人かげのまばらな窓の夜汽車が走る(長崎市)秦 桂子
◎馬場あき子選
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☆結婚は幸せのカギという友の熱弁とレモンサワーとねぎま(富山市)松田梨子
★公園のつつじの花の蜜を吸おう心の中の少年が言う(綾瀬市)小室安弘
★カブトガニ引つくり返せばそのお腹竈といふ字に見えてくるなり(川崎市)宇藤順子
☆抜けた歯は骨の白さになってゆく子の手のひらの小さき乳歯(奈良市)山添聖子
※高野公彦共選
★軽トラは新玉葱を満載し前を徐行す春野のかをり(諫早市)藤山増昭
★ゴールデンウィークの初日収穫のキャベツ畑に飛び交う異国語(観音寺市)篠原俊則
★見たこともなき大花束にうずもれて退職の日の夫帰宅す(川崎市)しんどう藍
☆四月から中二になるから「中二病」調べてみたら自虐のことば(奈良市)山添 葵
※高野公彦共選
※「中二病」=中学2年生頃の思春期に見られる、背伸びしがちな言動を自虐する語。転じて、思春期にありがちな自己愛に満ちた空想や嗜好などを揶揄したネットスラング。
◎佐佐木幸綱選
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★ロボットが鮭フライ定食持ってきて孤独が深まる夜のファミレス(堺市)中井光世
★避難先の水族館内散歩する体調回復の能登のペンギン(石川県)瀧上裕幸
★AIの自動音声流す世に和する僧侶の響く声引き(神戸市)安川 修司
★九頭竜の鮎の解禁待ちかねて同じ顔ぶれ糸垂らしをり(敦賀市)中井一雄
◎高野公彦選
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★ゴビ砂漠より三千キロ空に舞い海越えて我が机上の黄砂(五所川原市)戸沢大二郎
【評より】(黄砂の)飛来距離の長大さに感慨を覚える作者。
★東京に「行く」か「帰るか」どっちだろう島に移住し九年過ぎた(東京都)三輪裕子
【評より】三宅島に移住して九年。
★連休の一日に過ぎぬか「昭和の日」昭和を映す番組は無し(東京都)北條忠政
★道沿いの赤桃白のつつじ咲き下校の列が乱れ始める(つくば市)藤原福雄
★足裏のふくふくしたるをまさぐれば子の子の産みしみどりご笑ふ(ひたちなか市)篠原克彦