6/2NHK短歌。選者は川野里子さん。通しのテーマ「“私”に出会おう 2年目の飛躍」、今回は「衝撃の初句 運命の結句」。レギュラーは内藤秀一郎さんと深尾あむさん、司会はヒコロヒーさん。
◎「飛躍の扉」「衝撃の初句 運命の結句」
(例歌1)
★生きるとはこのやうにリボンつけることリボンのうれしさ 焼け残る服 川野里子『ウォーターリリー』
「原爆資料館での作。(「焼け残る服」を)結句に持ってくることで生きていた時のリボンの様子を印象に残した」(川野さん)
(例歌2)
★隣人にはじめて声をかけられる「おはよう」でなく「たすけてくれ」と 木下龍也『つむじ風、ここにあります』
(例歌3)
★誰にも言わないで―小さな声の残りおり闇をくぐりて映画館出づ 吉川宏志『雪の偶然』
◎入選6首
★中島川の橋の眼鏡を透き行けり光となりて鶴の港へ 長崎県時津町 馬場 実
★鳩避けの下に集まる鳩の胸泣きたいのならそうすればいい 福岡県糸島市 天音 閑
※内藤秀一郎さんの《キラリポイント》=「泣きたいのならそうすればいい」
★佐波川の橋を渡りて母に会う御襁褓がいまぬれていぬかと 広島県広島市 山下睦子
★落ちた橋傾いたビル生きようねトランポリンの上だと思って 兵庫県宝塚市 三島瀬波
↑特選一席
※作者は、阪神・淡路大震災を経験し、また此度の能登震災に思いを寄せて作られたのだそうです。
★水枯れの潜水橋を徒歩通勤いるけどいないハケンのアタシ 東京都練馬区 谷 真澄
★飛ぶことを諦めた俺の目の前で照らされている白鳥大橋 北海道札幌市 君村 類
※深尾あむさんの《キラリポイント》=「白鳥大橋」
入選歌及び佳作は「NHK短歌テキスト」8月号に掲載されます。次回、川野里子さんへの投稿は↓
◎秀一郎とあむの《飛躍のカギ》初句と結句を意識して……
★努力せず成し遂げられると、君は言うそんな橋なら駆け上がらない 内藤秀一郎
↓(初句を工夫しよう。川野さんの添削)
★瞬発力だけで行けると、君は言うそんな橋なら駆け上がらない
★わたる時恋の願いが叶うという夢の吊り橋ミルキーブルー 深尾あむ
↓(結句を工夫しよう。川野さんの添削)
★わたる時恋の願いが叶うという夢の吊り橋ひとりでわたる
次の歌の結句にはさて何が?
★カーテンに春のひかりの添う朝(あした)はじめて見たり君の〇〇〇〇 染野太朗『あの日の海』
「鼻毛を」「悪いクセ」「寝よだれ」とかいろいろな案が出ましたが、原歌は↓
★カーテンに春のひかりの添う朝はじめて見たり君の歯みがき 染野太朗
↑「歯みがきという言葉に、場面がある」(川野さん)
◎ことばのバトン
↓(引き継ぐのは前回と同じ神戸大学短歌会の奥村鼓太郎さん)